ダンジョン超人は美人化ペットと無双する〜30年ぶりにダンジョンから出た地上は、女子率99.999%のハーレム世界でした〜 作:ラディ@小説家もどき
身体の真ん中がちりちりと焦げ付いていく。
俺は超人として造られて超人として育ち、完成している。
強靭で屈強、日本を守る為にどんな脅威や困難にも対応できるように造られた。
これは肉体の強度や筋密度や骨密度や神経系の話だけでなく、精神的にも揺らがず曲がらず歪まず正しくあるように鍛えられた。
喜びすぎず、怒からず、哀しまず、楽観しない。
迷宮作戦群から孤立してダンジョンに一人になっても。
モンスターの血肉を啜って十年迷っても。
気づいたら歳も取らねえし怪我がめちゃくちゃ早く治るような化け物になっていても。
強すぎて話にならない怪物と装備もなしで二十年殺し合っても。
三十年ぶりに出た日本社会は、七大都市は奪われ人口は半分になり男は消え去り女だらけになっていても。
ヴィオラに全裸で抱きつかれ握られようとも。
俺の精神は、揺らがない。
感情の抑制は完璧、何が起こっても反応はするが芯は動じない。
だが、これは無理だ。
国民を危険にさらすような、しかも犯罪者ではなく公人が……こんなものは日本にとって毒でしかない。
怒りで行動することはないが、俺は日本のためなら何でも出来る。
身体の真ん中から爆発する真っ黒な炎は眼球の裏をじりじりと焼くように目から熱を噴き出させる。
ああ、だめだこれは怒りだ。
俺は今から怒りで、日本の毒を取り除こうとしている。
「――落ち着け、主様。それはきっと私の影響による短絡的な結論だ。私すら生かした主様が同胞に殺意まで向けるのは違うぞ。それはなにか……少しさみしい。無理をするな」
ヴィオラは俺の顔を両手で挟んで、穏やかにそう言う。
……確かに、危なかった。
これは良くなかった、まさかヴィオラに窘められるとは……。
「おい愚の権化、おまえは自分の住処に虫が沸いたら受け入れるのか? 話し合うのか? 掃除をするだろう」
凄まじい圧力を放ちながら、今井川へと問いかける。
「……小倉の人を虫扱い……? いくらなんでもそれは――」
「馬鹿が過ぎるぞ、虫はおまえらだ。青はおまえらを対等だと思っていない」
今井川の言葉を遮り、ヴィオラは語りを続ける。
「だが、奴は警戒をしている。前の世界からこちらの世界へ落としてきた例外的な人らがいることを」
つらつらと七竜について述べ。
「それを探り、例外を見つけ次第殺すか対等と考えて和平交渉をするかだが。どちらにおいても、おまえらのような虫けらは消されるし例外との和平交渉の材料にされる」
想定される青竜王の思惑についても語る。
この話はかなり信憑性のある話だ。
同じ七竜……いや一括りにしたらヴィオラは嫌がるだろうが、同じ世界から来た同格の個体。さらに面識もある。
「青は赤よりは賢しい、だが人らを見る目は根本的に赤とは変わらない。完全に格下だと見下している、これに関しては同じだ。基本的には脆弱な虫けらだと思っている。あ、主様は違うぞ? 別格だ、小娘共もかなりマシではある」
さらにヴィオラは七竜の価値観について語り、俺の頬に頬を擦り付けながら柔らかく付け加える。
ああ、うちの隊員はみんな本当に良くやってくれている。根性が違う。
「今、青の下僕共が人らを殺していないのは、気まぐれだ。住処に招き入れるなんて愚行のせいで、ここの人らの死は決定事項となった」
ゆらりと、冷たい声色に切り替えてヴィオラは今井川へ語り。
「だから勝手に死ね、私たちを煩わせるな」
完全に見切りをつけたように、そう言い放った。
「よ、よくお喋りをする戦闘ペットですね……。色々と仰っていましたが、私たちは本気で和平と共存を成せると考えています」
青筋を立て、ヴィオラの語りにイラつきを見せながら今井川は口を開く。
「実際この七年間で大きな迷宮災害は起こっていませんし、玄海攻略隊から死者は出ていません。青竜王と小倉の人たちはモンスター討伐にも協力的で住民たちに危害を加えたりもしていません」
早口で、さらに今井川は言い訳じみた語りを続ける。
「それに、あれだけの知能があって人の姿をしている方をモンスターとして処理するのは倫理的に考えておかしいとは思いませんか? あそこまで人間と遜色ないのなら人権などを考えていくべきです。異なる場所から来たからといって、私たちが歩み寄らないのは差別的な思想です。もっと多様性を認めて――」
「差別や多様性なんてただの言葉で、国防を邪魔するんじゃあねえぞ」
今井川の不毛な語りに、流石に俺は口を挟む。