ダンジョン超人は美人化ペットと無双する〜30年ぶりにダンジョンから出た地上は、女子率99.999%のハーレム世界でした〜 作:ラディ@小説家もどき
「――Bは残り二体! 成子ちゃんそろそろ迎えに来て!」
そこで、Bで交戦中のミライちゃんからの要請。
「すぐに向う! ここは頼みます‼」
私がそう言ってスロットルを回すと、水を手の形にして親指を立てて暗木さんが返す。
よし大丈夫、暗木さんは強い。
私は戦いのことはわからないけど、あの人はサポート要員のフリをした戦闘員だ。
サポートとして有能すぎるだけで、サポートが専門なわけじゃあない。
私はサポートが専門。
この場では足に専念する。
Aで六体、Bに十一体、Dに九体、これが私が目視した二十六体。
そして先ほどCに三体が追加され二十九体。
ヴィオラちゃんが気配から索敵した数は三十前後……。
おそらくこれで、玄海居住区内のモンスターは全部露呈した。
つまり乃本さんの青竜王討伐もかなり進んでいる。
このまま私たちが居住区を守りきれば――――。
「――――ッ⁉」
フルスロットルで飛ばしていたところから、視界が乱雑に回転して声も出せずに。
飛ばされて転がりながら、理解する。
突然現れたモンスターに『250cc自動二輪』ダビンチを蹴られて、盛大に転んだんだ。
ぐしゃぐしゃに、地面に削られながら転がって建物の壁に激突する。
「……ぐぇ……い……っ、ぅぅあ…………っ」
言葉も出ない、激痛が身体を駆け巡る。
ズタズタ……めちゃくちゃ血が出てる……。
い、痛すぎる……っ、骨折れたかも……。
息をするのも痛い、手足に力が、入らない。
やばい……、通信機……駄目だ触れない。
モンスターは全部で三十前後……三十体目がいることを……失念、いや……楽観したんだ。
「貴様らか……我々に何やら仕掛けてきたのは。まさか『幻惑』に干渉してくるとはな……こちらにも例外的な人間がいるのか?」
ズタボロで倒れる私に、モンスターは流暢に語りかける。
高い知能……ヴィオラちゃん曰く、モンスターは知能が高いほどに強い。
青竜王はダンジョンに割くリソースを最小に抑えて、こういう知能が高くて強力なモンスターを生み出しているんだ。
「だが貴様はただの人間のようだな。ただの人間が青竜王の選別を邪魔するなど……、例外でもない雑魚が調子に乗り過ぎだ。人間が反旗を翻すのなら、こちらは潰すだけだ」
圧力を強めて、モンスターはつらつらと語る。
「他にも人間はまだいる、例外を見つけ出すまで繰り返す。青竜王は害虫に煩わされずに暮らしたいだけなのだから――」
語りながらモンスターは私には向けて歩き出したところで。
「……っ! は、ああ……!」
物陰から、一人の子供が駆け出す。
な……っ、見えてなかった。
モンスターが現れて咄嗟に隠れたけど、近づいてきて慌てて出てきちゃったんだ。
「小型……あれは子供、単なる人間の幼体か。例外的な力は感じない――――」
そう言って、走る子供を視線で追って動こうとしたところで。
「ちぇ、チェンジダビンチ……っ」
私は、鉄の味が広がる口で何とかダビンチへの変形指示を発声する。
でも頭の中がぐちゃぐちゃで上手く設計が出来ない……っ。
ああどうしよう何にすれば、何を造れば。
考えが纏まらない、どうしようどうしようどうしよう。
誰か、いやここにはいない、誰より私がみんなの位置は把握している。
ここにいるのは、私だ。私だけなんだ。
「……っ、ぐぇ……ぉえぇぇ…………は――――……っ、すぅ――――――……チェ――――――――ンジっダビィィインチ……っ‼」
私は無理やり身体を起こして口と喉奥に溜まった血を吐ききって喉を通し、叫んで。
「――――
ダビンチに、そう指示を出す。
ダビンチは私の声に応え、人型に変形。
見た目は基本のゴーレムをスマートに落とし込んで、より人間に近いフォルム。
シルエットはなんとなく乃本さんに近い。
まあ仕方ない、私が知る限り最強の攻略者は乃本さんだ。そのイメージが反映されている。
でもダビンチは具体性のない指示で動くのが苦手だ。
ダビンチには「パンチを打て」ではなくて「右手の五指を閉じて握り込み右腕部を前方へと肩関節と肘関節の可動と腰部回転を利用して指定した対象へ当てる」くらいまで細かく指示を出してやっとまともに当たるパンチを打てる。
こんな指示を戦闘中に行うのは不可能だ。
ダビンチは能動的な行動をするのは苦手なうえに、出来ることの幅というか動きに対する自由度が高過ぎる。
人の肘は逆には曲がらないけど、ダビンチは逆にも曲がるしなんなら腕も増やせるし関節も無限に増やせてしまう。
きっとこの自由度というのは、乃本さんやミライちゃんや暗木さんにとっては強い武器になるんだと思う。臨機応変に縦横無尽で変幻自在。
しかし、これは私たちにとっては逆なんだ。