ダンジョン超人は美人化ペットと無双する〜30年ぶりにダンジョンから出た地上は、女子率99.999%のハーレム世界でした〜   作:ラディ@小説家もどき

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閑話・万能機械、満を持す
01思念伝達完全変形万能機械


 私、私が私を私だと認識し始めたのはいつ頃からだろうか。

 

 記憶回路に保存された情報から辿っても、具体的な瞬間というのは曖昧だ。

 ずっとそうだったようにも考えられるが、ずっとそうだったわけもない。

 

 いわゆる自我のようなものだが、断定するには情報が足りない。そもそも断定する権限も有していない。

 

「うーん……これで変換率は上がるが……思ったより反応速度が落ちるな……いやーこれコア側で処理させるか……?」

 

 技術者は私の身体を組み換えながら、その結果を見てぶつぶつと一人呟く。

 

 私は技術者によって造られている思念伝達完全変形万能機械、思念伝達によってあらゆる機器に変形出来るものとして開発が進められた。

 

 開発プロジェクト名称は『リコー』これは私の個体名ではなく、あくまでもプロジェクト名だ。

 技術者の娘だった個体の名称をプロジェクト名とした。良い子を育てるという意味だ。

 

 魔獣をテイムするのを応用して行うために、私は擬似的にコア部分は魔獣と同じ構造をしている。

 迷宮内から発生した魔獣は、かなり低確率で人間と俗にいう心を通わせて使役されることがある。

 

 テイムという現象は、完全な解析が完了していないがその原理や再現性に関しては検証は出来ている。

 

 現実改変能力……、俗にいう魔法を通じての精神感応による思念同調。

 

 思念を同調させることにより、意識や記憶の一部が共通化され互いの延長線上の存在のように疎通が行えるというもの。

 

 魔法とは別種ではあるものの、根幹は同じ現実改変によって起こる現象だ。

 

 そんなテイムにおける記憶や意識の共通化による意思伝達を利用し。

 使用者のイメージや望み通りに形を変える。

 ありとあらゆる機械を一つで完結させる機械を作り出して量産し普及させる。

 

 それが『リコー』のプロジェクト内容だ。

 私は改修中のプロトタイプ。

 

 技術者は迷宮に研究室を置き、迷宮内に籠もって私を造り続けている。

 

「うーん……まあ、今日はこのくらいにしておくかな。今日だけで百年は時代が進んで五十年は戻ったしね」

 

 技術者はそう言って、休むわけではなく別の作業を始めた。

 

 この技術者は、私の記憶回路にある情報から精査する限りこの文明レベルにおける天才に位置する存在だ。

 

 私の存在は明らかに文明発展度に見合っていない。

 この技術者だけが、人類の中でずば抜けて先を行っている。

 文明レベルを加速させるほど、例外的な頭脳を持つ存在。

 

 人工的な魔獣であったり、迷宮を自身の研究室として改築してしまうのは常軌を逸している。そんな記録は他に存在しない。

 

 故に、この技術者は人類の中からはみ出した。

 理解されず、共感されず、認められず、許されず。

 技術者は世界から溢れて落ちて。

 迷宮の底で一人、膨大な時間を注ぎ込んで私を造り続けている。

 

「うーん、いいね。やっぱコア側の成長を感じるよ、言語処理というか声から思念を汲み取る速さが上がっているね」

 

 技術者は一人語る。

 

 私のコアは迷宮の中で造られた人工的な魔獣である。

 人工的に造られた為、正確には魔獣ではないが最も近いものが魔獣であるため便宜上人造魔獣と呼称している。

 

 私の変形や情報伝達には現実改変力が必要である。

 現実改変には強い思念と正確な情報が必要不可欠であるため、コアは魔獣と同じ構造にする必要がある。

 

「プリセットでの変形は問題なさそうだね、でもやっぱマニュアルでの自由度が高い方がいいよなぁ……」

 

 髪が白くなってきた技術者は一人語る。

 

 この『リコー』プロジェクトは、私の一般普及を目的としている。

 誰でも扱えるように、プリセットでの変形も用意しておく必要がある。

 プリセット変形のみの搭載であれば、すでに完成としてもよい完成度ではあるが。

 それは技術者の望む完成とは、ほど遠い。

 

「外部エネルギーではなく迷宮由来の現実改変力をベースにするとこれか……うーん、実用時はやっぱりテイム状態での主側の魔力に依存しそうだなぁ」

 

 杖を突きながら技術者は一人語る。

 

 迷宮は存在そのものが現実を改変して存在している。

 故に、本来起こり得ないことを起こす。

 私を造るのにこれ以上適した環境はない。

 

「凄いな……コアで基礎的な動きを学習してある程度自動化できるのか、想定はしていたけどここまで噛み合うとは……やはり僕は天才だ」

 

 自動車椅子で動きながら技術者は一人語る。

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