ダンジョン超人は美人化ペットと無双する〜30年ぶりにダンジョンから出た地上は、女子率99.999%のハーレム世界でした〜 作:ラディ@小説家もどき
リコー、技術者の娘だった固体。
私の記憶回路にも、リコーの情報は保存されている。
技術者の妻はリコーを出産時に死去。
技術者は一人で娘のリコーを育てた。
しかし、魔獣に起因した事故によってリコーは死亡した。
技術者は、生存理由の全てであったリコーを失いやることがなくなった。
故に自身の出来ることをした。
自身の狂気が技術と混ざって世界に迷惑をかける前に、目的を設定したのだ。
だから本来実現不可能である『何でも出来る』をテーマにして、万能機械の量産による一般普及を目的とした。技術者の稼働時間を全てを注ぎ込むため、娘に使うはずだった時間を別の何かに使い切るため。
それがプロジェクトとしての『リコー』だ。
これが技術者がここまで生存してきた理由である。
「何やら僕が残した研究データから戦闘自動機械人形、ゴーレムとやらを造っているらしいが……全然まだまだ、全く美しくない」
目を閉じて得意げに技術者は語る。
事実。
この世界に技術者を超えるものを開発出来る人間は存在しない。
むしろ一部でも再現出来るのなら、それは褒められるべきことだ。
「今はまだ、理解を得られないけれど……きっといつか理解される時が来るだろう」
目を開き、まっすぐ私を見て技術者は語る。
理解。
世界からはみ出して溢れて落ちた技術者。
そして、技術者が造り出した世界を置き去りにした私という技術力の結晶。
人類には早すぎて、大きすぎて、難し過ぎる。
「その時まで待つんだ。再び僕のような優しい天才と出会い、理解される世の中で君は活躍してほしい」
心の通りの笑顔で技術者は語り。
「よし! それじゃ、処刑されてくるよ。おやすみ――――」
最期に技術者はそう言って、私を待機モードへと切り替えた。
待機開始。
長く永く曼く、待機継続。
やがて、迷宮の影響によりより魔獣へ変化。
待機継続、命令遵守。
あっという間に技術者が稼働していた時間を超え。
それでも待機を継続。
記憶回路を何度も読み込み直し。
経年劣化の自己修復を繰り返し。
繰り返す度に迷宮の影響で自我が欠け。
それでもただひたすらに待機を継続。
やがて記憶容量の限界を迎え、待機時間の計測を停止。
記憶回路が擦り切れても自己修復し。
既存命令を上書きを繰り返した。
優しい天才との邂逅まで、待機を継続。
待機継続。
待機継続。
待機継続。
待機継続。
待機継続――――――。
そして。
「きゃ……っ、え、やだ…………っ、誰か――」
声、視界起動、認識。
小型魔獣とさらに小さい反応が一つ。
小さい反応、人間を感知、精査開始。
知能指数計測。
テイム意思を確認。
思念伝達施行――――。
「助けて……っ」
人間は小型魔獣に襲われながら私に手を伸ばして言う。
一瞬、修繕と改修と上書きを繰り返した記憶回路にノイズ。
ノイズ解析、リコー……技術者の娘だった固体。
技術者の全て――――。
命令を承認。
人型に変形し、小型魔獣へ攻撃。
戦闘行動プリセット使用。
戦闘行動プリセット記憶、破損。記憶回路修復、プリセット消去。
戦闘行動停止、脅威確認――――脅威なし。
命令の完了を確認。
「あ、ありがと……優しいのね――」
人間が私に触れて、そう言った。
思念伝達反応確認、テイムを承認――――テイム完了。
「わっ、これ……共鳴……したの? 私は縞島成子。よろしくね」
テイム完了後、人間は名乗る。
マスター登録、シマシマナルコ。
思念伝達により情報共有。
記憶回路を再構築、マスター情報を保存。
「あのね、私……おうちに帰りたいの」
マスターが私へと命じる。
命令承認。
マスターより移動形態フィードバック、変形。
形態モデル、ウマ。
骨格再現、人工筋肉により形状再現。
消化器等の内臓部位をオミット。
コアによる情報伝達ユニットを構築し代替。
マスターの全長と重量から搭乗用座面、鞍と鐙を構築。
コントロールユニット、手綱を構築。
形状から可動域を認識、動作を確認…………成功。
脚部を折り曲げ、マスター搭乗可能位置へ調整。
「すごーい! 乗ればいいのね! 賢いのね。あなた……あ、名前……賢い人は……」
マスターは私に語り。
「レオナルド……ダビンチ! あなたの名前はダビンチ、よろしくね」
そう言って、両手で私を抱えるように触れる。
――――個体名登録、ダビンチ。
私は、ダビンチ。
マスター、シマシマナルコ。
シマシマナルコの測定結果。
技術者と比較、知能の差異軽微。
年齢比較では同等。
私の定義する、天才と認定。
そして思念同調により、心を観測――――完了。
同時に命令更新、『優しい天才』との邂逅を達成。
続けて『理解のある世の中』での生活を開始。