ダンジョン超人は美人化ペットと無双する〜30年ぶりにダンジョンから出た地上は、女子率99.999%のハーレム世界でした〜   作:ラディ@小説家もどき

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03優しい天才

 リコー、技術者の娘だった固体。

 私の記憶回路にも、リコーの情報は保存されている。

 

 技術者の妻はリコーを出産時に死去。

 技術者は一人で娘のリコーを育てた。

 

 しかし、魔獣に起因した事故によってリコーは死亡した。

 技術者は、生存理由の全てであったリコーを失いやることがなくなった。

 

 故に自身の出来ることをした。

 自身の狂気が技術と混ざって世界に迷惑をかける前に、目的を設定したのだ。

 

 だから本来実現不可能である『何でも出来る』をテーマにして、万能機械の量産による一般普及を目的とした。技術者の稼働時間を全てを注ぎ込むため、娘に使うはずだった時間を別の何かに使い切るため。

 

 それがプロジェクトとしての『リコー』だ。

 これが技術者がここまで生存してきた理由である。

 

「何やら僕が残した研究データから戦闘自動機械人形、ゴーレムとやらを造っているらしいが……全然まだまだ、全く美しくない」

 

 目を閉じて得意げに技術者は語る。

 

 事実。

 この世界に技術者を超えるものを開発出来る人間は存在しない。

 

 むしろ一部でも再現出来るのなら、それは褒められるべきことだ。

 

「今はまだ、理解を得られないけれど……きっといつか理解される時が来るだろう」

 

 目を開き、まっすぐ私を見て技術者は語る。

 

 理解。

 世界からはみ出して溢れて落ちた技術者。

 そして、技術者が造り出した世界を置き去りにした私という技術力の結晶。

 

 人類には早すぎて、大きすぎて、難し過ぎる。

 

「その時まで待つんだ。再び僕のような優しい天才と出会い、理解される世の中で君は活躍してほしい」

 

 心の通りの笑顔で技術者は語り。

 

「よし! それじゃ、処刑されてくるよ。おやすみ――――」

 

 最期に技術者はそう言って、私を待機モードへと切り替えた。

 

 待機開始。

 

 長く永く曼く、待機継続。

 やがて、迷宮の影響によりより魔獣へ変化。

 待機継続、命令遵守。

 

 あっという間に技術者が稼働していた時間を超え。

 それでも待機を継続。

 

 記憶回路を何度も読み込み直し。

 経年劣化の自己修復を繰り返し。

 繰り返す度に迷宮の影響で自我が欠け。

 それでもただひたすらに待機を継続。

 

 やがて記憶容量の限界を迎え、待機時間の計測を停止。

 

 記憶回路が擦り切れても自己修復し。

 既存命令を上書きを繰り返した。

 優しい天才との邂逅まで、待機を継続。

 

 待機継続。

 待機継続。

 待機継続。

 待機継続。

 待機継続――――――。

 

 そして。

 

「きゃ……っ、え、やだ…………っ、誰か――」

 

 声、視界起動、認識。

 

 小型魔獣とさらに小さい反応が一つ。

 小さい反応、人間を感知、精査開始。

 

 知能指数計測。

 テイム意思を確認。

 思念伝達施行――――。

 

「助けて……っ」

 

 人間は小型魔獣に襲われながら私に手を伸ばして言う。

 

 一瞬、修繕と改修と上書きを繰り返した記憶回路にノイズ。

 

 ノイズ解析、リコー……技術者の娘だった固体。

 

 技術者の全て――――。

 

 命令を承認。

 人型に変形し、小型魔獣へ攻撃。

 

 戦闘行動プリセット使用。

 戦闘行動プリセット記憶、破損。記憶回路修復、プリセット消去。

 

 戦闘行動停止、脅威確認――――脅威なし。

 

 命令の完了を確認。

 

「あ、ありがと……優しいのね――」

 

 人間が私に触れて、そう言った。

 

 思念伝達反応確認、テイムを承認――――テイム完了。

 

「わっ、これ……共鳴……したの? 私は縞島成子。よろしくね」

 

 テイム完了後、人間は名乗る。

 

 マスター登録、シマシマナルコ。

 思念伝達により情報共有。

 

 記憶回路を再構築、マスター情報を保存。

 

「あのね、私……おうちに帰りたいの」

 

 マスターが私へと命じる。

 

 命令承認。

 マスターより移動形態フィードバック、変形。

 

 形態モデル、ウマ。

 骨格再現、人工筋肉により形状再現。

 消化器等の内臓部位をオミット。

 コアによる情報伝達ユニットを構築し代替。

 マスターの全長と重量から搭乗用座面、鞍と鐙を構築。

 コントロールユニット、手綱を構築。

 形状から可動域を認識、動作を確認…………成功。

 

 脚部を折り曲げ、マスター搭乗可能位置へ調整。

 

「すごーい! 乗ればいいのね! 賢いのね。あなた……あ、名前……賢い人は……」

 

 マスターは私に語り。

 

「レオナルド……ダビンチ! あなたの名前はダビンチ、よろしくね」

 

 そう言って、両手で私を抱えるように触れる。

 

 ――――個体名登録、ダビンチ。

 

 私は、ダビンチ。

 マスター、シマシマナルコ。

 

 シマシマナルコの測定結果。

 技術者と比較、知能の差異軽微。

 年齢比較では同等。

 

 私の定義する、天才と認定。

 そして思念同調により、心を観測――――完了。

 

 同時に命令更新、『優しい天才』との邂逅を達成。

 続けて『理解のある世の中』での生活を開始。

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