ダンジョン超人は美人化ペットと無双する〜30年ぶりにダンジョンから出た地上は、女子率99.999%のハーレム世界でした〜 作:ラディ@小説家もどき
「確かに火力不足は否めないか……、でもエスメラルダによる拘束によるサポートはかなり有用ではある。拘束状態なら喜怒さんが殴り殺しきれる等級のモンスターもいるし」
私は喜怒さんの話を咀嚼して、現状における評価を述べる。
エスメラルダは火力がないだけで、攻略に対する有用性が低いわけじゃあない。
赤竜王討伐でも拘束したり、その前の中規模で討伐したヤマタノオロチ型ボスの時も毒を封殺したり里々ちゃんを守ったりと大活躍だった。
「……やはりそのくらいが精一杯か。単独だと強災級が限界だな」
私の評価に喜怒さんは残念そうに言う。
「でも強災級も本来複数人討伐推奨だし、このパーティにいると感覚おかしくなると思うけど当然のように壊災級以上を単独討伐してる方がおかしいからね。だからそこを基準として、拘束によるサポートと回復役として撤退の判断さえできていれば十分過ぎると思いますよ」
私は淡々と事実を述べる。
ここは「もっと出来る」とか「頑張ろう」とか励ます場面じゃあない。
喜怒さんは貴重で凄まじい回復役、言ってしまえばこのパーティの要だ。
迷宮攻略分隊は喜怒さんとエスメラルダの存在があるから、無茶な大規模攻略を強行できている。これは間違いない。
浅い励ましで喜怒さんに無茶をさせるなんてのはナンセンスだ。私はSランク攻略者、仲間を励ますことすら出来ないほどに私はどうしようもなく攻略者なんだ。
「うむ……だがそれだと……」
喜怒さんは納得しつつ。
「大規模攻略……、いや絶災級討伐において出来ることが極端に少なくなる」
一番の不満、いや不安を語る。
「いや、わかっている。回復は攻略の要になりうる、エスメラルダの存在があるからみんなが思い切って戦えるという面もある。そのためにも僕がクレバーに引くことも全体の攻略効率を上げることはわかる。赤竜王の時のように、作戦の一部として動けるようにしておくことも重要だ」
喜怒さんは私の思っていたことをそのまま語る。
ちゃんと理解している。その上での悩み――。
「しかし、乃本に負担がかかりすぎていないか……?」
ぽつりと、それを述べる。
「今回は確かにやむを得ない事態ではあったが、大規模ダンジョンへ絶災級ボスの単独討伐をさせるのは……やはり許容すべきことではないだろう」
そのまま喜怒さんは続けて語る。
これは…………その通りだ。
パーティで役割を決めたわけだから、私はこれを甘えとは思わない。
でも、緊急事態とはいえ大規模ダンジョンに一人で潜らせて絶災級ボスを単独討伐なんて本来は自殺行為でしかない。
「再生能力という特異体質があっても不死身なわけじゃあない。今回、乃本がどんな負傷をしたかはわからないが……あの服の破れ方から見るに何度か胸部と背中に大きな損傷を負っていたはずだ。心臓や肺や脊椎……死んでいてもおかしくない」
心苦しそうに喜怒さんは、百一についても語る。
確かに、特異体質がなかったら死んでいただろう。
今回私たちは青竜王を見たわけじゃないから、どういう脅威でどういう戦いが繰り広げられたかはわからないけど。
それでもヴィオラや赤竜王の恐ろしさは知っている。どちらもまともにやり合ったらいつでも死ねる相手だ。
「大規模ダンジョン攻略だ。危険はあるし、大なり小なり怪我もするだろう。だが間違いなく今後もあいつはこれを繰り返す……そのうち死ぬぞ」
喜怒さんは重く、それを言う。
そうか、それはそうか。
喜怒さんは私より先輩の攻略者で、回復役。
回復が間に合わなかった場面にも私より多く遭遇しているし、私より多く死を感じる場面にも体験してきた。
百一への信頼は別として、人が死ぬことを誰よりも理解している。
「僕らが乃本を止めるわけにもいかないし手を抜かすわけにもいかない。乃本の負担を減らすには、僕らが頑張るしかない」
喜怒さんは少し力強く、そう言った。
これはその通りだ。
最大戦力である百一を労ることは出来ない、動ける限りは動いてもらう。あいつが動けば動くだけ日本はかつての姿を取り戻せる。
私たちが百一を労わる方法は、少しでも活躍をして百一の負担を減らすこと。
足手まといになってはならない、私たちが百一の負担になってはならない。そのためには……まあ頑張るしかない。