ダンジョン超人は美人化ペットと無双する〜30年ぶりにダンジョンから出た地上は、女子率99.999%のハーレム世界でした〜 作:ラディ@小説家もどき
01寂しくて悲しい
私、ヴィオラは七竜最強の黒竜王であり主様の一番だ。
ん? 七竜最強というかそもそも七竜は大体の魔獣より強いんだから私はわりと地上最強か。今は
地上最強……うん、地上最強でいいな。地上最強の黒竜王だ。主様は世界最強だ。
世界最強の主様は今は緑の迷宮近くの街で、緑を殺すための準備を行なっている。
この『しこく』という地はどうにも大きめの島らしい。
この島の半分くらいが緑の迷宮になっている。
聞くところによると緑のやつ、対岸の陸地から橋を伝ってこの島へ迷宮化を伸ばしていったようだが……よくやるな。
悪樓の猛威を知る七竜は海には近寄らん。
赤も青も、人らにちょっかい出したいのならこの日本という地から出てこの世界全体で暴れ散らかせば良いのだがこの日本という地が海に囲まれていたが故に動きを制限されていたわけだ。
他の七竜も悪樓を警戒して海には出ない。
文字通り、そんな危ない橋は渡らない。
何より悪樓が暴れ出したら七竜が集まって一時的にも共闘みたいな流れになるのがダルい。殺して良いならまだしも、二度と会わなくていいなら会わない方が良いからな。私以外の七竜は総じて気持ちが悪い。
魔獣もそんな七竜の影響から基本的に海には近づかない。大した知能のない魔獣ですらそうなのに。
緑は馬鹿が過ぎる。
まあ、今の緑は悪樓を直接知らんというのもあるがある程度の思いや想いの重さは前の緑から引き継いでいるはずなのだが……やはり馬鹿なんだろう。
卓越した現実改変力を迷宮創造にのみ使い、無駄にデカくなり密度や強度をおざなりにしている。
現実改変力の高さだけでいえば私に次ぐといえるが、強さでいうんなら七竜最弱だ。
とはいえ、七竜だ。人らに後れを取るなんてことはあり得ない。
確かに魔法のないこの世界の人らでは手に余るのは理解はできるが…………。
「主様よ……準備しすぎじゃあないか? 青より弱いぞ、あれ。パッと行って殺してしまえば良いだろう」
私は机に向かい、何やら考えを必死に書き留めている主様へと文句を垂れる。
「パッと行って殺せてたまるかあんな巨大怪獣。サイズ差だろうと速度差だろうとなんだろうと、差がありすぎると成立しない。成立させるためには準備が必要なんだよ」
主様は机を向きながら背中で私に返す。
「そうか? 第二形態で主様と飛んで殴り続ければ五年程度あれば殺せるだろ、私だけでも十年もかからん」
私は主様の回答に、過不足のない分析を述べる。
主様は私を倒すのに三十年かかった。
私より弱く、さらに私も一緒なら三十年もかからない。緑程度ならあっという間だ。
「五年もあんな巨大怪獣を暴れさせたら近隣の居住区にも被害が出るだろ、人命最優先だ。攻略と討伐の成功は前提として、実際モンスター人間とやらが緑竜王を刺激しているせいで四国ダンジョンによる迷宮災害がかなり不規則に起こっていたりもするからな。人的被害を出さないように迅速に攻略し討伐を遂行する。そのための準備だ」
私の分析に主様はつらつらと思惑を語る。
そうか人命最優先か。
これは主様における絶対だ。
私には全てを理解は出来ないが、主様を尊重することは出来る。
命あるものはいつか死ぬ、弱けりゃ死ぬし強くても死ぬ時は死ぬ。
これは何をどうしても覆らない決まりだ。私もいつか死ぬし主様も死ぬ。
だからどう死のうが、別にそれがその時だっただけのこと。
死は何かしらに思いと想いの重さを残して、次の生へと繋がり、生命としての完成度を上げていく。そういうものだ。
まあ、私たちにはない種族や国家という集団としての思想だったりがあって。主様はそもそもそういったものを守る役割として生まれた存在だったというのは理解している。
理解はしているが、それはそれとして。
「ふむ…………だが私は退屈だ! 最近は一緒に風呂も入っとらん! 寝るのも別々な時がある! 抱っこも足らん! 戦いたい! 殺し合いたい‼」
私は不満を言葉にしてぶつける。
ちょっと前は小さき者に付きっきりだったし、私は悪樓を見張っていたし。
なんなら小さき者を抱っこもしていた。怪我した程度で……私は強すぎて怪我なんぞ出来んから介抱されたりしないのだぞ。なんかしっかりくっついていたし。
一番は私なのに。私が一番なのに……。
寂しくて悲しいぞ。