ダンジョン超人は美人化ペットと無双する〜30年ぶりにダンジョンから出た地上は、女子率99.999%のハーレム世界でした〜 作:ラディ@小説家もどき
一直線に、超高層ビルのように伸びた緑竜王を追い越すようにヴィオラと乃本が飛び上がる。
真上を向いた緑竜王のさらに上を取り、ヴィオラは第二形態から第三形態へ姿を変える。
高高度から落下しながら乃本はヴィオラの頭に掴まり、ヴィオラの視界に入るように腕を伸ばして照準を定め。
ヴィオラは凄まじい出力の炎を……いやもはや光線のような熱線を放った。
高温過ぎてとんでもなく発光している。直視することができない。
ヴィオラ曰く、最大出力の炎は太陽の中心と同じ温度だという。
そんな炎を大気中に放ったら、一瞬で周囲の酸素を焼き尽くして燃え上がるというか爆発して周囲の物質は蒸発か融解する。
そもそもヴィオラ自身も隣にいる乃本も一瞬で蒸発する。
しかしこれは現実改変というものによって物理現象を無視した、ただヴィオラが相手を殺すために放ったもの。
どうにもその熱量は相手を貫いて焼き尽くすためだけに高密度に圧縮され、相手を殺す以外に不必要な反応は起こさずエネルギーをロスさせないらしい。
そんな殺意の弩級熱光線が、緑竜王の口内から体内を一直線に貫いて内側から焼く。
頭部の破壊ではなく、体内の何処かにある核を一気に焼き尽くす。どこにあろうが全身を真っ直ぐ貫かれたら当たる。
最初からこれを狙った討伐作戦だ。
ダンジョン復元による再生能力がある限り、長期戦は不利だ。
ヴィオラの超火力で一気に決める。
このために乃本たちは近接で注意を引き。
煩わしい遠距離火力にて削り。
これ見よがしにミライが空から指示を出した。
そして乃本の作戦通り、緑竜王は真っ直ぐと身体を伸ばした。
そこに物理現象を超えた、相手を殺すためだけの超火力……。
他に影響が少ないとはいえ、それでも気温が一瞬で上がる。四国が夏になった。
おそらく近くにいる乃本も焼けている、でも根性と再生能力で耐えているだろう。
ヴィオラ第三形態は札幌近郊で起こった迷宮災害時に見たことがあったが、あの時も凄まじいと思ったが……かなり加減をしていたようだ。
こんな超火力……過剰も過剰だ。
もしもこんな超火力の攻撃を敵が使ってきていたら……、こんなのを撃たれたら余裕で札幌ですら消し飛ぶ。
本当に気まぐれで、人類は滅ぶ。
ヴィオラが味方で良かった。心からそう思える。
そして、数秒間の強烈な光が止み。
「――――倒れるぞぉぉぉおおおおおおおッ‼」
通信機から乃本の声が響き渡る。
超弩級火力に焼かれた緑竜王は、真っ直ぐに伸びたままゆっくりと傾いて。
地響きを上げて、倒れた。
私たちの待機する位置ギリギリに、緑竜王の頭が向く。
待機位置まで計算していたのか……?
真っ黒に焦げた緑竜王の身体から熱が伝わる。
あんな高熱で焼かれて原型を残しているなんて……、もし女体化症候群が存在せず海外から兵装の補給が出来ていたとしてこんな頑丈なモンスターを討伐する術なんてあるのか……?
頭の中でそんな考えが駆け巡るけど、そんなことより。
「――――衛生治療班は一時退避! 消失が起こっていない‼ まだ動くぞ‼」
僕は即座に回復役たちに指示を出す。
油断はしない。
赤竜王は首の皮一枚から僕らを鹿児島まで跳ばした。
ここからさらに乃本たちが頭部の破壊に動き出す、僕らが近すぎるとパフォーマンスを発揮出来ない。
回復の隙を与えずに畳み掛ける場面だ。
このまま勝ち切る。
この攻略は僕らの勝ちだ。
なんて終わりを見据えた、その瞬間。
凄まじい速さで、僕らを飛び越えるように。
一つの人影が飛び出す。
一瞬だけど確認が出来た。
白髪混じりの栗色の髪。
ボロの布に包まって、マントのようになびかせる。
目つきは鋭く、真っ直ぐ緑竜王を狙う。
常軌を逸した跳躍力。
モンスター人間が、現れた。
このタイミングでの乱入……っ、緑竜王を討伐するために機を伺っていたのか?
僕は咄嗟にエスメラルダへ、モンスター人間の拘束を指示しようとする。
モンスター人間はその正体がどうあれ保護するというのが乃本が決めた方針だ。
そして攻略に介入もしている、これは公務執行妨害現行犯での逮捕でもある。
しかし、ふと頭に過ぎる。
このモンスター人間が乃本と同等の戦闘能力を有しているのなら、このまま緑竜王に攻撃させた方が良いのではないか?
畳み掛けるべき場面であり、少しでもダメージを重ねて回復させないことは重要だ。
でも民間人を攻略作戦に――――――。
そんな思考、つまり迷った。
ほんの一瞬、半端に欲をかいて賢しく考えた。
その半端な僕の迷いが生んだ一瞬の中で。
緑竜王が反応。