ダンジョン超人は美人化ペットと無双する〜30年ぶりにダンジョンから出た地上は、女子率99.999%のハーレム世界でした〜 作:ラディ@小説家もどき
「ああ、まだ完治はしていないが大体治った。残りは適当なダンジョンで治す。というかその髪はどうしたんだ?」
乃本はレインコートを羽織った僕の方に向き直して、そう返して僕の髪について尋ねる。
「エスメラルダと混ざった時に伸びたんだ…………変か?」
僕は伸びた髪を触りながら尋ねる。
「よく似合っている。なんというか一番自然な感じがするな、可愛いぞ」
「へ?」
予想外の乃本の返しにマヌケな声を漏らしてしまう。
か、可愛い……? ええ? そういうの言うキャラだったか? 解釈不一致だぞ、この返しは。
「な⁉ 褒めるな主様! 私の方が可愛いだろ!」
「おまえ……姉がいる俺が髪型を変えた女性を褒めないで生きてこれたと思っているのか? この問いの答えは『似合う』と『可愛い』だけだ。間違えると骨を折られる、兄貴は『こけしみてえだな』と言って目の前で肋を砕かれた」
怒るヴィオラに乃本は淡々と答える。
そうか姉……僕は一人っ子だからわからないけど、乃本のこういうナチュラル色男感は姉によって培われたものだったのか。
まあそれはさておき。
「……なあ、僕は力になれていたか?」
僕は今回の攻略についての評価を求める。
作戦無視、僕は本来火力として勘定されてなかった。
単独で緑竜王の体内に飛び込んで、核を素手で殴ってくるなんて。
まあ自殺行為だ、無茶すぎる。結果オーライだっただけだ。
でも駆け抜けた。
結局これが、僕らしさだ。
「ああ、今回は完全におまえの日だった。今回は喜怒の無茶に救われた。あのまま畳み掛けられなければ、俺が回復する頃には緑竜王の方が先に回復していた」
真摯な口調で乃本は語る。
「無茶ばかりするなとはいうが、無茶を禁止しているわけじゃない。要は切りどころだ……今回の喜怒は最高の無茶だった、完全に俺の想定を超えていた……。これは人を超えている、今日のおまえは超人に匹敵していた」
乃本は続けてそう語り。
「すまない侮っていた、認識を改める。おまえは、いざという時にしっかりと戦える完璧な衛生治療兵だった。おまえを隊に誘って良かった」
僕らしさを完全に肯定することを、言った。
ああ嬉しい。
認められたんだ。
男とか女とかどうでもいい。
身体は女だし心も乙女だけど、僕のイメージしていた男のように強くなりたかっただけの攻略者だ。
もう髪も伸ばせる。
履きたくなったらスカートも履こう。
ヒカリあたりに化粧も教えてもらおう。
ノンプリのオンリーイベントにも行きたいし。
父は殴ればいい、やりたいようにやる。
そう、僕らしく。
「百一、僕もそう呼ばせて貰うぞ」
たっぷりと自信を得て、真っ直ぐと百一に言うと。
「ああ好きにしろ、乱丸」
百一はあっけらかんと、僕を呼ぶ。
男にはなれなかったし、ならない。
でも憧れの男と肩を並べられるようになった。
僕は満足感で胸がいっぱいになったところで。
「……モモカズ…………? ノモト……モモカズなのか……?」
低い声。
咄嗟に声の方を見ると、民家の屋根の上に人影。
ボロ布を纏う斑髪。
モンスター人間が、目を丸くして百一を見ていた。
百一を知っている……?
やはり攻略隊と関係があるのか……?
それとも百一が攻略者になる前の人間関係……?
そもそも話せたのか? 会話が成立するのか?
というか……綺麗な顔をしている。
なんだろ……少しだけ既視感がある気がするが、こんな美形なら一度見たら忘れないと思うが……。
なんて、僕が混乱し始めていたところ。
「待て、話をさせろ。悪いようにはしない、一旦保護を受け入れて事情聴取を――――」
百一がモンスター人間へ語りかけた。
が。
凄まじい速さで、巨大な炎を纏った鳥がモンスター人間を掴んで飛び去る。
な……っ、あれがモンスター人間の戦闘ペットなのか? 人を乗せて空を飛べる……かなりの有用性のある戦闘ペットだ。
なんて驚いていると、あっという間にモンスター人間は飛び去って姿を消した。
モンスター人間という謎は残ったし、僕もモンスター人間に片足を突っ込んでいるというところでもあるが。
とりあえず、そんな問題は後回しでいい。
絶災級ボス、緑竜王討伐。
並びに四国ダンジョン攻略、完了。
一旦この余韻に浸らせてくれ。