ダンジョン超人は美人化ペットと無双する〜30年ぶりにダンジョンから出た地上は、女子率99.999%のハーレム世界でした〜 作:ラディ@小説家もどき
01本当に困っている人は
私、ペロー・グリュンは神に仕える修道女でございます。
まあもう教会から追放されているので修道女とは言えないのかもしれませんが、信仰に対して真摯に向き合っているので精神的には修道女です。
私は間もなく死にます。
理由としては……迷宮追放刑にて、私が迷宮の奥深くに一人でいるからでしょう。
教会に生まれ育った二十八年の人生において、私は一秒たりとも戦ったりなんてことをしたことがありません。考えたことすらありません。
故に、私は確実にこのまま魔獣に食べられて死ぬことになるでしょう。
では何故、ただの修道女である私が迷宮追放刑なんて刑罰を受けているのかというと。
これは私が個人的に行っている夜のお仕事に関係しています。
夜のお仕事というと何やらいかがわしいように聞こえてしまいますね……実際に消灯時間後から活動していたので文字通りに夜のお仕事という意味です。
私は『癒し』の魔法を使います。
これも文字通り、他者の怪我や病気を治して癒す魔法です。
教会でも、訪れた人々の怪我を治したりとかなり重宝していました。
貴族の方や軍の方や冒険者の方の治療なども請け負ったりもしています。
私はこの魔法で、多くの人の傷を癒して救ってきましたが。
教会での活動では足りませんでした。
故に私は消灯時間後に抜け出して、教会に出向くことの出来ない人々の治療を行ってきました。
教会に出向けない方々……具体的には経済的に何があったり信仰心が薄かったり表向きに活動のできないような人々を救って参りました。
本当に困っている人は、本当に助けの必要な人はいつだって視界の外にいるのですから。
私は幼き頃、教会の近くに住んでいたお友達であるリコーちゃんを失った際にそれを痛感しました。
もう二十年以上も前の話。
「ペローちゃん見て! パパが作った自動バギー! これ乗って遊び行こう! 山まで行って果物食べよ」
その日、リコーちゃんは嬉々としながら私をいつものように遊びに誘いました。
私はこの頃はまだ修道女ではなく、教会併設の孤児院にて暮らしているただの孤児でした。
リコーちゃんは教会の近くで、技術者……? 発明家……? の父親と二人で暮らしていました。
いつもリコーちゃんはリコーちゃんの父が作った遊び道具を持って、私と一緒に遊ぶというのがお決まりの流れでした。
私は教会や孤児院の外の世界を見せてくれるリコーちゃんが大好きでした。
でもこの日のお誘いは、都合が悪いものでした。
「あんまり教会を離れるのはダメなんです……。怒られてしまいます。裏の原っぱまでならお付き合い出来ますよ」
私はリコーちゃんと遊びたい気持ちと、孤児院の規則で揺れ動きながら答える。
孤児院の規則では、しっかりと院内の手伝いや勉強やお祈りをして人々に迷惑をかけず門限までに戻れば基本的に遊びに行っても問題はありません。
でも実はこの前日に私は院のお皿を割ってしまってお叱りを受けており、山まで行って戻ってだと門限に間に合わないかもしれないのです。
連日で問題を起こすと、外出自体を禁じられてしまうかもしれなかったので少し遠出は難しい状況でした。
「えー、原っぱかぁー。うーん…………じゃあ原っぱで一緒に遊んで、ちょっと待ってて! 私だけさくっと山まで行って、果物採ってくるから! ほらほら乗って!」
リコーちゃんは私の思いを汲んで、折衷案を出す。
私はそれを受け入れて、リコーちゃんの乗る自動バギーというものにまたがって一緒に原っぱへと向かいました。
リコーちゃんの父が作るものは、とても不思議で便利なものが多く。未だに普及していないような、凄いものばかりでした。
この自動バギーという乗り物も、馬やトカゲなどより小さいのに力強く走破性のあるもので子供二人を乗せてあっという間に原っぱへと到着しました。
原っぱでも二人で自動バギーを乗り回したり、一緒にお花を摘んで冠を作ったりお話をして遊んで。
「じゃあ行ってくるね!」
「うん、気をつけてね」
良き頃合いで、リコーちゃんはそう言って山へと向かったのを私は見送りました。
これがリコーちゃんとの最後のやり取りになりました。
そこから私は暗くなるまで原っぱでリコーちゃんを待ちましたが戻って来ず。
私は教会の人たちやリコーちゃんの父に伝えて、捜索が行われましたが。
翌朝、山の麓でリコーちゃんは冷たくなった状態で見つかりました。