ダンジョン超人は美人化ペットと無双する〜30年ぶりにダンジョンから出た地上は、女子率99.999%のハーレム世界でした〜 作:ラディ@小説家もどき
さらに畳み掛けられるように。
捜査の結果、私が治療を行った男性が貴族家襲撃で指名手配されていた方だったことが判明し。
兵士がその男性に怪我をさせ、遠くに逃げられないようにして後は追い詰めるだけだったところを私が治療を行い逃走を幇助したと捉えられたことと。
その男性と関係を持っていたことから、共犯関係にあると判断された。
さらには直近で異端審問により教会から追放されていたことや、教会関係者から私の活動に対しての悪い噂が出てきたことにより心証を落として。
「――以上により、ペロー・グリュンは迷宮追放刑に処す」
裁判の終わりに、裁判官の方は私へと告げた。
こうして、私は迷宮の底へ置き去りにされたのでした。
私の何が悪かったのでしょうか。
いや、これは正確ではありませんね。教会の規則を破るのは悪いことです。
信仰に対して不誠実だと思われても仕方ありません。
個人的な活動での気晴らしに性行為に及ぶのも、身勝手な話として捉えられて然りでしょう。良くはないことではあります。
でも、そんなことよりも人命は全てに優先されるべきなのです。
この世界には魔獣という絶対的な悪が存在します。
私たちの生死には必ず、魔獣が絡んでくる。
迷宮から湧き出た魔獣が人々を襲い。
魔獣から疫病が流行したり。
流通を阻害され飢饉の発生や十分な治療が行えなかったり。
地滑りや雪崩や山火事などの自然災害が誘発されたり。
七竜や炎鳥などの魔獣の気まぐれによって街や国が消し飛び。
伝承によると悪樓という魔獣によって世界は一度滅びてもいます。
そんな理不尽で不条理な、私たちに死だけをもたらす存在が蔓延っているこの世界で人の命はとても脆くて儚く弱い。人は容易く簡単に死んでしまう。
愛も友情も未来も可能性も、全てを踏みにじっていく。
私はそれが許せないのです。
だから私はそれに抗うために、救える命を片っ端から救いたいのです。
だってリコーちゃんは、私がこうだったらきっと救えたはずだから。
リコーちゃんには私と同じだけ楽しいことも悲しいことも沢山あったはずなのに。
可愛いリコーちゃんはきっとモテたでしょう。
私よりもいっぱい性行為に及ぶこともできたでしょう。
リコーちゃんの父と共に色んなものを作って、人々を助けられたでしょう。
大人になれたはずなのに、そんな理不尽は無くしたい。私は何も間違っていない。
でも、私はここで死にます。
憎き魔獣に食い殺される……なんて皮肉な刑罰なのでしょう。悪趣味が過ぎますね。
もう私には誰も救えません。
私自身も、救われることはありません。
私に出来ることは、これしかない。
目を閉じて手を合わせ、祈り始める。
ここは迷宮の底、最も天から遠い場所。
神に届くかはわかりませんが、やれることはこれしかないのです。
ああ、一つでも理不尽な死を減らして未来はある命を救いたかった。
もっと色んなところに、誰もが見逃してしまうようなところに手を伸ばしたかった。
一人でも多く、怪我や病気を直したかった。
もっととろけるほどに、淫らに爛れてみたかった。
沢山の人を包みこんで、守ってあげたかった。
もっと、もっと――――なんて、私の後悔だらけの祈りは終えるまでの間に。
私は頭を潰されて、死にました。
ああ、もっとやわらかく。
ぜんぶをいやして。
のばして、とどく。
とろけるようにやさしく――――。
「――――スライムか、大きいな」
こえがします。
「緑色……いや翡翠色……エメラルドグリーンか……? とても綺麗だ」
こえがします……あれ、けがをしています。
「敵意は…………ないのか? はは、可愛いな。丸くて柔らかそうで……うん可愛い」
こえがします。いたそうです。
おいで、なおしてあげるよ。
「ははっ、柔らか――うわっ! なっ⁉ 離せ――」
こえがします。だいじょうぶ、あわてないで。
「…………あれ? なんだ……? 治しているのか?」
こえがします。そうだよ。
わたしは、けがをなおします。
「優しいね……ありがとう――――」
こえがします。
こころが、かんじます。
とけて、まざる。
とてもきもちがいい。
「――――な……っ、これは……共鳴した……のか? ははっ、すごいな……本当に共鳴としか表現できない」
こえがします。
よろこんでいます。わたしもうれしい。
「――僕は喜怒乱丸、僕と友達になってくれ……名前を考えなくちゃな……ヒスイ……エメラルド……うーむ」
こえがします。
ともだち。
ともだちは、まもる。
ぜったいに、あなたをたすけるよ。