ダンジョン超人は美人化ペットと無双する〜30年ぶりにダンジョンから出た地上は、女子率99.999%のハーレム世界でした〜 作:ラディ@小説家もどき
三人で一路、アパレルショップへ。
「なあ……ヒーちゃんこれ……ええ……着たけど……ホントにこれなのか?」
試着室の中から喜怒さんが不安な声を漏らす。
暗木さんが選んだ服と一緒に喜怒さんは試着室へと詰め込まれた。全く喜怒さんに選ばせる気のない強引なムーブ……、こういう時暗木さんはなかなかにエゴイスティックだ。
「いいから着たんなら見せなさい」
暗木さんは喜怒さんの声を聞いて、そう言いながら容赦なく試着室のカーテンを開ける。
「……変じゃないか?」
そう言いながら姿を見せた喜怒さんは。
タイト気味なサマーニットの肩出しセーターに、ハイウエスト気味なスリットの入ったデニムのロングスカートを履いていた。
「に、似合う……っ‼ 絶対コレだよ! 全く変じゃない!」
私は大喜びで率直な感想を述べる。
めちゃくちゃ似合う!
いーや脚が長い、ロングスカートがすごく良い。
スタイルが良いからタイト気味なセーターがばっちり決まってる。
足元はブーツとか合わせても可愛いかも。
えー、かっこいいけど可愛い。
私ももう少し背が高かったらなー、いいなー。
「じゃ次、ミライちゃんね」
そう言って暗木さんは私に服を持たせて、試着室へと詰め込む。
こんな感じに試着室ファッションショーを楽しんで。
「……よし、美容室に行ってくる!」
ばっちりお洒落をした喜怒さんは意を決して、美容室へと向かった。
「じゃーダラダラお茶でもして、帰ろっか」
「いいですね!」
喜怒さんを見送ったところで暗木さんの提案に私は賛同する。
少し歩いて、オープンテラスのあるカフェへと足を踏み入れた。
「暗木さんって、札幌の前は何処の居住区にいたんですか?」
私は注文したほうじ茶ラテに乗ったクマの顔が描かれたクリームの塊を沈めて混ぜながら暗木さんに尋ねる。
少し気になっていた。
他の居住区から移動してくる人っていうのは珍しい寄りではある。
少なくとも輸送力のある戦闘ペット持ちの攻略者の同行が必須になるし、よほどの役割を持った人じゃないと長距離移動は行わない。
いい機会だし聞いてみることにした。
「ん? あー札幌の前は大間でその前が柏崎刈羽でその前が志賀でその前がここでその前が島根だね」
暗木さんはつらつらとテーブルの上に置いたマー坊のタンクを突っつきながら答える。
「え……っ? 五ヶ所も渡り歩いてきたんですか?」
「まあね。島根で生まれてマー坊と出会って、有用性が注目されてね。大きい街で調べようってことで子供の頃に高浜へ来て攻略者学校に入ったの。でも飽きたから適当な理由つけて出た感じ」
驚く私に、暗木さんはロイヤルミルクティーに角砂糖を二つ落としてスプーンで回しながら過去を語る。
マー坊の有用性……、これは確かに居住区を渡り歩く理由にたり得る。
水を生み出す能力、類似する戦闘ペットは存在するけどその量と水の綺麗さは他の追随を許さないほどに凄まじい。
正直、マー坊の存在だけで海外なら一国が救えるレベルの価値がある。
日本は水が豊富で飲料水や生活用水や農業用水や工業用水まで、基本的に困ることがない。
でも深刻な水不足を抱えている国や地域は存在するし、無尽蔵に安全な水が湧くなんてとんでもないことだ。
そしてダンジョン攻略でも凄まじく活躍する。
ダンジョン内に持ち込めるものには限界がある、マジックバッグを用いても限界がある中で暗木さんは背負えるくらいのタンクから無尽蔵に水を出せるというのは攻略速度を上げる。
その功績により暗木さんは『水屋』という唯一無二の立ち位置を確立した。
「でも何処もめんどくさい感じだったかな。マー坊の力を独占しようとする感じ、わりと強引な引き留めもあったりしたけど。ほら、私そこそこ強いじゃない? 天才の向水ミライちゃんに誇れることじゃあないけど」
あっけらかんとそう言って、美味しそうにロイヤルミルクティーを啜る。
暗木さんは強い。
正直、全然Aランク相当の攻略者としての実力を持つ。
電撃による感電や水を維持できない高温や低温などの弱点はあれど生物的に血や体液の通った壊災級くらいまでなら体内に水が通った時点で必殺。
暗木さん自身の体力も低くないし、身体能力自体も高い。
何よりマー坊との連携指示が完璧すぎる。
端的な指示で暗木さんの思った通りに、マー坊は水を出して操る。
相手が半分氷で半分炎のゴーレムとかじゃあない限り、暗木さんは大体のモンスターを討伐できるだろう。
Aランク相当の実力と『水屋』としての力……、注目を浴びない方が難しい。
実際、女川でも川内でも伊方でも『水屋』としてかなり重宝されていた。