ダンジョン超人は美人化ペットと無双する〜30年ぶりにダンジョンから出た地上は、女子率99.999%のハーレム世界でした〜 作:ラディ@小説家もどき
うーん、まあでもそんなのは未来の話だ。
今はまだ考えなくていい、まだ大規模ダンジョンは残っているし日本中ダンジョンだらけ。全然復興も進んでいない。
迷宮攻略分隊がこのまま七大都市圏にある大規模ダンジョンを全部攻略したとしても、小規模や中規模はたくさんあるし戦闘ペットに需要はある。
この心配はまだまだ先の話。
だから暗木さんも、今はマー坊について悩んだり煩わしく思う必要はない。
そもそも私たちが生まれた時から日本はこうだったからね。需要が云々とか戦闘ペットが不要な社会に対してイメージできない。
そんなんはババアたちの幻想ってくらいに考えとけばいい。
私たちは若い、この時代は私たちが作ってるんだから。
「それに、暗木さんとマー坊の繋がりならマー坊が海に入っても暴走は起こさせないで制御できるだろうし」
私は頭の中で色々と考えて自己完結しながら、暗木さんへ無責任なことを言う。
無責任だけど、私も戦闘ペットを持つ攻略者。
体感ではあるけど、攻略者と戦闘ペットの信頼関係に対する根拠はもっているつもりなのだ。
「あーそれはムリ。マー坊は見た目によらず意思が強いから、多分本気で暴れようとするマー坊に私の声は届かない」
しかし、暗木さんはさらりと私の言葉を否定する。
「むかーし、マー坊をお風呂に入れたことがあるんだけどさ」
テーブルの上に置いたマー坊のタンクを指先で触れながら、暗木さんは語りだす。
「お風呂場が吹き飛んだ。たかだか二百リッター程度のお湯でそのくらいの力を発揮できるの。その時はなんとかギリギリ私の言葉が届いて、マー坊は止まってくれたけど……びっくりしたよ」
冷静に、いや努めて冷静に語りは続く。
「知ってる? 海って大体十三垓と五千百京リッターなんだってさ。億とか兆とかじゃなくて京とか垓、マー坊はそれだけの水を全て自分の身体の一部のように扱うことができる」
淡々と暗木さんはマー坊の力を語る。
じゅ、十三垓……? 知らなかったし言われても想像ができないというかより一層よくわからなくなった。
しかもその量の水を、いつもやってるみたいに圧縮して高圧で発射したり鞭みたいに動かしたり塩分濃度も不純物すらも自在に変えられるんでしょ……? 要するに十三垓五千百京キログラムの巨大というか環境規模の生物になるってことだ。
そんな大きな存在を止められるイメージも当然できない。
想像できないってことは意思として戦闘ペットへの疎通もできないということ。
私がダビンチを飛行機に出来ないように、イメージできないものは戦闘ペットに上手く伝わらない。
「単純にマー坊もテンション上がっちゃうのよ。文字通りの水を得た魚ってやつ、だから私は………………まあいいか」
そう言って暗木さんは少し微笑んで、タンクのマー坊をアクリル越しにつつく。
言いかけたことは、マー坊を水に近づけなかった理由みたいな話だろう。
確かにこんなこと攻略隊に知れたら面倒になるし、水発生装置として隔離されることになるだろう。
自由を好む暗木さんからしたら最悪の生活になる。
そっか、マー坊って思ってるよりおっかないのね。
まあでも、それはそうだとして。
「うーん、私って戦いのこととかそういうのはこの隊というか攻略隊全体でも疎い方だし何の責任もないからあれですけど……」
私は暗木さんの話を聞いて、そう前置いて。
「まあ、そんなに強いんならなんとか上手いことどさくさでインチキして使っちゃいたいですね」
超無責任発言をする。
だってこのまま大規模攻略できなかったら、多分遅かれ早かれ世界は終わるし。
マー坊の存在で海を警戒してるから日本からモンスターが海外に出てないってヴィオラちゃんも言ってたけど、どっかで私たちが失敗したりしたら七竜もマー坊が陸にいて可愛い小魚として生きていることに気づくだろう。
そしたらモンスターが日本に留まっている理由はない。
女体化症候群を引き起こしているとされる白竜王が、日本から一番近い大陸に上陸したら日本国内の感染速度から考えてあっという間に女体化症候群は世界中に蔓延する。
今の正確な世界人口はわからないけど、数十億人の男性が死んで生き残った男性も女になって生まれてくる子供は女児だけになる。どこの軍隊ももれなく過半数を男性で固めているだろう、女体化症候群で軍事力は落ちて迷宮災害対策にまた出遅れることになる。
どっちにしろ日本国内で迷宮災害を根絶できなかった場合に世界が終わるんなら、ワンチャンに賭けてマー坊のオーバーパワーを使うのもアリではあると思う。
もちろん最後の手段だけど、最後の手段として手札に入れておいていいでしょ。