ダンジョン超人は美人化ペットと無双する〜30年ぶりにダンジョンから出た地上は、女子率99.999%のハーレム世界でした〜 作:ラディ@小説家もどき
「面白すぎでしょ成子ちゃん。結構ヤバいこと言ってるからね」
ニコニコと楽しそうに暗木さんは私の発言に返すが。
「んーまあでも、やめとく。私もマー坊も面白くて楽しければそれでいいからさ、無茶をしてまで日本を救う信念みたいなものはないの。ごめんね」
しっかりと自分の中での線引を私に明かす。
うん、まあそれもそうだ。
危ないことはやらないに限る。
私も別にそんな過激派ってわけでもない。積極的にやることじゃあ絶対にない。
「そうですね。まあ百一さんがなんとかできる作戦出してくれるの待ちますか」
「うん、乃本氏なら上手いことやってくれるでしょ」
私たちはそんな感じで話を終えようとしたところで。
「……のもと……ももかず…………?」
喫茶店のテラスの前を歩いていた腰の曲がったお婆さんが、私たちの方を見て言う。
「今、乃本百一と言ったのか? 乃本百一とは……」
低い声で、少し驚きながらお婆さんはテーブルに乗り出すように私たちへと詰め寄る。
え、なになになになに怖っ! どうしよ、え? なに、乃本百一ファン? 攻略隊関係者なら百一さんの活躍が耳に入ってるとは思うけど……けっこうお年を召しているから攻略者ってわけではないと思う。
「ちょっとキュートばあちゃん! 怖がってますよ! ごめんね〜、この人もう九十七歳ではっきりしてないのよ。ほらおばあちゃん行くよ」
すぐに駆け寄ってきたヘルパーさんらしき若い人にお婆さんは窘められる。
「…………ごめんねえ、驚かせちゃったねえ。えっと…………これあげるね、ばいばい」
窘めれたキュートばあさんは、可愛らしい笑顔でゆっくりと小さなカバンから飴玉を取り出して私に握らせてヘルパーさんと一緒にゆっくりと去っていった。
びっくりした。
でもまあこういうこともあるか、大きい街だしご高齢の方もいるだろうし。九十七年も生きていたらはっきりもしない時もあるだろう。でもいいな、私もおばあちゃんの時にキュートって言われたい。
「九十七歳か……こっから八十年くらい生きたら私も…………ん?」
私は貰った飴玉を包み紙から口に放り込んで気づく。
ハッカ味なのはまあ全然好きだから良いとして……なんだこれ……いやでも文脈的に……。
「あの…………暗木さん……これ」
私は包み紙を広げて、書かれていた文章を暗木さんへと見せる。
広げた包み紙にはこう書かれていた。
『101、90ヨリ、厶851A2、ソウビアリ』
この101ってのが百一さんのことであるなら、この90……きゅうじゅう……きゅう、と、キュート! ああキュートばあちゃんのことか! 洒落てる!
ソウビアリってのが具体的になんなのかよくわからないし、正直わりとボケちゃってるように見えたから意味すらないのかもしれないけど。
「……めちゃくちゃ面白そうなんだけど」
目をキラキラさせて、暗木さんは私と同じ感想を述べた。
うん、なまら面白いこれ。
なんか暗号みたいなの書いてるし、何よりあのお婆さんが飴玉を探してカバンをゴソゴソしてる間にこれを仕込んでいたってのがさらに面白い。ワクワク感がすんごい。
私たちは宿に戻ってこのメモを百一さんへと渡した。
「あー……ボケちゃってるんだろ? その人……。まあ受け取っておくが……実はたまにいるんだよ。攻略隊から漏れたのか俺が男ってのを聞きつけて、なんか近づいて来ようとする民間人。ここまで中々にお姉さんの方は初めてだが……」
包み紙を摘んで、じっくりと見ながら百一さんは私たちの話にそんな返しをする。
も、モテ慣れている……っ。
そっかこういう感じでアプローチ……なくはないか。
「な……っ、主様はちょっかい出されていたのか? なんだそいつは、私の前で主様にちょっかいかけたらその場で食い殺してやるぞ!」
「食い殺すな馬鹿、ほらほら落ち着け」
ぷんすかするヴィオラちゃんを百一さんは顎下を撫でて宥めて。
この話は一旦ここで終ったのだけれど。
実は終わりじゃなくて、この夜に百一さんはメモを解読してキュートばあちゃんに会いに行ったらしいけど。
私は普通に寝てたので、詳しいことは百一さんをこっそり尾行していた暗木さんと乱丸さんから聞くことになったのでした。