ダンジョン超人は美人化ペットと無双する〜30年ぶりにダンジョンから出た地上は、女子率99.999%のハーレム世界でした〜 作:ラディ@小説家もどき
俺が最初に学習し、寝ている間まで徹底してきた身体操作は合気だ。
合気道やら合気柔術やら様々な流派や合気という概念に対する思想も違ったりするが、ざっくり重量や慣性や意識の動きを人体構造と心理的反応に則って弱い方向から力を加えて力の流れを反らしたり崩したりして掌握するもの。これを調和と言ったり同調と言ったりして表現しているだけだ。
関節を極めたり投げたりっていうのは結果というか流れとしての着地点に過ぎない。道としてなら安全に術としてなら破壊に着地させるだけ。
本質は力の流れの掌握。
対人において、これは何をするにも重要な思想となっている。
つまり。
こんな前のめりに突っ込んできてくれるのは、助かる。
右腕を叩きつけるように突っ込んできたモンスター人間に対して、入り身で懐に入り右腕を取る。
そのまま内ももに膝を入れて崩し。
マジックバッグから抜いた9mm拳銃で右大腿部を撃ち抜く。
「――ギィィ……ッ⁉」
流石のモンスター人間も突然の発砲で苦悶の声を漏らす。
そのまま二発を右大腿部に撃ち込んだところで、モンスター人間は転がるように接近状態から離脱する。
推定民間人への発砲なんてやりたかなかったが流石に緊急事態が過ぎた。
それに日ノ本特殊防衛人造超人なら大腿部を撃たれて死ぬことはない。後で乱丸に治させる。
これで奴の機動力も運動性能も落ちる。
このまま畳み掛けて、制圧する。
9mm拳銃を構えて追撃をしながら接近。
モンスター人間は右腕を薄く広げて防御体勢を取る。
よし動けねえな。
俺は接近と同時に震脚。
流れのままに、右腕の防御ごと鉄山靠で打つ。
――ああ、通った。
このまま意識ごとぶっ飛ばす。
「――ガギァ…………っ」
会心の手応えと共に発勁が通り、接触と同時に意識を絶たれたモンスター人間はそのままぶっ飛ぶ。
……よし。
俺は一気に思考を黄竜王討伐へと切り替えて動き出す。
ミライと里々は健在。
しかし消耗している、ヴィオラ曰く七竜の中でも戦闘能力は低いとしていたが絶災級であることには変わりない。
戦闘ペットなしの二人で討伐はかなり厳しい。
時間的な余裕もない。
迷宮災害も起こっている、ヴィオラたちにも限界はある。
一気に行く――――。
俺が黄竜王に向けて駆け出したところで、側頭部に凄まじい衝撃。
頚椎が悲鳴を上げるのを無理矢理根性で耐えて損傷を防ぐも、衝撃と勢いのまま地面をバウンドするように転がって建物の壁面に叩きつけられてようやく止まる。
……き、効いた…………死にかけたぞ。
つーかマジかふざけんな。
「……ごぶ……ぇっ……はーっ、はーっ…………はえー……だろ、起きん…………の」
俺は器官に溜まった血反吐を吐き切ったついでに、文句を垂れる。
視線の先にはモンスター人間。
あの発勁で…………いや? 様子が違う。
右半身のモンスター部分が……増えている?
顔にまで回って頭部から角が生えている。
目の輝きがない、ありゃあ腕立てさせられる。
こりゃあ……モンスター人間自体の意識は完全に絶ったようだが、そのせいでモンスター部分が強く出てきた……みたいな感じか?
くっそ……まあ別に何度向かってこようがぶっ飛ばすだけなんだが……効きすぎてる。ダンジョン内ならともかく外だとすぐには動けねぇぞ……。
「――――ぐ……っ、流石に第五形態でこの量は……人の身はこんなに弱いのか」
思うように戦えないボロボロのヴィオラが文句を垂れる。
「が……は……っ」
ほぼ同時に乱丸が負傷して膝をつく。
「………………」
さらに視線を移すと乱丸の後ろで成子が気絶していた。
「か………………」
続けて、黄竜王の鋭い爪で腹を裂かれて里々が吹っ飛ぶ。
「里々ちゃ……っ、はー、はー……流石に、うし太郎……なしで、絶災級は…………ぉえぇぇ……はー……っ」
満身創痍のミライも何とか黄竜王に対峙する。
「――――ギイィィィィィィィイイイイィイイィッ‼」
状況把握に努めているところにモンスター人間が、俺に向けて突っ込んでくる。
「が……、オ……ラァ‼」
俺は無理矢理身体を動かし、モンスター人間にカウンターを入れようとするが勢いが強すぎてカウンターごとぶっ飛ばされる。
戦況は最悪だ。
モンスター人間が厄介過ぎた……っ、やっぱ初手で殺しとくんだった。