ダンジョン超人は美人化ペットと無双する〜30年ぶりにダンジョンから出た地上は、女子率99.999%のハーレム世界でした〜   作:ラディ@小説家もどき

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08その時はごめん

「はは……ははははっ! なんだよ!! 結局余裕なんじゃん! やっぱり人間なんて脆弱なゴミでしかないんだ……! この世界には例外なんかいない!」

 

 黄竜王も有利を確信して、癇に障る大笑いを始め。

 

「さっさとここで悪樓を殺して、迷宮で傷を癒したら………………例外が生まれる前にこの世界から人間を絶滅させよう……そうだそれが一番いい! はははは! あっはっはっはっはっ!」

 

 またクソみてぇなことを嬉々としながら堂々と宣った。

 

 ダメだ、あいつはここで殺す。

 一か八かもうここで命を使い切れば――――。

 

 モンスター人間と交戦しながら俺が覚悟を決めようとしたところで。

 

「…………乃本氏! 今からこの場に関しては多分解決する! でもその後……もしどうにもならなかったら――――」

 

 万博会場の端、海岸付近まで追い詰められた暗木が俺に向けてそう叫んで。

 

「その時はごめん」

 

 そう言って暗木は。

 

 マー坊を抱きかかえて、万博会場の端から海へと飛び込んだ。

 

「……っっっ‼ 馬鹿な‼ 何を考え――――」

 

 ヴィオラは髪の毛を逆立てる勢いで激昂して声を荒らげた瞬間。

 

 海から音が消える。波がピタリと止まる。

 

「全員伏せろおぉおおおおおおお‼ 身を小さくして、一箇所に固まれええ――――ッ‼」

 

 凄まじい声量でヴィオラが叫ぶのと同時に。 

 

 海面がゆっくりと不自然に隆起する。

 あっという間に数十……いや百メーター近く、海面がドーム状に膨れ。

 そこからドーム状の海面が波打ち、鱗のように……いや。

 

 巨大な魚のようなかたちを造る。

 

 目を凝らすと魚の中に小さな影……あれは暗木か……?

 

 状況を把握する間もなく。

 海から凄まじい速さで海水が鞭のように何本も伸びて、モンスターたちを飲み込んでいく。

 

 飲み込まれたモンスターは破裂したり水圧で潰されたりして、即死。

 

 なんだ、どういう現象なんだ。

 これはもう水を操るとかじゃあない。

 

 圧倒的な理不尽。

 海自体に殺意が、殺人の故意があるような――――。

 

「うあ、ああああぁぁぁぁあぁあぁぁぁ…………うわぴゃっ」

 

 必死に逃げようとした黄竜王も、水に触れた瞬間に破裂して一瞬だけ水を赤く染める。

 

 同時に此花ダンジョンが消失する。

 

 此花ダンジョン内のモンスターはこれで一緒に消えた。

 地上に溢れたモンスターも、毎秒ごとに海に溶けていく。

 

「エスメ……ラルダぁ……!」

 

 黄竜王が討伐されたことで乱丸がエスメラルダを召喚し、自身を含めた負傷者をエスメラルダで飲み込んでいく。流石の判断力だ。

 

 なんて感心しているところに、俺とモンスター人間に水が伸びてくる。

 

 俺は前受け身で何とか躱し、モンスター人間も飛び上がって回避した。

 

「……な? なんだこれは……ぐ……こいつまた食い広げて……っ」

 

 黄竜王が死んだことで干渉が消えて意識を取り戻したモンスター人間が、状況を把握しきれずに混乱の声を漏らす。

 

 やっと落ち着いたか……とりあえずこいつはもうほっといていいだろう。

 

 とにかく今は。

 

「……ぐっ、暗木いぃぃい‼ 黄竜王は討伐された! マー坊を止めろおぉおおお‼ 成子が起きたらすぐに撤退する‼」

 

 続くマー坊の攻撃に俺は停止を求めるが。

 

「無駄だ主様‼ ああなったら悪樓は止まらん!」

 

 第五形態のヴィオラが俺を回収しながら声を荒らげ。

 

「落ち着いて聞いてくれ。今から主様を私の迷宮へと連れて行く、迷宮内部であれば悪樓も手出し出来ん。二人で千年鍛えるぞ……もうこの世界は終わった」

 

 真っ直ぐと俺の目を見ながら語る。

 

「主様を失うことは出来ん、あれを今殺すのは不可能だ……頼む主様。今は私と逃げてくれ」

 

 真摯に、凄まじい重さの感情を込めて俺を説く。

 

 そうか……そこまでか。

 状況は把握できた。

 

 マー坊が海に入った時点で、日本……いやこの世界に最悪の災害が発生したということなんだ。

 

 それでも、それでもなんだ。

 

「……ヴィオラ、すまない。ここで逃げられるように俺は造られていない」

 

 泣き出しそうなヴィオラの頬に触れて、言う。

 

 俺は日ノ本特殊防衛人造超人百一番。

 日本の危機に立ち向かわないという選択肢は、俺の中には存在しない。

 

「各員へ通達! 俺はここで命を使い切る! 成子が起き次第、ダビンチで撤退しろ! 俺の死後はミライへ指揮権を移す。以後、向水隊長の指示に従え!」

 

 立ち上がり、各員へと指示を飛ばす。

 

 暗木はあれ生きてんのか? まあ何とかしてマー坊を海から切り離すだけだ。

 

 異世界では人間がそれをやったらしい、なら俺にもできるはず。

 

「ならば……二人で最高の最期にしよう。主様よ」

 

 ゆっくり俺を抱きしめてそう言いながらヴィオラは第五形態から第四形態へと姿を変える。

 

 俺はヴィオラに返さない。

 死ぬのは俺だけでいい、俺もおまえに生きていてほしいんだ。

 

 だからここで、この災害は解決する。

 

 大きく息を吸い込んで、俺は命を燃やして身体能力を最大限引き上げて。

 

 海へと飛び込んだ。

 

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