ダンジョン超人は美人化ペットと無双する〜30年ぶりにダンジョンから出た地上は、女子率99.999%のハーレム世界でした〜   作:ラディ@小説家もどき

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41・お水のおねえさん、終わらせる
01期待通りに想像通りの災害


 私、暗木ヒカリは迷宮攻略分隊で色んなところに行って遊んでる一応攻略者だ。

 

 面白いことが最優先で楽しいことが好き。

 不真面目で無責任で自由を愛する。

 不自由を強いる環境がウルトラ嫌い。

 

 だから私はこうする。

 こうせざる得ない。

 

「…………乃本氏! 今からこの場に関しては多分解決する! でもその後……もしどうにもならなかったら――――」

 

 私は此花ダンジョンが位置する万博会場跡の端の端で乃本氏へと声をかけて。

 

「その時はごめん」

 

 謝罪と共に、海へと飛び込んだ。

 

 単純に腹が立った。

 黄竜王とかいう鳥みたいな絶災級ボスに、戦闘ペットを使えないという不自由を押し付けれて理不尽に劣勢を強いられているのは気に入らない。

 

 このままみんながこんなクソみたいなつまらないやつに負けて死ぬのなんか、絶対に嫌だった。

 だったらもう無茶苦茶にしちゃえって思った。

 

 海に入った瞬間、背負っていたタンク砕けて。

 マー坊は海と繋がる。

 

 私の身体は凄まじい速さと力の流れにぐちゃぐちゃに回って、すぐに意識を失った。

 

 とてつもない開放感だけが私の中へと駆け巡る。

 一日歩いて帰ってきて自室で靴下を脱いだ時みたいな、飲み会の帰りにおしっこ我慢して自宅に着いてトイレに駆け込んだ時みたいな。

 

 悪い気はしない、どちらかというと良い気分ではある。

 私は正直、この二ヶ月くらいずっと機嫌が良くなかったからね。

 

 理由はマー坊の秘密がバレちゃったこと。

 まあ仕方ないことなんだけどね。

 ヴィオラちゃんはマー坊のことを知っていたみたいだし、いつまでも隠し通せるとも思っていなかった。

 

 私は当然知っていた。

 マー坊が世界を壊せてしまう、この星で一番危ない存在ってことを。

 だからなるべくほっといて欲しかった。

 

 そもそもマー坊はモンスターですらない。

 

 あー、いやモンスターではあるんだけど後天的というか元々は違うというか……。

 まあその前に大前提として私はみんなが思っている以上にマー坊と心が通じて……いや心が混ざり合っている。

 共鳴の深度が深いというか、こないだランちゃんとエスメラルダが混ざって色々な変化があったけど私はもっと前からああなっているってこと。

 

 私の思考はほぼマー坊のものだし、マー坊も私の考えるままに動く。互いの身体が自身の延長線上にある……みたいな?

 

 だからマー坊の記憶も思いも想いもその重さも全て私は理解してしまっている。これは前提、全ての話はこれを根拠として。

 

 マー坊はそもそも、日本で生まれた()()だった。

 

 こういうとなんか仰々しい感じだけど、大昔の日本は何でも神様だったから。本当に八百万。

 

 多分始まりは海に対する恐怖。

 嵐や満潮などの水害や毒性のある海洋生物だったりサメとかクジラとか、そういうのへの恐れから人々は海を崇めた。

 やがて恐怖は崇められ、長い時間をかけて人々の想いによって具体的にかたち付けられた。

 

 そして悪樓と呼ばれるようになった頃には、魚のような身体と人々の期待通りの悪意をもって誕生……いや発生した。

 

 船を沈め住居をのみ込み差し出された人柱も差し出した人々も信じる人も信じない人も、どんな思いも価値も善も悪も才も愚も一切の区別をなく極めて等しく。

 

 全てを飲み込んだ。

 

 それでも、どれだけ飲み込み壊し殺し暴れてもマー坊は一向に満たされることはなかった。

 だから続けるしかなかった。期待通りに想像通りの災害であり続けることしかできなかった。

 

 まあそんな迷惑なやつは怒られる。

 むかーしの日本にいた怒った人が、悪樓を殺すことにした。

 大昔も大昔、神話の時代は人と神様の距離も近いしその区分も曖昧だった。

 

 マー坊は……悪樓は負けた。

 背中に跨られて刺されてやられた。

 

 そうやって悪樓は海から姿を消したけど、死んだわけじゃあなかった。

 

 気づいたらマー坊は別の世界の海にいた。

 

 どういう現象なのかとかは一切わからないし、そこはどうでもいいけど。

 なんかマー坊は異世界に飛ばされていた。

 

 人々の思いや想いから切り離されたことで、マー坊は穏やかになった。

 今まで畏怖や伝承によって悪神として強制され矯正されてきたけど、やっと自由に生きてみようと思った。

 

 しかし、この異世界は思いと想いの重さが事象に影響を及ぼす世界だった。

 

 あっという間。

 本当に自由を体感するまでもなく異世界でも海への畏怖によって、マー坊は災害となった。

 

 しかも日本に居た頃とは比にならない、人々からの思いと想いだけじゃあなくマー坊自身の海というものに対する理解度や解像度や自己認識まで重さとしてマー坊の存在を書き換えた。

 多分この時にマー坊はモンスターになったんだと思う。

 

 いや……もうマー坊は海そのものとなった。

 

 人々の思い描く海への恐怖の通りに暴れ散らかして。

 その被害で恐怖は倍々で増えて行き。

 さらに最悪の災害としての役割を全うした。

 マー坊を止めるために色んな人やモンスターが挑んできたけれど。

 

 結局マー坊は、殆どの生き物を死滅させた。

 まあそれでも、マー坊は満たされなかったんだけどね。

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