ダンジョン超人は美人化ペットと無双する〜30年ぶりにダンジョンから出た地上は、女子率99.999%のハーレム世界でした〜   作:ラディ@小説家もどき

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02がっかりもする

 そして遂にはこの世界最強であるモンスターたちが挑んできた。

 苛烈な攻撃をひたすらに受けた。

 本気で海を相手に勝つつもりで、あらゆる手を講じてモンスターたちはマー坊を狙った。

 それでもマー坊には届かなかったが、その隙を狙って追い詰められた人間たちの希望を一身に集めた対マー坊専用の英雄にされた人によって。

 マー坊は海から切り離されて、海から一番遠い山の頂上に封じられた。

 

 そこから長い間……本当に気の遠くなるような時間マー坊は孤独を味わった。

 もう何を考えても何を思っても無駄だと悟り、諦めていた。

 

 ところがある日、封印が解かれた。

 突然も突然すぎた復活。

 しかも場所は日本の地。

 

 マー坊は今度こそと思いながら、ゆっくりと海を目指した。

 他に行くところもなかった、マー坊には良くも悪くも全てが海だったから。

 山や森を這って転がり、海を目指していたところで。

 

 マー坊は私に出会った。

 

 ここで私、暗木ヒカリについて語ることがあるなら一重に私は完全に諦められていた子供だったということと。

 

 この時の私は死にかけていたってことくらいだろう。

 

 私は現在二十六歳、つまり二十七年くらい前に私の親が妊娠して二十六年くらい前に産まれたってこと。

 

 当時は数年前に女体化症候群によって男性が殆ど消えて、同年に新生児も女しか生まれないことに気付き始めた頃。

 

 つまりまだまだ男が産まれてくると信じられていた頃に私は女として産まれた。

 

 そりゃあもうがっかりされた。

 なんか当時は始まったばかりの人口回復施策で男児を産んだら生活の保障とか色んな優遇措置が受けられるみたいな話もあったとかなかったとか。

 

 知らない男の精子で人工授精してお腹を痛めて悪阻で吐いて体型崩して体力落として仕事から離れて、女体化症候群とモンスターの蔓延する世界で希望を見る為に産んだ子供が全然女だったのなら。

 

 そりゃあがっかりもする。

 

 私の親も当然がっかりした。

 とんでもない失望だったんだろう。

 

 でも当時はまだ居住区も拡大途中で人が住んでいくのがやっとな頃。札幌や高浜のように都市機能を移設するんじゃなくて、島根の鹿島はまだまだ原発防衛拠点に併設された避難所の延長でしかなかったから施策生まれの子を集めた養育施設はまだなかった。

 

 つまり私の親にはどんなにがっかりしても私を育てる以外の選択肢もなかったのだ。

 

 だから……まあかなり適当に育てられた。

 多分そこそこの福祉補助みたいなお金とか優先入居とかもあったとは思うけど、熱意を持つような対象には私は成らなかったみたい。

 

 元々、私の親は仕事人間だった。

 独身だったし、わりと思想として女性の自立社会云々とかを持っていたタイプ。

 今の世の中から考えると当然というかそうせざるを得ないしそうなって然りでしかないんだけどね。女子率99.999パーセントなわけだから数学的に必然だからそうなだけで、なんか昔は男社会。

 

 なんかよくわかんないけど映像系? ウェブCM? の企画とかそういう感じのことをやってたとかなんとか。

 自分の考えた企画をコンテにして、テストショットを行って、プレゼンして……まあとても面白かったんだと思う。

 色んな企業の販促として重要な映像広告を作って、経済を回す。みたいな仕事で結構社会的にも重要っぽい感じだった。

 

 でも迷宮災害と女体化症候群によって日本全国が被災して、およそ社会と呼べるものは崩壊してそれどころじゃあなくなった。

 

 そんな今の日本で、せめてなにか力になりたかったのか。それとも単に男を産んだということで周りにマウント取りたかっただけなのか。

 

 人口回復施策で子どもを産んだ。

 

 でも、私がそこそこ手がかからなくなって仕事を始めたくらいからいよいよ私を視界に入れなくなった。

 

「お母さんはあなたを育てるために頑張って働いているのよ」

 

 大人たちは口々にそう言った。

 

 でも私も馬鹿じゃあない。

 本当に私を育てるためなのなら私に食事を与えるのを忘れたり私が家に居ないことにも気づくし学校で必要なものを用意するものを相談した時に大きなため息をつかないし物を投げたりいきなり大きな声も出さない。

 

 男に生まれなかった時点で、私は諦められていた。

 

 まあ別にそれはそれでというか、幼い私には相対的に比較するための対象もなかったからそういうもんなだと思っていた。

 

 だから基本的に一人だった。それが当然だった。

 

 暗い子だったし、可愛げもなかったからね。

 田舎で同年代の子どもも少なかった上に友達を作れるタイプでもなかったから一人で遊ぶことが多かった。

 

 遊ぶといっても田舎で遊ぶ場所もないから、うろちょろしていた。

 居住区の外周の森というか山を歩くことをしていた。

 

 人が居てもいつも一人だったから、一人の時に一人の方が寂しくない気がした。

 

 ある日、崖から落ちて怪我をした。

 

 危ない場所とか行っちゃいけないところとか本来お家で注意されるような常識が欠落していたから、馬鹿みたいに崖から落ちて頭を打った。

 

 血が止まらなくて。

 痛くて寒くて動けなくて。

 ただただ寂しくて、虚しかった。

 視界が真っ白に暗くなっていく中で。

 

 魚に出会った。

 

 鮎みたいな、でもしっかりとした鱗もあって海水魚にも見える魚。

 バスケットボールくらいの、まあるいぷよぷよした水の中に魚は居た。

 

 魚は纏っていた水を私の傷口へと伸ばして、私から溢れる血を私の中へと戻して流した。

 水を血と混ぜて足りない分を足してくれた。

 

 その瞬間に、魚の心……思考が私に流れ込む。

 

 ずっと期待されて。

 湧き出る悪意と殺意が止められなくて。

 暴れ散らかして。

 嫌われて恐れられて殺されて。

 やっとそこから抜け出せたと思ったら、また期待されて。

 自由を奪われて、孤独で、ずっと一人で、つまらなくて。

 

 そんな魚の中の記憶と思い。

 自由への憧れ、渇望が私の中に流れ込んで混ざり合って。

 

 共鳴する。

 

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