ダンジョン超人は美人化ペットと無双する〜30年ぶりにダンジョンから出た地上は、女子率99.999%のハーレム世界でした〜   作:ラディ@小説家もどき

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06愚直に繰り返してやれ

「僕の家は昔は名家といわれていて長男が家督を継ぐ決まりだった。だから父は男児を熱望したが、まあ女体化症候群によって当然僕は女に生まれた」

 

 つらつらと、喜怒家について語り。

 

「それでも父は僕を男として育てた。長男として扱った。男らしさを強制され矯正された人生を送っても、僕の中の乙女は止まらなかった」

 

 掻い摘んで、僕の半生を語り。

 

「僕は男になることは出来なかった、僕はそういう意味で言えば出来損ないだ」

 

 喜怒家における僕という存在を語った。

 

「……それは……それは違うと思います! 喜怒さんは自分らしさを持っているだけで……他の誰にも生き方は決められない!」

 

 里里は声を荒らげて、嬉しいことを言ってのける。

 

「ああ、僕もそう思う。だから君も他の誰かの評価を気にしなくていいし、君の中の自己評価も一回改めるんだ」

 

 僕は里里の言葉を受け止めて、そのまま僕も里里に言いたかったことを述べる。

 

 僕は自分の乙女を自覚はしている。

 でも、男として男らしく生きようとしてきたこの人生を捨てることが出来ていない。

 

 まあでも、性別なんか関係ない。

 僕は僕らしくあることしかできない、変な無理はせずに攻略者として生きるだけだ。

 

 乃本に、本物の男を見て僕はそう生きることに決めた。

 

「里里……いや里々と呼ばせてもらおう。里々は、()()()()()

 

 僕は勝手に呼び方を改める。

 

 互いに胸中を吐き出した。

 勝手に友達として語らせてもらう。

 

「初めてのことをいきなり上手く出来るやつなんてそうそういない。初手でいきなり上手くいくのはたまたまそれが得意だったか、向水みたいな天才かってだけで世の中の大体の人間は練習しなきゃ上手く出来ない」

 

 真摯に僕は里々に語りかける。

 

「そもそも子供の頃なんて、一ヶ月生まれるのが違うだけで全然別の生き物ように差があったりもするし成長や発達の差がわかりにいくいようで如実に表れる頃だろう。子供の頃に上手くできなかったとか、そんなもの君はとっくに覆している」

 

 一般論を語り続ける。

 

「僕の知人には十二歳まで寝小便垂れていたやつもいたし、僕自身も最近まで雑魚王子と呼ばれるくらいに男らしさを履き違えた無茶で結果を残せていなかった。エスメラルダの回復能力がなければとっくに攻略隊をクビになっていただろう」

 

 具体的なことも交えて語りは続く。

 

「里々は誰よりも走り込み、誰よりも真摯に鍛えた。単純な筋力と体力とおっぱいだけなら向水より上だろう。君はもう自分の行動に不安を感じる必要はない」

 

 正当な評価を語り。

 

「自信を持ちたまえ、もっと鍛えてきた自分の身体を信じてやれ。迷うことはない、君の身体は必ず出来るようになる。失敗なんてのは単なる経験値でしかない、愚直に繰り返してやれ」

 

 僕はにやりと笑って、そう語り終えて。

 

「僕は君の仲間だぞ? いくらでも付き合うさ」

 

 大真面目に、僕は里々に至極当然なことを言った。

 

「……ありがとうございます!」

 

 少し驚いて、里々は笑顔でそう返した。

 

 そこから。

 エスメラルダによって里々は回復して。

 

 受け身稽古を再開した。

 

 僕の言葉を完全に受け入れてくれたわけではないだろう、人間はそんな簡単に切り替わらない。

 

 それでも努めて、切り替えようと自身の自信を奮い立たせて稽古に挑んだ。

 

 そんな気持ちが、動きにも表れてのびのびと動けるようになってきたところで。

 

「よし行くか。ここから試験運用も兼ねてちょっと俺が運転していく、仙台突入前に一回女川居住区にて最終準備を行うぞ」

 

 縞島との運転譲渡の打ち合わせを終えた乃本が、分隊全員に向けてそう告げた。

 

「俺が運転をしている間の警戒は、ミライと里里と暗木と喜怒で回してくれ。縞島は運転譲渡に問題がないかしっかりと観察しろ」

 

 そんな移動中の役割についての指示に対して。

 

「「「「「了解!」」」」」

 

 同時に僕たちは返事をして。

 

 僕ら迷宮攻略分隊は、女川居住区を目指し出発したのだった。

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