ダンジョン超人は美人化ペットと無双する〜30年ぶりにダンジョンから出た地上は、女子率99.999%のハーレム世界でした〜 作:ラディ@小説家もどき
私は、剣を構え六花のホバリング移動を最大出力にして最速で突っ込む。
赤竜王攻略作戦。
第一フェイズは、完全に慢心している赤竜王にヴィオラでヘイトを稼ぎ乃本君とうし太郎による高威力攻撃を頭部へ通す。
これにより、赤竜王は私たちを脅威と判断します。
第二フェイズは、『穴』による攻撃が当たり辛いと思わせるために避け続けて攻撃を当てること。
あの『穴』を用いた質量暴風雨は、最も厄介な攻撃でした。早急に止めさせる必要があったのです。
第三フェイズは、質量暴風雨が効かず的が小さい私たちへモンスター群による物量攻撃に移行させること。
モンスター群であれば、向水先輩や暗木さんや私でも対応が出来てその間にフリーとなった乃本君とヴィオラが存分に赤竜王と戦えます。
第四フェイズは、赤竜王を動かすこと。
これは単純に体勢の問題。全長十五メーター近い赤竜王の急所である脳が十四メーター以上の高さにあり心臓でも十二メーター以上の高さにある。
飛行できるヴィオラ以外だと、攻撃が届きづらく決定打を与えられません。だから、一度寝かせる必要がありました。
そして最終フェイズは。
乃本君のヴィオラの加速を含めた弩級発勁による内臓破壊と向水先輩とエスメラルダによる拘束により、赤竜王は頚椎部を露出させてうつ伏せに倒れている。
ここを私と六花が、斬る。
ここまで赤竜王にダメージを与えたのは乃本君とヴィオラ、うし太郎だ。ここは当然、警戒をしている。それとなぜか妙に暗木さんを警戒していますが。
つまり、私はノーマーク。
全てはこの一太刀のための布石。
ここまで読み切った、乃本君の勝ちです。
最高速で赤竜王へ接近し、慣性や重さを乗せて私はロングソードを振り下ろ――――。
「――
そういった赤竜王は。
『穴』から私の目の前に尾を出現させて振る。
あ、直撃だ。
避けられな――――。
「……ッ‼ ぎぃ…………っ! だぁああ‼」
尾と私の間に乃本君が割って入り、尾に向かって声が漏れ出るほど力の籠もった双掌打を放つ。
弩級の発勁で尾は弾かれる。
だが乃本君の両腕はぐしゃぐしゃにひしゃげ、胸骨と肋骨を砕いて、内臓をつぶされ口から溶解した臓器を噴き出す。
目の前で起こる衝撃的な光景に、頭が真っ白になる。
うそ、死、え? まさか――。
「――――――が……ぁっ!」
乃本君はぐしゃぐしゃな腕を振り回すように走り。
完全に集中と思考が途切れ、薄皮一枚の下に押し込めていたパニックが溢れ出そうとしていた私を身体で押し出すように赤竜王から距離を取る。
「ぉぶぇ……っ、ぐおぇ――――――ぇ……す――――っ、はぁ――――……里里、作戦行動は継続……している」
乃本君は血反吐を吐ききり、喉を通して語りかける。
「もう……落ち着かなくて、いい……慌てふためこうが、何でもいい……全てを吐き出せ」
私に目線を合わせて、乃本君は絶え絶えに語る。
語り出したところで赤竜王が拘束を弾き飛ばして立ち上がり始める。
「おまえなら……出来ると判断した……。いや、おまえにしか出来ないと……判断したんだ」
赤竜王に背を向けて、まるで気に留めずに乃本君は語り続け……いや私に訴えかけ続ける。
「信じろ……。それだけでいい……積んできた努力……積むために燃やした根性は……とっくに超人の域に達している。殻を破れ、今はその時だ」
乃本君は私の目にしっかりと目を合わせて、私の中に言葉を、思いを流し込み。
その後ろで立ち上がった赤竜王にヴィオラが超高速タックルでぐらつかせるも、硬質な腕部で防御される。
「さあ……回復したぁ……ヴィオラぁぁぁぁああああッ‼」
「はははっ! まだまだ! ここからだな‼」
乃本君は声を上げて再び立ち上がり、楽しそうにヴィオラは背中に貼り付いて飛び上がった。
そのまま超高速で『穴』からの爪撃連打を躱して、打を通していく。
赤竜王にはまだ弩級発勁のダメージか残っていて、跳び回れないようです。
つまり、もう一回。
いや……
それは唯一私が得意なこと。
心の熱が爆発する、身体の中で燃え上がって炎が目から噴き出す。
ああ止まらない、火がついてしまった。
信じるよ。信じる。
私は私が私を信じるなんてこと私にはやっぱり考えられない。
でも、乃本君……仲間たちのことは信じられる。
実際乃本君が今まで再三言ってきた「どうにでもしてやる」という言葉の通り、どうにでもしてくれている。
ここまで正確に戦局を読み切った乃本君が言うんなら、信じるしかない。
ああ、どきどきが止まらない。
心臓が跳ね回って、おへその辺りがじわりと熱を持つ。
私を諦めず、前に進めようとしてくれて。
努力を怠らず、才能だけに甘えない。
鍛えた先の可能性を見せてくれた。
恋。
初めてだから確信はないけれど、この思いを形容する語彙を私は他に知らない。
さあ行きましょうか。