ダンジョン超人は美人化ペットと無双する〜30年ぶりにダンジョンから出た地上は、女子率99.999%のハーレム世界でした〜   作:ラディ@小説家もどき

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04僕が鎧なら

 心が再度爆発する。

 身体中に力が湧いて、魔法の出力も上がる。

 

 『念力』で身体を少し浮かせるように高速移動で、魔獣共を六本腕三本両手剣で斬り伏せていく。

 常に視界の中にリライラ様を入れておく。背中で気配を感じておく。

 粗方減らしたらリライラ様担いで迷宮から離脱する。

 

 高速で翻弄しながら斬る。

 四脚は前脚や下顎、人モドキは腕か首、不明種は脅威になりそうな器官や部位を狙う。

 迷宮は魔獣が減ると、新たに魔獣を生み出す。

 魔獣の損傷は迷宮復元で再生されるが、魔獣によっては欠損部位が戻るまでの所要時間の方が新たに生み出されるよりも遅いこともある。

 

 その辺りは迷宮にもよるが、つまり魔獣を無力化させて放置して損傷を再生させつつ再生する前にとどめを刺せば再生時間と再度生み出されるまでの時間を合わせた分だけ脅威を遠ざけることができる。

 

 迷宮を制覇するのなら、後続を通す為に基本的に殲滅するのがセオリーだが今の目的は脱出。

 殲滅する必要はない、再生が遅いやつはほっといてトンズラこけりゃあそれでいい。

 

 次々に迫る魔獣を斬り伏せる。

 しかし、数が多すぎる。

 もう第三のやつらからの取ってきた腕も剣も噛み砕かれて魔獣の爪やら牙やら角が付いた部位を浮かせて操作している。

 身体の様子も違ってる、単純に第三や第五のやつらとの戦闘と丸二日迷宮を駆け抜けたのと現在進行系の戦闘で疲労が溜まってる。

 疲労で鈍くなったところに、魔獣の攻撃が通るようになってきた。

 鎧も剥がされもう意味をなしてない。

 肋も歯は砕けてるし、呼吸も浅い、血が止まらねえ傷だらけ、正直右目もあんま良く見えてない。

 

 つまり、()()()()()

 

 僕は剣、姫が示す戦うための力である。

 僕は盾、姫に降りかかる災いを払う壁である。

 僕は鎧、姫を常に守り代わりに砕ける命である。

 

 僕は騎士、それが僕。その為に僕は存在する。

 

 剣を振れ、斬れ、刺せ、走れ、殺せ。

 剣を振れ、斬れ、刺せ、走れ、殺せ。

 剣を振れ、斬れ、刺せ、走れ、殺せ。

 剣を振れ、斬れ、刺せ、走れ、殺せ。

 剣を振れ、斬れ、刺せ、走れ、殺せ。

 剣を振れ、斬れ、刺せ、走れ、殺せ。

 

 繰り返せ、何度でも。

 

 死ぬなら姫を守りきってからだ。僕の命は僕のものじゃあない、この身体もこの命も血の一滴まで姫の所有物だ。

 姫から賜ったこの身を無駄には出来な――――。

 

「ぐぶぇ…………っ⁉ ごえぇ……、っば……」

 

 戦いの中で、僕は口から滝のように血を吐き出す。

 

 どうにも毒が通っていたようだ。

 内臓をぐしゃぐしゃに蝕んで溶かしたようだ。

 

 息が止まる、つまり動きも止まる。

 

 その隙を逃さないように、魔獣が僕に溶解液を噴射する。

 

 なんとか浮かせていた魔獣の腕で防御するが、防ぎ切れずに右腕と右足が溶けて落ちる。

 

 くっそ、まあいい。帰りは『念力』で適当な魔物の部位を足にする。

 

 まだ戦える、まだ僕は。

 

「――()()

 

 リライラ様が僕を呼ぶ声。

 

 咄嗟に振り返ると。

 

 魔獣に首を噛みつかれ、僕に手を伸ばすリライラ様。

 

 六本もあったはずの腕は肝心な時に足らず。

 僕は伸ばされた手に応えられず。

 

 魔獣はリライラ様の首を噛み砕いて、()()()()()()

 

 その瞬間、身体からあらゆる力が抜ける。

 吊られていた人形が糸を切られてぺしゃりと崩れるように。

 僕の身体に通る全ての力が絶たれる。

 

 ああ、終わった。

 

 リライラ様がお亡くなりになられた。

 僕の存在理由は、たった今、失われた。

 

 心が砕けて『念力』の魔法も全く働かない。

 身体は指一本動かない。

 何も考えられない、痛みすら届かない。

 

 ただただ喪失感、そして絶望だけが僕の中をどろどろに溶かしていく。

 

 当然、動かなくなった僕に魔獣は群がって手足を食い千切り腹を裂き殺していく。

 

 ああ……申し訳ございません。

 僕は姫を守れなかった。

 

 その為の存在だったはずなのに、たったそれだけのために存在していたのに。

 

 もっと僕が強ければ。

 もっと僕が硬ければ。

 もっと僕が近ければ。

 ずっとお傍に居られたら。

 

 盾……いや鎧のように、全ての脅威を代わりに受けられたのに。

 

 そんな後悔と願いの間で、僕は死んだ。

 

 ああ、僕が鎧なら。

 

 ぼくが鎧なら。

 

 ぼくがよろいなら。

 

 ボクがよろいなら。

 

 ぼクがよロいなラ。

 

 ボクガよろイなラ。

 

 ボクガヨロイナラ。

 

 ボクガヨロイ。

 

 ボクハヨロイ。

 

「――――動く鎧……リビングアーマーというものですわね」

 

 コエ。

 

「あなた、可愛らしいですね……。こことか雪の結晶みたいに――――」

 

 コエ、セッショク。

 

 ナンダ、ナンダッケ、ナンダ?

 ダレダ、ダレダッケ、アタタカイ。

 

 ヒメ。ヒメサマ……ヒメサマ、ダ。

 

 ボクハヒメサマヲ、マモル、ヨロイ。

 

「――――っ! 通じました……これが共鳴……」

 

 コエ、ココロガ、ツナガッタ。

 

「私は里里里々、あなた……うん。六花、あなたの名前は六花よ。私と一緒に、強く成りましょう」

 

 リリコエ。

 

 ボクハ、リリノヨロイ。

 カナラズ、マモル。

 コンドコソ、カナラズ。

 

 クリカエス、ナンドデモ。

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