ダンジョン超人は美人化ペットと無双する〜30年ぶりにダンジョンから出た地上は、女子率99.999%のハーレム世界でした〜 作:ラディ@小説家もどき
「?」
眉を顰《ひそ》めて、百一君は頭の上に疑問符を浮かべ。
「?」
同じく田中山さんも、眉を顰めて頭の上に疑問符を浮かべる。
完全にすれ違って噛み合わず、収拾がつかなくなってきたところで。
「あの……この乃本さんは、本物の男性です。全攻略隊初の男性攻略者なんです。だから付いてますが後付けしたわけではなく元々付いてるんです。オプションじゃなくて標準装備なんです」
縞島先輩が割って入り、田中山さんへ百一君のことを独特な言い回しで紹介する。
「な……っ⁉ お、男⁉ 男が攻略者だと……? 有り得ないだろ‼ 保護対象だぞ!」
田中山さんは驚愕して、一歩引いて百一君の全身を改めて見ながら縞島先輩に問う。
「事実です。特例として札幌攻略者学校へ編入して実力を認められて攻略隊に所属しています」
縞島先輩は田中山さんの熱量に対してあっさりと返す。
この人もこの人でなんかわりとクレバーですよね……。
というかやはり、太白山ダンジョン攻略どころか百一君のことも知らなかったようですね。
史上初の男性攻略者の誕生と、そこからの中規模攻略からAランク昇格に大規模攻略遠征の発表は攻略隊内で数ヶ月前から話題の中心にありました。
どのくらい前から情報が途絶えていたのでしょうか……。
「……っ、いい加減にしろよおまえら……」
田中山さんは驚愕した顔から真面目な顔に切り替えて、そう言って。
「男が攻略者なんかやって、大規模ダンジョンを攻略……? 馬鹿を抜かせ‼ 男は種だけ出してればいいだけの人生イージーモードなんだから攻略者ごっこなんかやめておけ!」
怒気をはらんだ声で、偏った思想を捲し立てる。
おお……かなり尖った意見です。
保護対象である男性に対して、こういった意見を持つ方は一定数いらっしゃいます。
このダンジョンやモンスターという災害だらけで女体化症候群により人口の99.999パーセントが女性の現代日本において、男性は安全に保護されて暮らすことが出来るというのは事実でもあります。
ただ……これはあくまでも価値観の話になりますが、人口回復のために精子提供を行う男性は不自由なく暮らせるようで自由はありません。
徹底的な体調管理。女体化症候群感染を防ぐために決まった人物としか接触が許されず。感情や気分や欲求とは切り離されての精子提供を強制されます。
モンスターに食い殺されたりダンジョンに潜ったりしなくても安全に生きていけるのだからそのくらいは当然と考えるのか、危険はあっても自由のある暮らしのほうが良いと考えるのか。
この辺りの価値観に答えはありませんが…………、流石にこの田中山さんの発言は男性蔑視というか……わりとセクハラです。
「確かに。今後一般男性が攻略者をやる場面に出くわしたら、そう説得してやってくれ」
しかし、百一君は田中山さんからの主張をまるで気にすることもなく返す。
「おまえのこと言ってんだ馬鹿! なんだ? はるばる札幌から種蒔きに来たんじゃないのか? ここの女を何人か抱いていくか? あ? 人口回復装置なんだろ?」
田中山さんは怒りのままに百一君へと詰め寄る。
「いや、攻略者が妊娠すると攻略隊の人員が減るだろう。現状戦力を考えると攻略者の妊娠は避けた方が良い。それに女体化症候群に解決が見られない現状での妊娠出産は根本的な人口回復に寄与出来ない。だから政府からの指示なら従うが、能動的に俺は人口回復施策に参加することはない。俺にはもっと日本に貢献する方法があるからな」
百一君は依然として全く気に留めることもなく、冷静に回答する。
……へえ、そうなんですね。ふーん。
「でも、もし俺が日本への貢献が難しくなった時には参考にさせてもらう。おまえは日本のことを案じていて良いな、これからも攻略頑張れ」
続けて、やや笑みを浮かべて百一君は田中山さんへとそう言った。
意に介してないどころか少し嬉しそう……? 流石によくわかりません。そろそろ怒ってもよい場面なのでは……?
「っ……舐めてんじゃねえぞ男‼ 攻略者は遊びじゃねーって言ってんだよ‼」
百一君の余裕たっぷりな態度に田中山さんは怒りを顕にして怒鳴りつけるが。
「……なあ主様、さっき表の人らが米に乗せて食ってた赤いのはなんだ? なんかの臓物か?」
まるで、田中山さんの声が全く聴こえていないかのように百一君の背中に貼り付いていたヴィオラが呑気にそんな問いを向ける。
「あー? あーあれはタラコ……いや明太子か。あんま詳しくないがタラって魚の卵をなんかするとああなるんだ」
百一君も呑気にヴィオラへと答える。
「たまご……ふっ、知っているぞ主様。……無精卵は孵らない」
たっぷりとしたドヤ顔でヴィオラは自身の知識を披露する。
「魚卵って確か卵巣ごと取り出すから無精卵とかそういう概念があるのか……? いやでもイクラとかはまた違うのか……俺も詳しくないが、よく知ってるな」
百一君はヴィオラの知識に少し驚きながら、優しくそう返して肩に乗ったヴィオラの頭を撫でる。
「ふっふっふ、後で食わせてくれ。たべたい」
撫でられて嬉しそうに目を細めて、ヴィオラ言う。
か、可愛いですね……。