ダンジョン超人は美人化ペットと無双する〜30年ぶりにダンジョンから出た地上は、女子率99.999%のハーレム世界でした〜 作:ラディ@小説家もどき
「お? なんだやらせるのか? 良くないんじゃなかったのか?」
嬉々としながら、百一君の背中に飛びついてヴィオラが尋ねる。
「まあ建前ってのがある。公人だってガス抜きは必要だが、公人に職務上の自由はない。俺は喧嘩自体を問題視しているわけじゃあなく、公人として職務中に同僚と争うことを問題としている。だから俺は監督責任者として、この喧嘩を職務の範疇に含めた。これなら止める理由がない」
淡々と百一君はヴィオラに答える。
なるほど……確かに私も編入してきた百一君と戦ったのも模擬戦として処理していましたね。
そういえば向水先輩もAランク昇格試験にかこつけて百一君とガチ模擬戦をしたと聞きました。みなさんうまいこと人を殴っているのですね、勉強になります。
「なんかあれだな……面倒なのだな。あ! だったら監督責任者とやらのあれで私とやり合えるぞ! やろう!」
ヴィオラは話を聞いて自身との戦闘を要求するが。
「やらねえよ……俺じゃあ責任取り切れねえって。まあ本気は無理だが、そのうち軽い格闘訓練はやるか」
百一君はやや困り顔で、ヴィオラの顎下を撫でながらそう返した。
さあ、場は整えてもらいました。
さっさと畳んで、情報をもらいましょう。
「里里さん、ちょっと……――――」
肩甲骨を回して田中山さんと対峙しようとしたところで、縞島先輩駆け寄ってきて私に囁く。
内容は……え?
「――――……え、どうして」
私は驚いて尋ねると。
「うーん、理由はあるけど……まあ余裕があったら試してみて」
縞島先輩はそれだけ答えて、足早に百一の近くに戻っていった。
…………うん、頭の片隅に入れておきましょう。
「おまえ学生だろ……、私はこれでもBランクだ。格が違う、舐めんなデカ乳」
対峙した田中山さんは、静かに怒りを燃やしながらそう言って構える。
「ああ良かった……。私は里里里々、Cランク攻略者です。加減は不要ですわね」
私も構えながら、そう返す。
良かった。
田中山さんはどうやらしっかりと格上のようです。
私は人生のほとんどを、他者を後ろから追いかけて上を見上げていた。
そしてそのほとんどを追い抜いて、見上げられるようになった。
格上との戦いこそが人生。
私はこれでいい、たまに勤勉なうさぎになる勤勉なかめだから。
「怪我には気をつけろよー。では……状況開始!」
百一君が訓練の開始を宣言する。
同時に、田中山さんは鋭いステップインからジャブを放つ。
これを軸を動かして距離感で躱す。
速いし鋭い、何かしらの格闘技をやっていようですね。
何よりリーチが長く、懐が深い。
私と田中山さんとの身長差は三十センチ以上あるでしょう、リーチはそれ以上の差があります。
さらにウエイトにおいては三十……いや下手したら四十キロはあるかもしれません。
単純な戦闘における重量差は絶対です。
しかし、攻略はそれを覆します。
私たちは、ビルのように大きいモンスターを討伐してきました。
赤竜王はもっと大きかった。
私は攻略者、この程度のサイズ差で優劣は決まらない。
私は次のジャブの戻りに合わせ踏み込んで、前蹴りを放つ。
田中山さんは私の前蹴りを後ろ手でブロック。
前蹴りをそのまま踏み込みに使って、ボディストレート。
さらにこれもブロックされるが、ガードは下がった。
意識を腹に向けさせてから後ろ足からの大きくハイキックの挙動を見せ、田中山さんの奥足の大腿部に踵を落とす。
これはヴァレリーキックと言う技らしいです。
腹を叩いて意識させてからの上段というコンビネーションは、格闘技をやっている方からするとかなりセオリー通りの動きらしいのです。
空手をやっていた乱丸さんとの稽古で、実際かなりの確率で反応されて返されました。
なので腹から上段だと思わせた下段攻撃は通りやすい。
「――っ!」
田中山さんは苦い顔をして奥足をさらに間合いから外すようにほぼ半身に構え直す。
……効いた?
うそ……本当にそうなの?
私は半身に構え田中山さんの背中側を取るように軸をずらして細かくステップインを見せて警戒させる。
ステップインに合わせて田中山さんの前足の前蹴りが来たところで、そのまま倒れるように前受身で転がって前蹴りの下を潜るように間合いを潰して。
起き上がりざまに田中山さんの奥足を叩く。
「ぐぅぁ……っ」
苦悶の表情で声を漏らし、田中山さんは後ろ足から崩れて床に片膝を着く。
本当だ……、縞島先輩の言う通りです。
田中山さんは