ダンジョン超人は美人化ペットと無双する〜30年ぶりにダンジョンから出た地上は、女子率99.999%のハーレム世界でした〜   作:ラディ@小説家もどき

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05誰にも気づかれなかっただけ

 見た目ではわからないし、私は全く気づきませんでしたが間違いなく負傷しています。

 ヴァレリーキックと前受身から叩いただけで、ここまで効くなんて。

 

 でもまだ戦闘不能ではなく、降参もしていません。

 

 油断はせずに畳み掛ける。

 これは学校でも教わる基礎の基礎です。

 

 片膝を着いた、つまり片膝を立てている田中山さんの立てている膝を足場にするように顔面へ思いっきり膝蹴りを放つ。

 

 シャイニングウィザードという技ですね。

 

「ぐ……っ」

 

 田中山さんは私の蹴りを腕を挟んでガードするが、踏ん張りが効かずに倒れて片手を床に着く。

 

 その床に着いた腕を狙って飛びついて、乱丸さん直伝の腕ひしぎ十字固めで極める。

 

 へし折る勢いで腕を伸ばしたところで田中山さんからのタップが入り。

 

「状況終了! 直ちに離れろ!」

 

 百一君が訓練の終了を宣言する。

 

「デカ乳……てめえ、なんで私が足痛めてんの気づいたんだ……」

 

 大の字に倒れる田中山さんは、立ち上がる私に尋ねる。

 

「あちらに居る、縞島先輩が教えて下さりました」

 

 私は百一君の後ろに隠れてこちらを見ていた縞島先輩を指して答える。

 

「そうか……。で、あの乃本とかいう男はおまえより強いのか?」

 

 田中山さんは身体を起こしながら、百一君について問いかけてくるので。

 

「はい。間違いなく、百倍は強いですよ」

 

 私は即答する。

 

「私の負けだ……。全部は信じられんが、力は示したからな。好きなだけ情報もってけ」

 

 少し笑うように穏やかに、田中山さんは私にそう言った。

 

「……は? いやあんたたち何やってんの……?」

 

 そこに、宿を取りに行った向水先輩たちが合流する。

 

「……! 向水ミライ……だ!」

「本物か? え、なんで川内に?」

「はるばる北から川内……」

 

 川内の攻略者たちがざわめき出す。

 

 ライブ配信同時接続数最多を誇る史上最速最年少天才Aランク攻略者向水先輩が現れたことで、一気に私たちに向けられる目が変わりました。

 

 百一君のことは知らなかったようですが、流石に向水先輩については知っていたようです。

 

 いやこんなことなら最初から向水先輩の名前を出せば良かったですね……、向水先輩が凄い人というのは理解しているのてすがすっかり頭から抜け落ちていました……。

 

 あ、ちなみに田中山さんは合流した乱丸さんに回復を受けて足も含めて全快しました。

 

 それはさておき。

 

「縞島先輩、どうして田中山さんが怪我をしていることがわかったのですか?」

 

 私は案内図で資料館の場所を確認する縞島先輩へ尋ねる。

 

 今回、迅速に田中山さんを制圧できたのは縞島先輩の助言のおかげです。

 負傷しているかもしれないと聞いていなければ、優先的に奥足を狙うことはなかったと思うので結果にも影響していたかもしれません。

 

「あーうん、それね。なんか……こうバランスが悪かったのよね」

 

 あっさりと、縞島先輩は返す。

 

「バランス……ですか?」

 

 私はさらに深く聞いてみる。

 

「あの形状であの質量ならあの立ち方すると左足に荷重が乗り過ぎるような気がしたし、見てる感じ右利きなのに里々ちゃんに殴りかかった時も左手で右足を下げてたし、そもそもあんなに脚が長いんならキックした方が届くはずなのにキックはしなかったでしょ? だから多分右足が悪いのかなーって」

 

 つらつらと、縞島先輩は当たり前のように分析を述べる。

 

「……見ただけでそんなことまでわかるのですか?」

 

 私は少し慄きながらさらに尋ねると。

 

「いやーこんなの勘だよ? でもみんなはあんまりものを見る時の……こう重心? とか、それがその形状で存在するのに根幹となる部分とか……一番負荷が強そうな場所を探したりってことしないらしいから」

 

 穏やかに、さもありなんと恐ろしいことを縞島先輩は答えた。

 

 ……本気で言っています。

 この人は、物の見え方が他人と違います。

 常日頃から目に映るものを構造や構築などの角度から捉えている……しかも人工物も生物……いや人間すらそう見ているのですね。

 

 しかもそう見ようと思って心がけているとか洞察力を磨いてきたとかでもなく、当たり前に……恐らく幼少の頃からずっと自然にそう見えている。

 

 これは常軌を逸しているし、こんな人の評価を行えるようなカリキュラムは攻略者学校にはありません。

 

 いっぱい走れていっぱい動けて戦闘ペットがきちんと言うことを聞く、極論これが出来れば攻略者学校では評価されます。というか私はそのまんまこれです。

 

 誰にも気づかれなかっただけで、おちこぼれとされていた…………。

 

「…………やっぱりこの人も天才の部類ですね……」

 

 私は尊敬を込めて、縞島先輩への思いをつぶやいた。

 

 色々ありましたが、これにてやっと迷宮攻略分隊は川内居住区で進行準備に入れることになりました。

 

 きっとここでも縞島先輩は凄まじい量の知識を吸収して、迷宮攻略分隊の進行を加速させていくのでしょう。

 

 私はその間、買い出し担当として尽力したいと思います。

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