ダンジョン超人は美人化ペットと無双する〜30年ぶりにダンジョンから出た地上は、女子率99.999%のハーレム世界でした〜 作:ラディ@小説家もどき
01良かった
僕、喜怒乱丸は迷宮攻略分隊に所属する攻略者だ。
大規模ダンジョン攻略を目的として、先日は太白山ダンジョンにて赤竜王とかいうワープライオン巨人みたいなやつを討伐し。
なんだかんだワープとかされたりスカイダイビングやらを経て、九州の川内《せんだい》居住区にたどり着いた。
今日は朝から川内居住区の資料館で、縞島による知識インプット作業に同行中。
資料館は三十年くらい前の日本全国で起こった同時多発迷宮災害によって七大都市を追われ、原発防衛兼被災者受け入れ用仮設住宅地から居住区へと変わる際に街から持ち出せた本などを保管している場所だ。
本だけでなくDVDやらの映像媒体やCDなどの音声媒体などもあったり、歴史的な資料や美術品なども合わせて保管されているため図書館ではなく資料館という名称になっている。
教育的な利用もされているが、日本が迷宮災害を乗り越えて復興に向けていく際にかつての文化や文明を失わせないようにするための主に情報の保管庫としての役割が大きい。
故に資料館には様々な知識が集まる。
もちろん地域差はあるけれど、それでも大抵のことは調べられる場所だ。
「おいおい、本当に全部読むのか……?」
僕は資料館の机に山のように本を積む縞島に驚きながら問う。
縞島に言われて、めぼしい関連書籍や資料を集めて持ってきたがとんでもない量だ……何日籠もるつもりなんだ。長期滞在はしないつもりだとは思うが……。
「はい、情報は多ければ多いほど具体的であればあるほど助かります。ちょっと海釣りや漁業に関する資料もお願いできますか? その手の本を書いたライターは実際に船に乗る人が多いので体験や感覚の部分が載っていることがあるので」
縞島はあっけらかんと返し、さらに僕へ追加の資料を要求する。
「あ、ああ……」
僕は慄きながら返して、本棚へと向かう。
現在縞島は船舶について勉強中。
鹿児島や熊本には造船会社もあるので、川内の資料館にはそういった資料も多いから丁度いいみたいだ。
追加の資料を持って戻ると山積みの本の真ん中で縞島はペラペラとページを開いて進め、時にはページを戻して眼球だけを細かく動かし、たまに長めに瞬きをしてノートに何かを書いて、また新たな本を取る。
よ、読めているのか……? これで。
速読ってやつなのか? 読むってより情報を食べているみたいだ。
他のメンバーも現在は各々仕事をしている。
向水は赤竜王戦で消耗した武器類の修繕や補充に。
乃本と暗木は川内攻略隊で情報収集。
里々は食料品の買い出し。
しばらくどこか見て回ってきても良いが、僕は見た目によらずインドア派。あんまり出歩きたくはない。
僕も何か読むか……、適当な小説を…………ん?
「ノンプリンス☆ノンプリンセスNova:Ⅱノベライズ…………さ、
僕は思わず漏れ出た声を抑えるように、静かに驚愕して呟く。
嘘だろ……札幌中を探しても見つからなかったのに……レビューやあらすじしか見たことがなかった。
ノンプリシリーズのシナリオライターで小説家でもあるYuKiCo先生自身が執筆し、表紙や挿絵もキャラデザの柿山しぶたろう先生が描いたノベライズシリーズ……。
そもそもノンプリシリーズはルート分岐でシナリオやエンディングの変わる、ノベルゲーというかアドベンチャーというか……まあザ・乙女ゲーだ。
ヒロインが選ばなかった攻略対象が、ヒロインと出会わなかった場合どうなるのかというifルートをシナリオライター本人がノベライズ化しているシリーズ。
最終巻はifルートではなく、悪役令嬢ジュリエッタと悪者執事クロガネのカップリングのその後を描いたアフターストーリー。
ずっと……ずーっと読みたかった……っ、クロガネはわりと推しキャラだからめちゃくちゃ読みたかった……学生時代から五年以上は探してた。
本当に不謹慎なことを、口には出せないけど、こう思わずにはいられない。
ありがとう……赤竜王、川内に跳ばしてくれて……。
ちらりと縞島の方を見ると、縞島は依然として本に集中している。
よし、今ならいける。
僕はそそくさと手に取り、やや縞島と離れた席で読みふける。
「……………………、ふー……良かった」
僕は、ゆっくりと本を閉じて一人つぶやき余韻に浸る。