ダンジョン超人は美人化ペットと無双する〜30年ぶりにダンジョンから出た地上は、女子率99.999%のハーレム世界でした〜   作:ラディ@小説家もどき

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04なんとでもなる

 …………まあいいか。

 こういうアイデンティティを問う話ってのは結局のところ十人十色なんて便利ワードで煙に巻けるような曖昧なものだ。

 

 数学的に必然であることを十人十色だとか多様性なんていい感じに言ってぶん投げられるような、適当で曖昧で不確かなものだ。

 

 考え込んでも仕方がない……というか疲れた。

 久しぶりに集中して活字を読んだから目が疲れたし、熊本ラーメンで上がった血糖値でまだ眠い。

 

 眠い時は寝るに限る、だから寝る。 

 僕は机に突っ伏して、そのまま目を閉じた。

 

 夢を見た。

 

 鏡を見たら、髪の毛が鎖骨くらいまで伸びていた。

 驚きつつも髪を触って結ったり、編んでみようとした。

 さらに、服はドレスへと変わっていた。

 ノンプリのジュリエッタみたいな、ドレスに。

 嬉々としながら、長髪とスカートが揺れる自分の姿を見ていたが。

 こんなところ父に見られたら、という焦りが膨れ上がる。

 ドレスを脱ごうとしても上手く脱げず、わたわたと帽子を探したり、いっそ切ってしまおうとハサミを探したり、でも何も見つからなくて。

 

 そこで縞島が、僕を呼んだ。

 

 僕は縞島の声の方に向かって走る、縞島ならどうにかしてくれると思った。

 

 そして、声を頼りに進んだところで。

 

「……――さん、喜怒さーん。あ、起きた。おはようございます」

 

 縞島が肩をゆすり、僕は目を覚ます。

 

「……ああ、おはよう」

 

 僕は穏やかに、ふわふわとする頭で縞島へ返す。

 

 夢のこともあって、縞島を見てとても安心する……あれなんで安心するんだっけ。なんか夢で……ああもう忘れたし、もういいや。

 

「あらかたインプットできました。後は実施と実証と試行錯誤でなんとかします。お付き合いいただいてありがとうございました」

 

 縞島が作業の終わりを告げる。

 

「ん――――――……っ、そうか。よし戻るか……あれ」

 

 僕は思い切り伸びをしながら立ち上がってそう言ったところで、読んでいた本がなくなってることに気づく。

 

「あ、なんか資料館の人が一冊くらいなら持っていって良いって言ってくれたのでこれ貰っておきましたよ。はい、これ」

 

 縞島はそう言いながら僕に、ノンプリNova:Ⅱノベライズ最終巻を手渡す。

 

「な……⁉ いや、何故……ええ……?」

 

 僕は一気に目が覚めるほど驚いて問うと。

 

「あー、ずっとこれを読んでたから好きなのかなって。私はもう読みたいものは読んだし、頭に叩き込んだし重要なところはノートに取ったので……あれ、要らなかったものですか?」

 

 あっけらかんと、縞島は答える。

 

 見られていたのか…………まあ別に僕が乙女ゲーやら好きってバレてもいいか。

 そんなことより、ノンプリだ。

 

「…………縞島……いや、成子と呼ばせてくれ。ありがとう、受け取らせてもらう」

 

 僕は心からの感謝を伝え、ノンプリNova:Ⅱノベライズ最終巻を受け取る。

 

「ああ良かった。じゃあ私も乱丸さんって呼びますね」

 

 縞島も可愛らしい笑顔でそう返した。

 

 貰った本を胸に抱き、浮足立って鼻歌交じりで帰路につく。

 

 ああ、嬉しい。

 僕は欲しいものを誰かから与えられた経験が少ない。

 

 こんなの僕が男だったら恋に落ちていた。

 でも僕は男じゃあないから、友達になりたくなった。

 

 まあいつになるかわからないけど、これは必ず札幌に持ち帰って本棚の一冊分だけ空いている隙間に仕舞おう。

 

 楽しみだ。

 大規模ダンジョンを殲滅して、札幌に帰るのがより楽しみになった。

 

 ここから僕たちは宿にて各員と合流し、各自の活動報告をして経路や情報を共有。

 

 なるほど……、このまま熊本を突っ切って福岡県も都市部を避けるように掠めて佐賀県の玄海居住区まで移動か。

 

 北海道規模でいうんなら大した距離でもないんだが、どうにも大きな自動車道は迷宮災害でめちゃくちゃらしく海岸線を通ってはいけないらしい。

 かなり迂回して大分県寄りに膨らんだりしながらの移動となるとのこと。

 

 まあ大丈夫だろ。

 うちのサポート担当は、日本一。

 あんなに勤勉で人の求めるところに手が届く攻略者は他にはいない。

 

 成子がいればなんとでもなる。

 

 翌朝、僕ら川内居住区を出発。

 迷宮攻略分隊は、玄海居住区を目指す。

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