ダンジョン超人は美人化ペットと無双する〜30年ぶりにダンジョンから出た地上は、女子率99.999%のハーレム世界でした〜 作:ラディ@小説家もどき
01温泉
私、暗木ヒカリは今は迷宮攻略分隊として川内居住区から玄海居住区を目指して進行している。
どうにも九州自動車道とかがモンスター被害で使えないらしいので、熊本を大分寄りに迂回するようなかたちで移動している。
夜間走行は危険だし、運転する成子ちゃんの体力や集中力に依存するから無理はできない。
なので、今日は暗くなる前に放置された温泉宿敷地内をキャンプ地とすることにした。
川内攻略隊の情報通り、この辺りはモンスターがかなり少ないので休むには丁度いい。明日は明け方から一気に玄海居住区まで走破する予定。
まあまあそれはさておき。
「えー温泉! いいわねえ、入れるのかな……」
ミライちゃんが、温泉宿の露天風呂を見てそんなことを言うと。
「あーなんか温泉自体は枯れてなさそうですね……。ただちゃんと掃除しないと使えなさそうです」
成子ちゃんが露天風呂を確認しながら返す。
「温泉か……、魅力的だが流石にみんなでえっこら掃除してる暇はねーぞ。諦めろ、風呂で我慢しとけ」
乃本氏は冷静にそう述べる。
まあその通り、落ち葉や枝やら砂埃で溜まったであろう汚れとかで全然使える状態じゃない。
流石に今から掃除するのはなかなかの労力だし、疲れを癒す温泉のために疲れるのは本末転倒だ。
「な……っ『おんせん』とは風呂のことなのか! 入りたい! 掃除くらいすぐに終わらせろ!」
「無茶をいうな……、結構面倒だぞ。大浴場の清掃って」
乃本氏の背中に抱き着くヴィオラちゃんが大喜びで声を上げると、乃本氏が呆れながらヴィオラちゃんを宥める。
「そんなもの悪樓《あくる》なら一瞬だろ、おい悪樓の主! 悪樓にささっと掃除させろ! 消し飛ばすぞ!」
ヴィオラちゃんは私を指名して述べる。
「消し飛ばすな馬鹿。風呂なら縞島が作ってくれるし、そもそもおまえ汗とかかかねえだろ」
乃本氏はヴィオラちゃんのほっぺを手で挟んでぐりぐりこねくり回しながら言う。
そこから、ぎゃーぎゃーとヴィオラちゃんと乃本氏が愉快な言い合いが続いたところで。
「……いいわよ。あんまり清掃も出来ること知られたくなかったけど」
私はそう言って、前に出る。
私は『水屋』としてかなり便利に使われてきた。
安全な水源としてだけじゃなくて、そこそこ戦えて清掃機能付きなんて便利過ぎる。面倒くさいことになるから誰にも教えてなかった。
でも、私も温泉には入りたい。
「満たして! マー坊!」
私はマー坊に、清掃用出力での水圧ジェットを命じる。
マー坊の水操作は、撃ち出すだけではなくてマー坊の意思と共鳴する私の意思によって動く。
私の視界の中で、意識が向いた地点に水は高圧力で飛んでいって水の中に混ざったゴミを一カ所に集めて洗い流す。
排水溝やお湯が流れる地点の詰まりも全部取っ払って、使えるようにする。
そして、十分後。
「すご……ぴっかぴかだ。こんな一瞬で……」
清掃を終えた露天風呂を見て成子ちゃんが驚きの声を漏らす。
まあこのくらいは正直造作もない。
マー坊は思っている以上に、器用……というか水さえあれば何でも出来る。
「よくやったぞ悪樓の主! よし! 入ろう主様!」
「まあこうなるんだったら入るか。せっかくだしな」
嬉々とするヴィオラちゃんに揺られながら、乃本氏も乗ってくる。
「うん。モンスターも出ないっぽいし入っちゃおうか!」
元気にミライちゃんが女性陣に向けて言うと。
「いいですね。私温泉初めてです」
里々ちゃんも笑顔で返し。
「私も! 興味あったから、嬉しいです!」
成子ちゃんも続く。
「あーじゃあ僕は表で待っているから、みんなはゆっくり浸かってくるといい」
一歩引いたところで乱丸が辞退する旨を述べたところで。
「いや乱丸さんが全然自認男性じゃないこともうみんな知ってますよ。男装が染みついただけの女性……的な感じですよね。乙女ゲーとかやってますし」
あっさりと成子ちゃんは乱丸に返す。
まあ正直、私も気づいていた。
分隊結成前まではそんなに付き合いなかったから、無茶ばかりする自認男性攻略者って認識してたけど。
ここまで一緒に旅してわかった。乱丸は乙女だ。
なんか男性口調で男装してる王子キャラの乙女、そもそも男性を自認しているのなら乃本氏と一緒に入っても問題ないだろうし。
いや身体は女のままだから乃本氏への配慮も考えられるけど、乱丸は多分ちょっと気になる異性とお風呂に入ることを恥ずかしいと思っている普通に女の子だ。