今月の14日で『殺戮の天使』は10周年です。
おめでとうございます!!!
神だとかなんだとか、だいたい眠くなる話って決まってこういう抽象的な話ばかりだよね。前世でこういうことを言う人にはあまり近寄りがたかった。
ただ、自分の信じている何かがあるのって少し羨ましかったりする。
そんな事を半ば現実逃避気味に考えていた。
でも、それは私のせいではないと思う………
『君はレイチェル・ガードナーの友人だったかね……なるほど、面白い変数である……』
出来れば会いたくなかったし、何も面白くないよ………
一悶着あったが、フロアB2まで来た。
私は思い悩んでいた。
まずい、私は、どっちについていけばいいんだ、レイチェルか?ザックか?
本来は異分子であるはずの私だったが、その選択が決まっていなかった訳では無い。
しかし、それを選ぶことには躊躇していた。
レイチェルに行った場合、
ザックと一緒にいた場合、
どちらにしても私はそれぞれの役に立てるのかもしれない。が、同時に想定していなかった事態を拡大させるのかもしれない。
『私はこのフロアを回って調べることにするよ。』
レイチェルはザックの手当てをしようということで、薬の入手を検討してたようだった。
2人が話し合っていた所に切り出した。
『わかった。ただ、気をつけてほしい。』
レイチェルにはすんなり通ったみたいで安心した。
私の心配をするほどの余裕はないんじゃないだろうか。
『オイッ、案内するんじゃなかったのかよッ!?』
一見尤もらしく聞こえる。当初の利害関係ではそうであった。
.....だが、
『君を置いて私だけが先に行こうとでも思っているのかい?君たちの敵をしたいなら態々、こんな協力なんてする必要はないだろう。手負いの君とレイチェルなら、尚更だ。』
舌打ちの音が聞こえる。腹の立つ対応だが、許してくれ。こんな所で仲間割れをしていても、ザックの傷が治るわけでもない。
『それに、ここのフロアボス自体に恐れる必要はない。』
今までと違って肉弾戦でやり合う展開にはならないだろう。あまり記憶はないがそうだった。
『.........勝手にしやがれ』
少し間を置いてから返事が聞こえた。
でも少し不安だな、そういえば………
少ししてから2人とは別行動になった。
今まで3人で行動してたからなのか、ほんの少し不安になる。
『グレイ』
本名はなんだったか覚えてないが、
彼自身はこれまでのボス達とは全く違う。
というか違いすぎて行動方針が良く分からない。
自身を神父であるかのように驕り、それを仲間たち、すなわち各フロアボスへの導きとすることに価値を見出している。
やっていることはただの人殺しだと思うんだけど、私にはなかなか理解しがたい精神状態だ。
レイチェルと相対する場面では、裁判を執り行っていた。
彼はレイチェルが魔女であると断罪しようとする。他人の心を誑かしたとか何とかが理由だった気がする。
魔女がどうとか、私は知らないが、正直何がしたいのか分からない相手ではある。中世さながら……というか中世の魔女裁判がモチーフなのだから何でもありなのだろう。
彼の言い分は、ダニーを惑わしたという点でアウトなのだろうが、彼の宗教観も歴史観もただ自身の偏見と傲慢さの塊にしか見えないものだ。同情しそうな点もあるのかもしれないが、殺人集団でしかない。
そんな事を考えながら、いくつもの部屋を潜り抜けて何かめぼしいものはないかと探してた頃だった。
『君とは少し話をしておきたい……』
斜め後ろからグレイの声が聞こえた。
一瞬、心臓が止まりそうになった。
こんな場所だ。声だけで誰かくらいすぐ分かる。
なんだろうか。
彼のお眼鏡に叶うかという話だったら早急にお断りを申し上げたい。
『構わない。でも私たちに限られた時間は僅かかもしれないからね。』
早くしてくれ。というか今さら気づいたけど何なんだ、
私の口調。
こんなに気取った話し方してたっけ………?
まぁ、いいや………(諦め)
『ふむ、やはり面白い……君は彼女に何をもたらすか、興味深いことだが........そういえば話してなかったか。』
何だ?初対面の相手に何を言っているんだ。
『君を知ったのはダニエル、あの男からだ。また下らん信仰の話かと思ったが、違ったようだ。』
そうだったか......そうだろうとは思っていたが、やっぱりか。
それにしてもレイチェルに何をもたらすかだと?
レイチェルに何をしてやれるか.......
そんなの、全員でここを出ること以外に何があるんだろう。
もっと具体的に話してほしい。このやり取りになんの意味があるんだろうか。
この感じだと、話が長くなりそうだな。どうにかしたい。
『きみ達、いや特に君は何をやろうとしているのか分からないし、知っても理解できないと思う。だけれど、私は天使でも魔女でもない彼女の姿を知っている。』
反応が返ってくるとは思ってなかったらしい。少し視線が動いた気がする。
『私たちへの皮肉かね?』
『どう思ってもらってもいいけど、私にとって少なくとも君たちが天使でもなんでもないというのは断言できるかな。』
レイチェルは遠くから見れば天使みたいなものだが、流石にそういう話でもないのも知っている。
少し言い方がストレート過ぎただろうか。
『..........下がって良い』
何しに来たんだろうか。いくら何でも何も話してないだろう。
本当に下がっていいのだろうか。ここから肉弾戦になったりしないだろうか。
......だが、彼は特に追求してこない。
どうやら嘘ではないみたいだ。
何が原因で機嫌を損ねるか分からない。
足音を鳴らさないように来た道をゆっくり戻る。
パタンと音を鳴らして扉から出た。
はぁ……疲れた。
今までは戦ってばかりだったけど、今回は精神的に疲れたな。拳で殴り合おうとしない、何を考えてるかわからないヤツほど相手にするのが大変だ。
それに彼に近づこうとすると何かおかしな感覚がする。
.......なぜだが、近づくことができなかった。
魔法でも使ってるのか……そんなわけない。
魔女だとか天使だとかファンタジー満載の話で頭がハッピーになりすぎている。
ふと周りを見渡す。決して不安になったわけではない()
ここは何処なのか………
不気味な暗さが私の方向感覚を狂わせそうだ。
頼りだったライトはいつの間にか点かなくなってしまっていた。
こんなに暗い部屋だったかな………
とりあえず散策してみようか。声がすればそっちに向かえばいい。
なんとか戻ってこれたみたいだ。
『お前............良く戻ってこれたな。』
ザックは驚きを露わにする。
そんなに驚かないでほしいんだけどな。
『今まで単独行動してたんだから、驚くようなことでもないよ……それにしてもレイチェルはどうしたの?』
『......すぐにでも帰ってくるんじゃねェか?』
だといいんだけど、確か今頃は試練を受けていたんだっけな。
そう言うザックの方に目を向ける。焦燥としている様子であまり覇気は感じられない。
ダニーとの戦いで疲弊しているのだろうか。
『.......レイチェルを探してくる。』
彼はもう一度驚いた。
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