殺戮の天使は その片翼を失うか?   作:三日月ノア

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第5話:私は彼女に接触する?

 

目が覚めると昨日と同じベットだった。少し目が充血している。泣きすぎたせいだ。

 

 

今後を考える。

 

 

両親を失った私は一時的なのか分からないが、警察に保護され保護施設に入るらしい。

 

退院後にまもなく知ったことだ。

 

両親は一人娘である私のために多額の遺産を残してくれていたらしい。こういう時には身内で揉めそうなものだが、どうやらそういう事にはならなそうだ。

 

両親の人間性が影響しているのだろう。彼らは人付き合いも良く親戚たちとも良い関係を築いていた。私が基本的にそのまま全額相続するらしいだとかなんとか聞いた。

 

 

 

でも、それは私のものではない。正直どうでもよかった。

 

 

 

 

 

 

 

保護施設か。

 

 

皮肉にもレイチェルと同じだ。

 

推測通りなら接点はここで作れる。しかしここにきて問題がある。

 

 

レイチェルとの接し方が分からない。どう接すれば良いんだ。異性との接し方が分からないというわけじゃない。前世はまだしも今世では同性として同級生との関わりがあったわけだから心得ているつもりだ。

 

 

前世と13年間何して生きてきたのだと思われても仕方ない。だが、現地の一般的な13歳の少女なら何の問題もないのだが精神状態が特異な子供とは接したことがない。

 

 

 

どういう理由があればそんな状況になるのか。少なくとも私が両親に頼んだとしても悪影響だとして許可出来ないだろう。私が親だとしてもそんな意味の分からないことをさせないだろう。どうすればいいのか………

 

 

 

 

 

その後、数日間ほどそのまま入院したのに退院することになった。医師や看護師の方々には酷く驚かれた。

 

そりゃあそうだ、応急処置が上手く出来ていたと言え本来はそんな短時間で治るわけはない。13歳の子供なのだから尚更だ。

 

 

 

これは恐らく転生チートというやつなのだろう。転生させてくれた誰かにありがたく感謝するが、もっと他の違う能力が良かったかもしれないと思ってしまう。

 

 

 

 

保護施設に行く前に実家に寄ることになった。親戚や医師・看護師の方々からは止められたが私としては決めていた。ケジメをつけるつもりだった。

 

 

病院からの帰り道、車内は重苦しい雰囲気だった。それもそうだろう。だが、私にとって望んでいたことではなかったので、親戚の人たちには今後についていろいろ聞いておくことにした。

 

 

 

 

車から降りて少し歩いた後、玄関を開けると一面、部屋の中には何もない光景が広がっていた。

 

どうやら私が入院している間に彼らが分担してそれぞれの家で保管していたらしい。一通り回った後、再び車に乗ってその場を離れた。遠くなる我が家、その何もない生家に向かって眺めながら思う。

 

 

 

 

 

 

 

『(13年間、2人にとっての娘として育ててくれてありがとう……………)』

 

 

 

 

 

 

 

ただそう思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レイチェル・ガードナー。

 

 

見た目の美しさを除けば他の子供達と変わらないように思っていた。本編で蝶だったかの死骸を継ぎ接ぎしていたシーンが印象的だったのは覚えている。

 

 

ただ実際のところ会ってみたらどんな少女なのかはよく分かっていなかった。

 

 

実際に会ってみて明らかに他の子供達とは違う部分があった。

 

 

目が死んでいるのだ。

 

 

ハイライトのない瞳とはまさしくその通りで史実同様その瞳は何も映していないかのようにさえ見える。ただ話しかけてみるとちゃんと返してくれる。それも最低限のように聞こえる。

 

 

本編でザックと会話していた当初の彼女がそうだった気がする。それでもザックとの仲が深まるにつれて次第にその態度も柔らかくなっていった。ザックが無差別に誰に対しても基本的に攻撃的であるとすると、レイチェルは表面的には協調してくれそうな気がするが全く信頼されないという具合だろうか。

 

 

私も少しずつ彼女との交流を深めて信頼される人間になるしかないということなのだろう。

 

 

 

彼女のいわば死骸に対する継ぎ接ぎ癖や小動物への殺人衝動は想像以上なものだった。

 

 

 

私は昆虫や小動物が苦手で触れることも勇気が必要なくらいなのだが、そんな私だが彼女に教えられる事の1つにあるのが共感力だった。

 

 

まず彼女の考えを否定しないということだ。

 

 

 

レイチェルには大好きなモノは殺すことで自分のものにできるという感覚が根底にある。それを最初から否定するのではない。

 

何も命の尊さを語るわけではない。私たちだって耳元で蛾が飛んでいたら追い払うし殺すだろう。その度にごめんなさいをする人は見たことない。

 

 

そうではなく、少しずつ彼女の選択肢の中から殺人という手段を能動的に選びにくい心理に近づけていく。両親の死と自身が両親を殺したという経験は本来13歳の少女が容易に受け入れられるものではないはずだ。

 

 

私ですら今世の両親を亡くした経験は簡単に消化できるものではなかった。それでも少しずつ確実に彼女の傷を和らげる必要がある。

 

しかしダニエルは何処にいるのだろうか。

 

おそらくこの施設のどこかでカウンセラーをやっているのだろうが、まだ見かけていない。彼ならすでにレイチェルに狙いを定めていてもおかしくない。

 

 

 

ふと気づくと、さっきまで隣で会話をしていた彼女の姿が消えていた。

 

 

 

 

少しレイチェルの行動を追ってみる必要があるか。

 

 

 

 

 

 

 

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