殺戮の天使は その片翼を失うか?   作:三日月ノア

6 / 15
第6話:私は事態に動揺する?

 

 

相変わらず私の中にいるかもしれない『彼女』は見つからない。

 

 

 

 

 

最近、気になっていたことがある。ここでの生活についてだ。

 

もちろん、居心地はいいし職員の方も大凡良い人ばかりだ。そういう意味で気になっていたわけではない。

 

私がここにいつまでいるのかだ。

 

それが、数日間なのか数カ月なのかどのくらいここに滞在するのか、イマイチハッキリとした事が分かっていないという問題がある。

 

私の処遇について、手続きに時間がかかっているのか。

 

 

ただしばらくはこの施設にいられるらしい。

 

 

私の処遇といえば………思い出す。

 

 

 

以前まで通っていたというのに、学校の方はどうなっているんだろうか。

 

問いたい気持ちを抑えつつ、親戚の方からはそれも心配する必要はないとだけ入所の際に教えられた。

 

学校側としてもそんな事件があったというのに何食わぬ顔で授業を受けていたら困るのだろうか。

 

 

いやそんな事もないか。

 

この施設内にいるのもまあワケアリの子たちなのだろう。

 

されど、私基準でも特別手に負えないような子たちがいるわけでもないので気にもしなかった。

 

 

 

ちなみにレイチェルに対してはストーカー紛いの行為をしている私だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

予想通りだった。

 

 

 

その日、私は施設内のレクリエーションルーム?のような場所でテレビに目を向けながらも事前に仕掛けておいた盗聴器に耳を傾けていた。

 

前世でもカウンセラーの存在は知っていたが、あんまり使ったことはなかった。

 

自身の悩みが第三者によって話を聞いてもらうことで患者の精神が安定する側面については知っている。

 

 

 

これは本人の性格の問題だろう。家族や友人のような既知の相手だと話しにくいという人もいるのかもしれない。

 

 

 

なのだが、問題を先送りにしているようで私にはあまり役に立つとは感じられなかった。

 

 

 

一度、私がワケアリの状態になったとき、受けたことがある。

 

面接のように一方的に話を投げつけた後、薬をもらって終わった。薬について知識があるわけではない。トリンなんとかだとかブレクスなんとかだとかの横文字だったが、処方されたものを素直に服用することになった。

 

 

 

結局処方されたモノが効いたのか、少し睡眠の質が上がったような気がしたが、それくらいだ。

 

 

それで………

 

 

そうだった。あの2人についてだった。

 

 

 

『………レイチェル、君は少し疲れているみたいだ。

 

 ………そうだな……時間が解決してくれることもあるんだよ……』

 

 

 

『………はい。』

 

寄り添うような?発言はカウンセラーらしいのかもしれない。彼の頭にはその視線の先にあるレイチェルの瞳に釘付けだということを知らなければ………

 

 

 

私はクッションの上に座りながら話を聞く。

 

フローリングの床の上は素足だと滑りそうになる。

ただ、この施設では屋内で靴を履かないように言われている。

 

分厚いカーペットがなかったら頭打ちそうだな。

 

さて、全くもって理解し難いが、対するレイチェルの方も何を考えているかさっぱりなんだよな。返事がそれだけなのは悪く思われてなかったとしても、なんだか冷たい印象がする。

 

 

本編の方でもダニエル先生は彼女のカウンセラーとしてカウンセリングをしていた描写がある。

 

だけど、正直なところレイチェルが連れ去られる経緯については私もよく知らない。

 

取り敢えず、今後の事を考える必要がある。

 

エディ成り代わり作戦である。ただ彼がビルで墓の埋葬という役割を全う?しているとして、今は何やってるんだ。

 

 

時系列についてよく知らないが、何もビルのフロアボス達が24時間営業で活動しているわけではないだろう。殺人を厭わない、その精神性はモンスターさながらのようであるが、れっきとした人間だ。

 

 

だから、エディが今どこにいてどんな隙を見せるか、例えば仲間たちとの関係だとか、個人的な特徴だとか。

 

 

 

 

どちらにしても早めにあのビル内に辿り着いて、エディと接触する必要があるという事に違いはない。

 

そして、ビルから彼を追い出すか、ビル内部のどこかに閉じ込めておいて後から追い出すか決めればいい。

 

私がやろうとしていることが正しいする根拠はない

 

 

それでも、フロアボスの彼らがやっていることは紛うことなき犯罪行為でしかない。エディについては死体を放置せずに埋葬するその人間らしさに一考の余地があるのかもしれないが、快楽殺人に弁解の余地はない。

 

過去に仲間と共謀してリンチだとか殺人をしていても可笑しくない。

 

 

考えれば考えるほどあの集団は薄氷の上で成立してる。誰か1人が欠けただけでも機能しなくなるか仲間割れをしそうな.......

 

そんな事を考えながらもういいか、と思っていると、施設の担当者の方がおやつの時間だと教えてくれた。

 

 

 

 

 

って、おやつの時間ってなんだよ。

 

 

 

ガキじゃねーんだぞ?

 

 

言い返したくなる気持ちを抑える。今は13歳の少女に過ぎない己だ。何年も生きていても時々、こうした不快感を感じる。

 

軽く不自然にならない程度で悪印象を与えないように返事をしてからすぐに立ち上がろうとする。クッションの所有権を主張したそうな子供が近くにいたせいもある。

 

 

しかし、盗聴器からもたらされた言葉にしばし、衝撃を受けた。

 

 

『そうだ、少し散歩をしないかい?聡明な君にここは退屈そうに見えるからね。

わざわざこんな施設内で話を聞くというのは堅苦しいし、何よりもそんな形式ばった方法よりも開放的な場所で話をした方が聞きやすいだろう?』

 

 

『……わかりました。』

 

 

 

 

待て待て……

 

 

 

そんな急展開知らないぞ。

 

 

それとそいつの目を良く見てみなよ、レイチェル。

 

明らかに善意で言ってる奴の顔つきじゃないぞ。

 

 

 

 

 

 

君達、今からどこにいくつもりなんだよ…………

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。