意識が目覚める。
ここは私の部屋の、ベッドの上……
最後の記憶は……
──悪いな、寝てろ
お腹……身体に響くあの人の低い声。
人としての尊厳という尊厳を徹底的に盗まれて……
その上私は、舌を撫でられて……
「っ〜〜!!」
あ、有り得ない!有り得ない有り得ない!!
私は、ゲヘナの風紀を守る風紀委員会のNo.2!
清廉たるヒナ委員長の右腕にして行政官……
そんな私が、ま、まるで私が、あの人にこ、恋をしてるみたいな……
中年ですよ!?いくつ年が離れてると思ってるんですか!?
でも、ダンディで、たまに薫る臭いが……
不躾で物言いもぶっきらぼうで、失礼極まりないような男なんですよ!!
で、でも、その距離感が居心地がいいと言うか……だからこそ、あの躾が……
「うっぅぁああああああ!!!」
ドクドクと、うるさく心臓の鼓動が体全身を揺らす。
最悪だ、あんな年上の大人に恋するなんて……
しかも、自分から差し出した条件で……お、堕とされるなんて……
先生には、何度も冷静沈着で居続けろなんて言われてるけど……
それでも、この感情を前に冷静でなんていられません!
何度も自分の中で有り得ないとあってはならないと否定する、自分自身を覚まそうとする言葉を、私は否定してしまう。
私の手は勝手にスマホに手が伸び、先生に対してメッセージを打ち始める。
『きょ、今日のことは!ただのマグレですからね!!』
『勝ったと思わないでください!!次は私が先生にワンと鳴かせてやりますから!!!』
『覚えて……いや忘れてください!!忘れないとその頭叩き割りますから!!!いいですね!!!』
はぁはぁと、荒く息を立てながら、先生に対してメッセージを送る。
しばらくするとポンと通知の音がなり、先生からの返事が返ってくる。
音声メッセージ……?
ど、ドン引きされちゃったんじゃ……
固唾を飲んで、音声メッセージのボタンをタップする……
秒数は、たったの5秒。
『ワン……ほら、これでいいだろ?』
「なっ、何やってるんですかあの人は!!!!!!」
何自分を安売りしてるんですか!!!
バカなんですか!?馬鹿なんですね?!
その声でワンは卑怯じゃないですか!?
赤く熱くなる顔と火照り始める体。
気が付くと、私の体は勝手にスマホの通話機能をタップしていた。
『ん?アコどうした』
「どうしたもこうしたもないですよ!!!この馬鹿先生!!!どういう意図であんな物送って来たんですか!!!」
その通話は、優に1時間を超え、私が翌日寝坊したことは言うまでもないことでしょう。