新任教師『次元大介』短編集   作:レイゴン

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#EX9 THREE IN THE BLACKの後日談となります


鬼の居ぬ間に

 意識が目覚める。

 ここは私の部屋の、ベッドの上……

 

 最後の記憶は……

 

 ──悪いな、寝てろ

 

 お腹……身体に響くあの人の低い声。

 人としての尊厳という尊厳を徹底的に盗まれて……

 その上私は、舌を撫でられて……

 

「っ〜〜!!」

 

 あ、有り得ない!有り得ない有り得ない!!

 

 私は、ゲヘナの風紀を守る風紀委員会のNo.2!

 清廉たるヒナ委員長の右腕にして行政官……

 

 そんな私が、ま、まるで私が、あの人にこ、恋をしてるみたいな……

 中年ですよ!?いくつ年が離れてると思ってるんですか!?

 

 でも、ダンディで、たまに薫る臭いが……

 

 不躾で物言いもぶっきらぼうで、失礼極まりないような男なんですよ!!

 

 で、でも、その距離感が居心地がいいと言うか……だからこそ、あの躾が……

 

「うっぅぁああああああ!!!」

 

 ドクドクと、うるさく心臓の鼓動が体全身を揺らす。

 最悪だ、あんな年上の大人に恋するなんて……

 

 しかも、自分から差し出した条件で……お、堕とされるなんて……

 先生には、何度も冷静沈着で居続けろなんて言われてるけど……

 それでも、この感情を前に冷静でなんていられません!

 

 何度も自分の中で有り得ないとあってはならないと否定する、自分自身を覚まそうとする言葉を、私は否定してしまう。

 

 私の手は勝手にスマホに手が伸び、先生に対してメッセージを打ち始める。

 

『きょ、今日のことは!ただのマグレですからね!!』

 

『勝ったと思わないでください!!次は私が先生にワンと鳴かせてやりますから!!!』

 

『覚えて……いや忘れてください!!忘れないとその頭叩き割りますから!!!いいですね!!!』

 

 はぁはぁと、荒く息を立てながら、先生に対してメッセージを送る。

 

 しばらくするとポンと通知の音がなり、先生からの返事が返ってくる。

 

 音声メッセージ……?

 

 ど、ドン引きされちゃったんじゃ……

 

 固唾を飲んで、音声メッセージのボタンをタップする……

 

 秒数は、たったの5秒。

 

『ワン……ほら、これでいいだろ?』

 

「なっ、何やってるんですかあの人は!!!!!!」

 

 何自分を安売りしてるんですか!!!

 バカなんですか!?馬鹿なんですね?!

 その声でワンは卑怯じゃないですか!?

 

 赤く熱くなる顔と火照り始める体。

 

 気が付くと、私の体は勝手にスマホの通話機能をタップしていた。

 

『ん?アコどうした』

 

「どうしたもこうしたもないですよ!!!この馬鹿先生!!!どういう意図であんな物送って来たんですか!!!」

 

 その通話は、優に1時間を超え、私が翌日寝坊したことは言うまでもないことでしょう。

 

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