新任教師『次元大介』短編集   作:レイゴン

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グッド・マナー

とある日の晩飯時。

 

久しぶりに全員揃って飯を食っているとアルが俺に対して話しかけてくる。

 

「ね、ねぇ先生?」

 

「あ?なんだ」

 

今日の飯は、もつ鍋だ。

同じ鍋を突っつく程度の仲にはなったってとこか?

 

「先生って、仕事とかで変装して潜入なんてすることはあったのかしら」

 

「……んー、そりゃお前さん、仕事によるが、場合によっちゃあるな。あむっ、うめぇ」

 

もつを数個口の中に放り込んで噛み締めながら、返事をする。

この牛もつ、中々イケるな。

今度も同じとこで買うか。

 

「なんでそんなこと聞く。あ、おいムツキてめぇキャベツも食えキャベツも」

 

「先生だってもつばっか取ってくじゃん!」

 

「こういうのは、早い者勝ちって相場が決まってんだろうが」

 

「その、先生っていわゆるマナーとかないじゃない?」

 

「ぶふっ!げほっ、ごほっ!あんだって!?」

 

アルの発言に思わず吹き出す。

こ、こいつ、意外とぶっ込んできやがるな。

遠慮が無くなったとも言えるけどよ……

 

「貴族とかそういう所に忍び込む時はどうしてたのかしらって……」

 

「そりゃあ、そういうこまっしゃくれたマナーは、あらかた覚えてるさ。成り代わって変装したりするなら必須項目だからな」

 

俺がそういう役回りをすることは、滅多にないが無いわけでもねぇからな。

最低限のマナーとあとはその場しのぎで覚えるもんはある。

 

「ただ、あぁいう食い方は気を使うから嫌ぇなんだよ」

 

あぁいう食い方してて飯の味が分かるもんなのかね?

格式ってのは大事かもしれねぇが、めんどくせぇとしか思わねぇな。

 

「なるほど……なら、私達の前では気を遣わずに居てくれてるってことかしら?」

 

「くふふっ、先生ったらツンデレさんなんだから〜」

 

「抜かせ、お前さんらとはただのビジネスパートナーだよ」

 

俺がそう言うと隣に座るムツキに、顔を肘でグリグリと突っつかれる。

地味に痛ぇし、食いづれぇ。

 

「またまたぁ、先生ったら照れ隠しして」

 

「照れ隠しはしてねぇ……って、てめぇらもつ取りすぎだろうが!!」

 

ふと、鍋の中を見るといつの間にかもつが消えて他の4人の取り皿に山盛りにもつが盛られている。

普段はルパンにやってることをやられるとはな。

 

「先生が言ったんでしょ、早い者勝ちって」

 

「あ、あの、私の分で良ければ……」

 

「いいのよハルカ、先生はキャベツとお豆腐を食べるもの……ねっ?」

 

冷静に答えるカヨコと対照的に自分の取り皿を差し出そうとするハルカを、アルが止めて俺に向かってウィンクを飛ばしてきやがる。

 

「ったく、こいつら図太くなりやがって……」

 

鍋の中に一つ残ったもつを口の中に入れて、味わいながらこいつらの成長と関係性の変化に俺はほくそ笑むのだった。

 





Part5の飯のシーンの出来栄えめちゃくちゃ好き。
あと、Part6のOPの食事シーンも好き、あれめちゃくちゃよく出来てますよね。丁寧な食べ方をする不二子と五ェ門。マナーの悪い食べ方をするルパンと次元。でも足を組むタイミングは同じつまり、一見対照的な彼らも根っこは同じで気の合う仲間っていう見せ方をしてるんですよ。とても好き

さてさて、毎度リクエストありがとうございます、一部は短編にするにはもったいなさすぎるのがあるのでそちらはEXの方にあげたりしつつこちらも自分なりのペースで消化していく予定です。
ではでは
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