新任教師『次元大介』短編集   作:レイゴン

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#EX9 THREE IN THE BLACK
#EX14 刃の心。乙女の心。
の前日譚となります


魔王だって休みたい!

「んん〜!」

 

隣に居るヒナが声を上げながら伸びを行う。

ポキポキと全身の関節が音を鳴らし、凝り固まっていた肉と骨を解していく。

 

「悪ぃなヒナ。普段から風紀委員会の仕事で大変だろうに、こっちのやつまで手伝わせちまってよ」

 

「ふふっ、いいのよ。こういうデスクワークは良くやってたし……最近は、みんなでやるようになって私の仕事量も減ってるから」

 

そう優しく微笑む彼女の目の下には、確かに昔のような隈は見えない。

化粧をつけても消せないような隈だったが、それも消えたようで随分と労働環境は良くなったようだ。

 

「これも先生のお陰よ」

 

「はっ、俺はただ、お節介を焼いただけだ」

 

「そう……それでも譲ってはあげないわ」

 

こいつも随分と意地っ張りになったもんだ。

てめぇの考えに素直になった。

と言い換えりゃ、いいことなのかもしれねぇな。

 

「今日の仕事はこんなもんでいいだろ。お疲れ様」

 

「あ……そうなのね」

 

仕事が一段落したところで、ヒナには明日の委員会での仕事があるだろうから、帰らせようと声をかけると、ヒナの顔が沈み、気配が萎びたような感覚がする。

 

こいつそこまでワークホリックだったか?

仕事熱心なのはいいことなんだがな。

 

その後しばらく考え事をしていたヒナが、重々しく口を開く。

 

「……ねぇ、先生。その……少しいいかしら」

 

「あ?どうした。言っとくがこれ以上仕事はやらせねぇぞ」

 

「ち、違うわよ!その……私頑張ったから、ご褒美……くれないかしら?」

 

照れ恥ずかしそうに目を逸らしながらヒナは小さな声でそう言う。

おねだり上手とはな……

アコには悪いが……甘やかさせてやるとしよう。

 

「いいぜ、お前さんは普段から頑張ってるからな。何をして欲しいんだ?」

 

「……な、なら、その……膝枕、してほしい……」

 

意外かもしれねぇが、ヒナは甘えん坊なところがある。

いつぞやの風紀委員会への訓練の時も、休み時間や夜に、委員の奴らに隠れてハグとか求められてきたことは少なくない。

 

休憩スペースのソファに座り、俺は自分の膝を叩く。

その合図で、ヒナは、トテトテと駆け寄って、隣に座ると、少し呼吸をした後に、コロンと俺の膝に頭を乗せる。

 

「……や、やっぱり迷惑じゃないかしら」

 

「迷惑ではねぇよ、ガキはガキらしく甘えてな」

 

そう言って何度か頭を撫でてやると、ヒナの呼吸と脈が安定していき……いつの間にかスヤスヤと寝始めてしまった。

 

迷惑ではねぇとは言ったが……

こうなると煙草が吸えねぇ……

 

「……はぁ、仕方ねぇか」

 

そう独り言を零し、俺はヒナの髪を優しく撫で上げた。

 

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