公益財団法人日本迷宮公社   作:第616特別情報大隊

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ゲオルギオス作戦

……………………

 

 ──ゲオルギオス作戦

 

 

 作戦は太平洋保安公司側にも告知され、いよいよドラゴン駆除作戦──ゲオルギオス作戦が発動することに。

 

 俺たちは太平洋保安公司との最後の打ち合わせのために飛行場に向かう。

 

 俺たちの今回の装備は俺がプログラムを改良したジャベリン対戦車ミサイルを抱え、湊は爆薬とAT4携行対戦車ロケットを装備していた。

 

 しかし、ながらジャベリンもAT4も出番があるときには俺たちはかなり不味い状況にあると言えるだろう。

 

「連中、もう来てるぞ」

 

「ああ。そのようだな。連中にとってこの作戦は必要なのは間違いからな」

 

 飛行場には太平洋保安公司のロゴが入ったパワード・リフト機が止まっていた。同時にそこには太平洋保安公司側の作戦参加戦力を指揮する司令部要員がいた。

 

「公社のものだ。あんたらが太平洋保安公司側の参加者か?」

 

「そうだ。俺はジョージ・アリソン。そちらの求めで陽動を担当する」

 

 そう名乗るは白人の中年男で太平洋保安公司の装備を規定通りに身に着けていた。その男の周りには1個分隊規模の兵士たち。

 

「最終調整を行ったら作戦開始だ。時刻を合わせるぞ」

 

 もう作戦は決まっている。

 

 陽動は俺と湊が配置についたらすぐに実行。太平洋保安公司の軽武装部隊とドローンがドラゴンを現在地から引き剥がし、その隙に俺たちドラゴンの死体に爆薬を仕掛ける。

 

 それから陽動部隊が何とかしてドラゴンを振り切ったのち、ドラゴンが現在地点に戻り次第、ドラゴンを爆殺する。

 

 それが作戦の手順だ。

 

「以上だ。それぞれの健闘を祈る」

 

 この飛行場に公社と太平洋保安公司の合同司令部が設置され、この司令部から指揮が行われる。

 

「あんたが、一番危険な役割になったな」

 

 さっきの太平洋保安公司のコントラクターであるアリソンがそう話しかけてくる。

 

「そうか? お前たちだってドラゴンから逃げきるって仕事だぞ」

 

「ああ。楽な仕事じゃないが、ドラゴンから逃げるだけでいい。そっちはドラゴンを殺す必要がある。それもやつのお気に入りの巣に潜り込んで、だ」

 

「さっさとやればリスクは最小限だ」

 

 俺は最初は死にに行くつもりでこの作戦を引き受けた。だが、湊が参加することになった今では勝手に死ぬわけには行かない。

 

 だから、多少の危険は乗り切るつもりであった。

 

「じゃあ、作戦成功を祈る。お互いにベストを尽くして生き残ろう」

 

「ああ」

 

 アリソンはそう言って去り、俺と湊は作戦開始位置に向かう。

 

 流石にこの作戦を妨害しようという勢力はおらず、カルテルから攻撃を受けるような心配はせずともよかった。

 

 俺たちが作戦開始位置に選んだのは、例のドラゴンが見える丘であり、そこから陽動が確実にドラゴンを引き剥がすのを確認することにした。

 

本部(HQ)より各部隊へ。ゲオルギオス作戦発動、ゲオルギオス作戦発動』

 

 本部(HQ)からの知らせに俺と湊が顔を見合わせて頷いた。

 

 いよいよ作戦が開始された。

 

『デコイ・リードより各員。陽動を開始する』

 

 太平洋保安公司の大型ドローンが最初に飛来し、ドラゴンに向けて対戦車ミサイルを発射。ドラゴンはそれをデフレクターシールドで防ぐと、ドローンに向けて翼を広げて威嚇を始めた。

 

 さらに地上から軍用装甲車と偵察戦闘車(RFV)に乗ったアリソンたちが接近し、ドラゴンをかなりの遠距離から銃撃する。

 

「よし。連れたぞ」

 

 ドラゴンは陽動部隊に引っかかり、移動を開始した。

 

 俺たちは十分な距離をドラゴンが離れていくのを見届け、それから行動した。

 

「急げ、急げ。やつはすぐに戻ってくる」

 

「分かってるって」

 

 俺たちは駆け足で死んでいる赤い鱗のドラゴンの傍に向かう。

 

「爆薬をありったけ仕掛けろ。時間はないぞ」

 

 俺たちは大急ぎで爆薬を仕掛ける。だが、安全面にも配慮しなければならず、それだけ作業は遅れてしまう。

 

本部(HQ)よりハングドマン・ワン。ドラゴンがそちらに戻り始めた。爆破の準備はできているか?』

 

「まだだ。早すぎるぞ」

 

『急いでくれ。ドラゴンの現在地をODIN経由で共有しておく』

 

 クソ。いくら何でも早すぎる。まだ作業を開始したところだというのに。

 

「爆薬セット完了!」

 

「よし。下がるぞ。急げ!」

 

 俺たちは大慌てで爆薬を仕掛けたのちに可能な限り遠ざかろうとする。しかし、ドラゴンは既にその姿を俺たちの視界に表していた。

 

「来やがった」

 

「伏せてやり過ごせ」

 

 俺たちは草原の中に伏せ、ドラゴンが俺たちを無視してくれることを祈った。

 

 ドラゴンの羽ばたく音が聞こえてきて、俺たちの目の前を巨大なドラゴンが飛行していく。まるで戦略爆撃機みたいな迫力だ。

 

 そのドラゴンが頭上を通り過ぎていき、ドラゴンの死体のある場所に降り立った。羽ばたきによって生じた暴風が吹き荒れる中、俺はドラゴンが爆薬に気づかないことを必死に祈った。

 

「湊。起爆しろ」

 

「了解。起爆する」

 

 ドラゴンは気づく様子もなく降り立ち、俺はすぐさま湊にそう命じる。

 

 カチカチと2回起爆ボタンがスイッチされ、起爆信号がケーブルを伝って爆薬に伝われる。それから次の瞬間────。

 

 臓腑を揺さぶる大爆発が起き、ドラゴンが炎に包まれた。

 

「やったか……?」

 

 俺と湊は爆発が起きた場所をじっと見つめる。

 

 それから暫くして黒い噴煙がゆっくりと晴れていき……。

 

「畜生。死んでない。生きてやがる……!」

 

 ドラゴンはある程度ぼろぼろになっていたが、それでも生きていた。

 

「それも怒り狂っているぞ……。不味い……」

 

 ドラゴンは雄たけびを響かせ、辺りに炎を振りまいている。大暴れとしかいいようのない暴れ方で、自分をこうした敵を探していた。俺たちが見つかるのも時間の問題だ。

 

「どうする、佐世保」

 

「一か八かだ。このまま殺されるぐらいなら、派手にやってやる」

 

「それでこそだ。やってやろうぜ」

 

 俺は改良されたジャベリン対戦車ミサイルでドラゴンを照準。湊もAT4携行対戦車ロケットを構える。

 

「撃て!」

 

 ジャベリン対戦車ミサイルは改良された誘導プログラムに従って機動し、ドラゴンに命中。AT4も翼に命中してドラゴンから翼をもぎ取った。

 

「よし。デフレクターシールドは機能していない! やつは丸裸だ!」

 

「行けるぞ!」

 

 さっきの爆破はドラゴンのデフレクターシールドを無力化したらしく、俺たちが放ったジャベリンもAT4もどちらもデフレクターシールドに阻まれることなくドラゴンにダメージを与えた。

 

「しかし、殺しきれなかったな……! まだ攻撃が必要だ!」

 

「AT4はもう一発ある!」

 

 ジャベリンは弾切れだが、AT4は予備の一発が残っていた。

 

「俺がやる! その方が確実だ! 寄越してくれ!」

 

「あいよ!」

 

 湊からAT4を受け取り、俺は走る。

 

 これでとトドメを刺せなければ…………。

 

……………………

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