公益財団法人日本迷宮公社   作:第616特別情報大隊

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カルトの指導者

……………………

 

 ──カルトの指導者

 

 

 俺たちは地対空ミサイル(SAM)を守るカルトの兵士の背後に忍び寄った。

 

 俺は素早くカルトの兵士の口を塞ぎ、喉を掻き切る。カルトの兵士は崩れ落ち、それから俺は次の獲物をしとめる。そうやって警備に当たっていた兵士たちを瞬く間に片付けたのだった。

 

「クリア」

 

 地対空ミサイル(SAM)サイト周辺の敵はクリア。全て片付いた。

 

地対空ミサイル(SAM)を無力化する」

 

 湊がそう言って爆薬を地対空ミサイル(SAM)にセットし、そのまま爆破。地対空ミサイル(SAM)は吹き飛び、これで全ての確認されていた地対空ミサイル(SAM)が無力化された。

 

「じゃあ、次はホワイトを拘束するぞ」

 

「ああ。ちゃんと帰りのリムジンが来てくれるといいんだけどな」

 

 俺の指示に湊が少しばかり愚痴りながらも、ホワイトがいる教会に斥候(ポイントマン)として先頭に立って進む。

 

「教会付近に飛ばしたドローンが武装したカルトたちが、教会の方から地対空ミサイル(SAM)サイトの方を見ているのを確認した。連中、きっと警戒している」

 

「最悪だな。用心しながら進もう」

 

 湊がドローンで教会の周辺を把握しながら言うのに、俺はそう返す。

 

 とは言え、戦闘態勢で待ち伏せている敵を相手にしてはいくら警戒していたも、奇策の類がなければ正面突破となる。

 

 俺はドローンの映像を確認しながら、奇策について考えていた。

 

「湊。敵のドローンは?」

 

「今は飛んでいない」

 

「オーケー。なら、迂回して正面から警備の相手を避ける。人数的にも弾薬量的にもまともに撃ちあえば負けるのは俺たちだ」

 

 困ったときはとにかく迂回しろ。俺たち少人数の特殊作戦部隊の基本は火力ではなく、、機動力にある。敵の思いもよらぬ場所に進出し、奇襲によって状況をひっくり返せというわけだ。

 

 俺と湊は敵主力との交戦を避けて、迂回し、教会の裏手へと向かう。

 

 幸いだったのは先ほど破壊した地対空ミサイル(SAM)サイトの方に警備の目は向いており、教会周辺の守りはさほどでもなかったということ。

 

「地雷を仕掛けながらホワイトの下に向かおう。背後から敵に乱入されたら敵わん」

 

「了解だ」

 

 俺たちは撤退路を確保するために、地雷を設置した。ワイヤーで起爆する指向性対人地雷で、いわゆるクレイモア対人地雷の仲間だ。

 

 それを設置し終えると俺と湊は教会の中に一気に踏み込む。

 

 ドローンで敵の動きは掴んでいたし、港の生体電気センサーも稼働している。俺たちが奇襲されることはまずない。

 

 俺たちがゆっくりと進む中、湊が止まるようにハンドサインを示す。

 

『敵か?』

 

『イエス。カラシニコフで武装した集団で、数は5名。どうする?』

 

 ODIN経由で港から報告が入る。

 

『排除して進む。可能な限り静かに片付けるぞ』

 

『了解だ』

 

 俺はショットガンを、湊はアサルトライフルを構えて前進。

 

『敵はこの角の先だ』

 

『踏み込むぞ』

 

 湊と交代して先頭に立った俺は角から素早く身を乗り出して敵を狙う。

 

 湊の報告通り5名のカルトの兵士たちがいた。ただし、それらは16歳ほどの少年少女であった。

 

『カルトの近衛兵がいる。子供だ』

 

『クソ』

 

 俺は港にそう報告したのちに発砲を開始。音もなく放たれた散弾が子供兵を抉り、吹き飛ばし、惨殺した。敵は3名が死んでからこちらの動きに気づき、応戦を試みようと周囲を探る。

 

 そこでさらに散弾が叩き込まれ、頭部の爆ぜた子供兵が血の海に沈んだ。

 

『クリア』

 

『こっちでも確認した。クリアだ。しかし…………』

 

 俺と湊がそう報告し合い、湊は散弾で吹き飛ばされた子供兵を見る。

 

『本当に子供兵を使ってやがる。クズどもめ』

 

 その体には大きすぎるようなカラシニコフを抱えた子供兵の死体を見つめ、湊はそう吐き捨てるように言った。

 

『ああ。クソッタレだ。だからこそ排除する必要がある』

 

『そうだな。悪党を倒してハッピーエンドと行こう』

 

 俺も本気で子供兵を使うやつはクソ野郎だと思っている。こいつは最悪の戦争犯罪だと。だが、どこか諦めてしまっている心の部分もあった。

 

『他に敵は?』

 

『まだうようよいる。警戒していこう』

 

『了解だ』

 

 それから俺たちはホワイトを捜索しなが進み続ける。

 

 ホワイトに場所は情報部が調べていた。教会の3階にある私室だ。

 

 俺たちは可能な限り交戦を避け、そこを目指す。

 

『あったぞ。あの扉だ。歩哨付きだが』

 

 湊がそう俺に報告。その報告の通り、目標がいる部屋の扉に2名のカラシニコフで武装した子供兵がいた。

 

『3カウントで歩哨を排除し、それから一気に部屋に突入(ブリーチ)する』

 

『了解だ。苦しませないようにやろう』

 

 俺はそう指示してから45口径の自動拳銃を抜き、湊も俺の指示に頷く。

 

『3カウント』

 

 3、2、1────。

 

『ゴー』

 

 俺は大口径拳銃弾で子供兵の頭を弾き飛ばし、湊もアサルトライフルで子供兵の頭にダブルタップを決めた。子供兵を嫌う俺たちだが、プロとして動揺せず、脅威を無力化したのだ。

 

『このまま突っ込むぞ』

 

 歩哨が崩れ落ちる音は既に響いている。こうなれば悠長にはしてれない。俺は部屋のカギを銃弾で破壊すると僅かに開いた扉からスタングレネードを投擲。

 

 激しい炸裂音と閃光が瞬いたのちに俺と湊は素早く部屋の中に突入(ブリーチ)

 

「誰だ!?」

 

 部屋の中に半裸の男と全裸の女性数名がいた。女性の中には未成年も含まれている。

 

「クズめ」

 

 湊はその様子を見てそう吐き捨てた。

 

「イズラエル・ホワイトだな? 話がある。一緒に来てもらおう」

 

「誰が貴様らなどと一緒に行くものか。すぐに教団の恐れを知らぬ兵士たちが、貴様らをハチの巣にすることだろう……!」

 

 ホワイトはそう言い、まだ三半規管が衝撃から回復していないようでふらつく。

 

「黙れ。これは命令だ。提案じゃない」

 

 俺は結束バンドで後ろ手にホワイトを拘束し、引き起こすと引きずるようにして部屋から連れ出す。

 

「騒いだら殺す。いいな?」

 

「クソ」

 

 湊がそうホワイトに警告し、俺と湊は脱出を開始した。

 

「こちらハングドマン・ワンより本部(HQ)。目標を確保した。これから脱出する」

 

本部(HQ)よりハングドマン・ワン。目標は生きているな?』

 

「生きている。聞きたいことがあるなら教えてくれ」

 

 本部(HQ)からの交信に俺はそう尋ねる。

 

『目標に『イーサン・チャンについて知っているか』と尋問を。あとはこの項目に関して聞き取りを行ってほしい』

 

「イーサン・チャン……? 了解した」

 

 ODIN経由で情報が送られてきて、俺はホワイトを尋問する。

 

「イーサン・チャンを知っているか、ホワイト?」

 

「イーサン・チャンだと? し、知らん……!」

 

 俺と湊は情報軍で尋問の訓練を受けている。それによれば今のホワイトは何かを隠そうとしていた。つまり嘘をついている。

 

「イーサン・チャンを知っているな。なら、やつがどこにいるかも知っているな?」

 

「知らないと言っただろう! 私は何を知らない!」

 

 ホワイトが大声で叫ぶのに湊が周囲を警戒した。

 

「ヤバいぞ、佐世保。敵が動いた。こっちに向かっている」

 

「クソ。なら、尋問は終わりだ」

 

 俺はそう言って45口径の拳銃でホワイトの頭をぶち抜いた。脳みそが飛び散り、ホワイトは姿勢をぐらりと崩して倒れる。

 

本部(HQ)本部(HQ)。迎えのリムジンを寄越してくれ」

 

本部(HQ)、了解。脱出地点で待機せよ』

 

「了解」

 

 そして、俺と湊は脱出を始めた。

 

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