公益財団法人日本迷宮公社   作:第616特別情報大隊

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村での戦い

……………………

 

 ──村での戦い

 

 

 俺たちは敵の新型迷彩システムに警戒しながら、マオの村の警備を続けていた。

 

 事態が動いたのは、警備を開始してから14日後のこと。

 

 ついに戦闘が起きたのだ。

 

「佐世保。村の南西の方角から大井の装甲車が近づいている」

 

 ドローンで見張っていた湊がそう言い、俺もその映像を見る。

 

「装甲兵員輸送車が3台、か。友好的ではなさそうだな」

 

 列を作って進んで来ているのは装甲兵員輸送車3台。兵員12名程度が搭乗できるものであり、フルに乗せているとすれば36名の兵士が迫ってきている。

 

 俺たち公社側の戦力は12名。戦力差は3倍だ。

 

「ドローンで先に潰すか?」

 

「まだ攻撃してくると決まったわけじゃない。こちらから仕掛けて連中に大義名分を与えたくはない。連中が明白に攻撃を行う準備を始めるまでは待機だ」

 

「了解だ」

 

 湊は爆弾を積んだドローンも操っている。必要があればそれを装甲兵員輸送車に叩き込むことだってできた。

 

「装甲兵員輸送車はさらに接近中。停止する様子なし」

 

「このまま接近を許すのは不味いぞ。警告すべきでは?」

 

 湊の報告に俺は村瀬にそう警告した。

 

「分かった。連中に当たらないように爆弾を落としてくれ」

 

「了解だ。いくぜ」

 

 湊は慎重にドローンを操り、装甲兵員輸送車の進路上に爆弾を投下。

 

 投下された爆弾は装甲兵員輸送車の前方5メートルで炸裂した。

 

「どうだ? 敵は止まったか?」

 

「いいや。止まっていない。前進を続けている」

 

 3台の装甲兵員輸送車は一度速度を緩めたが、すぐに前進を始めたと湊は報告。

 

「もう村まで近い。攻撃の意志ありとみなすべきだ」

 

「やむ得えない。湊、やれ」

 

 俺が警告し、村瀬がそう指示する。

 

 それから自爆ドローンが複数装甲兵員輸送車に向けて突っ込む。何機かのドローンは装甲兵員輸送車に装備されたアクティブ(A)防護(P)システム(S)によって迎撃されたが、2機が装甲兵員輸送車に突っ込んで爆薬を炸裂させた。

 

 装甲兵員輸送車はぐらりと揺れ、道から外れるとそこで停車した。そして、停車した装甲兵員輸送車から兵士たちが降りてくる。それらの向かう先はやはりマオのいる村であった。

 

「総員配置に着け。戦闘開始だ」

 

 それを受けて村瀬はそう命じる。

 

 俺と湊も前進に向かい、そこで配置につく。

 

「湊。パーティの準備はできてるな?」

 

「ああ。例の幽霊兵士が問題だが……」

 

「それに関しちゃこっちでどうにかするさ」

 

 幽霊兵士。ドローンにも湊の生体電気センサーにも検知されない新型迷彩システムを有する大井の兵士たち。

 

「敵との接触は間もなく」

 

「待て。敵の姿が消えたぞ」

 

 湊のドローンに映っていた兵士たちの姿が一瞬で消えた。

 

「湊。生体電気センサーで検知できるか?」

 

「ダメだ。反応がない」

 

「クソ。本当に幽霊みたいな連中だな……!」

 

 突然視界から消えた兵士たち。こいつらを俺たちは相手にしなければならない。

 

「全員、スモークグレネードを使え! 炙り出すんだ!」

 

 村瀬が命令を叫び、公社のオペレーターたちが一斉にスモークグレネードを使う。

 

 煙りがあちこちに立ち込め、その中をゆらりと動く兵士の姿が捉えられた。

 

「いたぞ! 撃て!」

 

 俺たちはそれに対して一斉に発砲。銃弾が叩き込まれて幽霊兵士が倒れる。

 

 しかし、俺たちの銃弾が敵に届くと言うことは、敵の銃弾も俺たちに届くのだ。

 

「クソ。撃ってきたぞ」

 

「当たり前だろ。応戦しろ!」

 

 敵の発砲に公社のオペレーターが呻き、村瀬が命令を叫ぶ。

 

 敵の射撃に応射するが敵が僅かな煙幕の揺れからしか動きが分からないのに対して、こっちは敵からばっちり姿が見えている。撃ち合いをしてどちらが有利なのかは言うまでもないだろう。

 

「クレイモアを使おう」

 

 ここで湊がそう提案。

 

「ああ。やってくれ」

 

 篠原に言われて俺たちが準備していたのは、クレイモア対人地雷──正確にはそれとよく似た兵器だ。

 

 俺たちは後方から有線信号でそれを起爆できるようにしており、敵のおおよその位置を把握して一斉に起爆させた。

 

 クレイモアの爆発は迫り来ていた大井の兵隊を薙ぎ払った。だが、敵を全滅させたわけじゃない。敵は今も前進中だったし、俺たちは新手に脅威にさらされた。

 

「敵のドローンだ。爆装している!」

 

 湊がそう警告を発する中、飛来したドローンが俺たちに向けて爆弾を投下。

 今度は公社のオペレーターたちが薙ぎ払われ、俺と湊も地面に押し付けられた。

 

「クソッタめ。やってくれやがる!」

 

 村瀬がそう言葉に怒りをにじませて叫んだ。

 

 公社のオペレーターは4名が死傷している。

 

「さらに敵の新手だ。今度はパワード・リフト機で接近している!」

 

 つぎに投入されてきたのは敵の空中機動部隊だった。敵の空中機動部隊は2機のパワード・リフト機でこちらに迫っていた。

 

「MANPADSはあるか?」

 

「ああ。こいつだ。やっちまえ!」

 

 俺は公社にオペレーターのひとりからMANPADSを受けるとそのミサイルを使ってパワード・リフト機を攻撃した。

 

 ミサイルにはパワード・リフト機を追い回し、パワード・リフト機はチャフとフレアをばらまきながら空中を逃げ惑う。

 

「クソ。撃墜とはいかないな……」

 

 パワード・リフト機は何とかMANPADSから放たれたミサイルを振り切り、再び俺たちの方に向かい始めていた。

 

「MANPADSはまだまだあるぜ」

 

「それならドローンから潰そう」

 

 公社のオペレーターがオペレーターが新しいMANPADSを持ち出し、俺はそれで上空を飛行している敵のドローンを狙った。

 

 ドローンに向けてミサイルが飛翔し、今度は命中。これを撃墜した。

 

「よしっ! 次はパワード・リフト機の連中だ!」

 

 俺hあ

 

 3発目のMANPADSを手に取り、パワード・リフト機を照準。ミサイルを放った。

 

 パワード・リフト機はまた回避を試みるが、今度は運がなかった。ミサイルは命中し、エンジンを損傷した機体は墜落していく。

 

「やったぞ。あと1機だ」

 

「残念な知らせだ。MANPADSはもう品切れだ」

 

「畜生」

 

 ここでMANPADSが尽きた。これ以上、ミサイルでパワード・リフト機は狙えない。

 

「敵の降下に備えろ! すぐに降りてくるはずだぞ!」

 

「了解!」

 

 村瀬が命令を叫び、俺たちはパワード・リフト機からの攻撃に備える。

 

 パワード・リフト機は素早く村の上空に達すると部隊を降下させた。

 

「敵は12名ってところだな。正面の連中とで挟み撃ちにするつもりだ」

 

「ここにいたらまずいぞ」

 

 俺たちがいるのは村の外縁でそこにはあまり遮蔽物もなく、俺たちは射的の的も同然であった。

 

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