公益財団法人日本迷宮公社   作:第616特別情報大隊

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これからもダンジョンは……

……………………

 

 ──これからもダンジョンは……

 

 

「あの倉庫に移動しよう。急げ!」

 

 村瀬が叫び、俺たちは倉庫に急ぐ。倉庫は木造の頼りないものだったが、遮蔽物が全くないよりマシである。

 

 俺たちは煙幕を展開して走り、倉庫に向けて滑り込む。

 

「こんなことなら塹壕でも掘っておくんだったぜ」

 

「そうだな。こいつは酷い状態だ」

 

 湊が愚痴り、俺もそれに同意する。

 

「愚痴ってるな、ふたるなとも。仕事をしろ。連中が来るぞ」

 

 大井の空中機動部隊が歩兵を降下させ、俺たちの方に地上部隊とともに迫っている。お立ちはまさに挟み撃ちであり、絶体絶命だ。

 

「やむをえん」

 

 俺は決意した。

 

「俺が連中を止めてくる」

 

「何を言っている、佐世保! お前ひとりでどうやって……」

 

「俺にはドラゴンから受けた汚染の効果がある。それが機能せずに死んだら死んだときだ。構わず俺の仇を取ってくれ。じゃあな」

 

「佐世保!」

 

 俺はサプレッサーのついたショットガンを持って外に飛び出し、迫りくる大井の連中に対峙した。連中は俺がひとりで飛び出してきはのは何かの罠かと一瞬警戒したようだが、すぐに俺に向けて引き金を引いた。

 

 銃弾数発が俺に命中する。だが、効果はない。

 

「くたばりな!」

 

 俺は散弾を相手に叩き込む。散弾は大井の連中を抉り、破砕して仕留める。

 

「ははっ! かかってこい!」

 

 俺は大井の連中に肉薄しては散弾を浴びせた。次々に攻撃し、攻撃し、攻撃する。

 

 敵は明らかに動揺していた。俺が何発もの銃弾を受けても怯みすらしないからだろう。今の俺は連中には化け物のように見えたに違いない。

 

 そのとき後方からも熱光学迷彩を使った連中が迫ってくる。俺はそちらに向けて手榴弾を投擲。手榴弾が炸裂してすぐに俺は連中に迫る。機械化された四肢をフルに稼働させて敵の至近距離から散弾をドカン、だ。

 

『佐世保! 上空に新手のドローンだ! 爆装している!』

 

 湊からODIN経由でそう警告が来たとき上空から爆弾が俺に向けて落ちてくる音がした。風切り音がして落下してきた爆弾は俺に直撃した。

 

 流石の俺もこれは死んだと思ったが、俺は生きていた。だが、ショットガンは壊れてしまい、他の装備もぼろぼろだ。

 

 俺は死んでいた大井の兵士からアサルトライフルを奪い、それで戦闘を継続した。銃弾をとにかく敵に叩き込んだ。

 

「おおおおっ!」

 

 叫び、引き金を引き、銃弾を叩き込み続ける。

 

『敵が撤退していくぞ』

 

 村瀬がODINで全員にそう言うのが聞こえた。

 

 そう、大井の連中は撤退を始めたのだ。熱光学迷彩を使っていた連中も、空中機動した連中も全員がマオの村から撤退していく。

 

「勝ったか……」

 

 撤退していく敵を見て、俺はそう呟く。

 

 マオの村の戦いはとりあえずは終わったのだ。

 

 

 * * * *

 

 

 しかしながら、大井の連中を完全に防ぐには政治が必要だった。

 

 それはそうだろう。大井の連中は一度の敗北で立ち上がれなくなるほど脆弱な連中ではない。相手は国家ですら揺るがすメガコーポなのだ。一度敗北しただけで連中が完全に第6階層から手を引くということはなかった。

 

 公社はそこで大井と交渉した。

 

 政治的な妥協がいくつか行われ末に大井はマオたちの村を襲わないことで同意したと言う。

 

 こうして俺たちのだ第6階層での戦いは終わった。

 

「ここはいいよな」

 

 湊がいう。

 

「気温は適度だし、危険なクリーチャーも犯罪者もいない」

 

 俺たちはまだ第6階層にいて、任務に就いていた。

 

「まあ、そうだな。しかし、それもいつまでのことか分からないぞ」

 

「第7階層、だな」

 

 公社は第6階層が見つかったことで第6階層の次に第7階層が現れることを懸念していた。だから、俺たちはこうして第6階層に今もいるのだ。

 

「なあ、佐世保。もし、これから第7階層、第8階層とダンジョンが増えていったらどうなるんだろうな?」

 

「分からん。篠原が喜ぶと言うことぐらいしか」

 

「ははは。そうだな」

 

 篠原は今もダンジョンが巨大な動物園であるという仮説を捨てていない。

 

「いずれにせよ、付き合い続けるしかない。それしか他に方法はないんだ」

 

 俺たちにダンジョンを拒むことはできない。ダンジョンはそこにあり続ける。

 

 第7階層が現れようと現れまいと……。

 

……………………

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