英雄のいない世界で   作:タク-F

1 / 19
もしかして(実質)修が女性の作品って少ない?
僕はオリ主に全てを背負ってもらいます


この世界に【彼】はいない

「来るんじゃ……なかった! 馬鹿な事……しなきゃよかった!」

 

 私は今……近界民(ネイバー)から逃げ回っている。境遇に甘んじたくなくて出来る努力は頑張った。体力も付けた。でも実際の恐怖の前には意味をなさない。それでも頑張りたかった。だってソレが三雲 修()だから

 

「やぁ嬢ちゃん……無事かい?」

 

「貴方は……」

 

「おれは実力派エリートの【迅 悠一】。よろしくな嬢ちゃん」

 

 迅と名乗った青年は私を襲った近界民(ネイバー)を一太刀に撃破した。

 

「……すごい。コレが……」

 

 私の運命は此処から始まった。

 

 

 

 

 

 

 

「あれから4年……過ぎてみればあっという間だった」

 

 私が転生者だと(この世界を)認知したのは4年前だった。平和な日常が、親しかった友人がいて幸せだった。だけどそれは【近界民】の襲撃で崩壊した。

 

「亜樹ちゃん? どうしたの?」

 

「ごめんね千佳。この街の復興を見ると思う事があってね……」

 

 私……三雲 亜樹(みくも あき)は1人の変哲もない少女()()()()だ。しかしこの世界に三雲 修()が存在しない。ソレを千佳に教えられて私は自覚した。荒唐無稽な話だけど恐らく()()()()()()()()()()()()()()()だと。

 

「麟児さん……どうして……」

 

 私に勉学を教えてくれた恩人……でありBORDERにとっての最悪の敵対者。正直に言えば私は彼にもう1度会わなければならない。会ってその横っ面をぶん殴る。千佳を泣かせた罪と、BORDER関係者の人間関係に盛大な亀裂を及ぼしたあの人を私は許せない。

 

「ねぇ千佳? 私はBORDERに入る。その理由に千佳が含まれる事は否定しないけど、それだけで命を賭けるつもりはない。私が成すべき目標があるから千佳が罪悪感を感じないで」

 

「亜樹ちゃん……それって……」

 

「理由を知りたい。私が感じた想いを……」

 

 私が千佳を止められない事と同様に、千佳が私を止める事は出来ない。幸か不幸か私達は麟児さんが姿を消した事を理解した時にひたすら喧嘩して本音をさらけ出した。結果として友情を強固にした。だからこそ千佳に黙って入隊は気が引けた。

 

「でも亜樹ちゃん……BORDERの任務って危険……だよね?」

 

「まぁテレビに出てる嵐山隊をイメージするならね。でも聞いた説明では訓練で成果を出さないと【近界民】と戦わせて貰えないの。まっ……私に才能がなかったらソッコーでクビだね!」

 

「どうして……かな? 亜樹ちゃんには頑張って欲しいのにクビになって欲しい不思議な気持ちだよ」

 

 ゴメンね千佳。私だって本当は怖い。それでも私が奪った英雄の軌跡は壊したくない。死にかける事はしょっちゅうで取り返しのつかないミスをするかもしれない。それが何よりも不安だ。

 

「お母さんにも念入りに聞かれたよ。

 

【本当に戦うつもりなの?】

 

 って。でも私は頑張ってやれる限りの努力はするつもり。せっかくだから千佳……私と走らない? どんな訓練をするにしても最低限の体力はつけたいの」

 

「う〜ん……亜樹ちゃんは兄さんが家庭教師になった経緯を忘れたの? 点数が下がったのを香澄さんが知って兄さんに話が来たじゃん」

 

「それを言われると……うぅ……」

 

 私は入隊の為にひたすら体力作りに取り組んだ。ちょっと熱が入って成績が一時酷く落ちて麟児さんに効率的な勉強法を教わった。結果短い時間で点数が持ち直し、安定した後もしばらく経過観察と言わんばかりに監視された。

 

「それに私よりも飲み込みが良いって兄さん言ってたし……」

 

「ん? もしかして妬いてるの? 大丈夫大丈夫! そもそも麟児さんは私のタイプじゃないから」

 

 パァン! 

 

「ごめん。流石に軽口が過ぎた」

 

 乾いたビンタが私の頬に紅葉を作った。どうやらこの世界の千佳は少しブラコンになっていたみたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『戦闘終了 記録2:32』

 

 私は結局使用トリガーに【レイガスト】を選んだ。入隊試験で落とされた以上私のトリオンは恐らく原作の修君相当(トリオン2以下)で、その前提を踏まえたスコアが……

 

「バムスター相手に2分半……かぁ。う〜ん……つくづく才能の無さを痛感する」

 

 BORDERに入隊した私は仮想プログラム相手にこのザマで呆れる限り。一応原作の修君よりは良いタイムだけど、コレは原作を識っている事や私が体力作りをした成果とも言えるけど、その成果がこのザマで想像以上に才能が無い。辛い。

 

「心が折れそうだなぁ……」

 

 原作の知識曰く修君はバムスター相手には時間切れで、体力も皆無。なのに周囲に魅力を持たせたのは自身の客観と視取れる手段は全力で実行した意思だ。【私】がどこまで到れるかは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「貴方のその背中を今は追わせて貰う。でももしワガママを赦して貰えるなら……」

 

 その先の言葉はどうしても続かなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「聞いた三雲さん? 来週この学校に転校生が来るらしいよ?」

 

「間に合わなかったか……」

 

 私の絶望が確定した。目標をB級昇格条件(保有ポイント4000)を遊真君の編入前までに間に合わせられなかった。【期限を区切る】【失敗を失敗と受け入れる】事を目標に訓練と運動のトレーニングに割いた影響とか、レイガスト自体がポイントを稼ぎ難いトリガーとか思い当たる事はたくさんあった。それでも根本的な要因があるとすれば……

 

「自分自身に()()()()()()()()()()って事だよね……」

 

【修君には及ばない】という意識が、

【備えて鍛えた】という縋ってはいけなかったモノへの甘えが、

【改変してはならない】という無意識のブレーキが……

 

「私への評価は改めないと……いや、変える!」

 

 評価が終わったなら次の行動は決まった。私の目標を再設定し、1つ1つを積み上げる。余裕を捨てる、自分を追い込む、周囲への心配をかけない。

 

「全て抱えて連れて行く。もう甘えない!」

 

「三雲どうした? 話題の転校生を知ってるのか?」

 

「え……あぁ……ごめんなさい。私が自分に課した目標が失敗してた事を理解したの。わざわざ人に聞かせる話じゃないのにごめんね?」

 

「にしても学級委員ってそんなに難しいの? 忙しいなら学級委員の仕事変わるのに……」

 

「ううん。私が決めたの。それに私は……」

 

 私は訓練生という身分を明かした上で行動する勇気はなかった。1人で抱える事しか出来ない自分が恨めしい。

 

「いや、頼って良い? 少し打ち込みたい事があって今日から変わらないと遅いって分かったから」

 

「っ! 任せて!」

 

 私は友人に恵まれた。ならその恩は結果で返す。そうしないとね

 

 

 

 

 

『ランク戦終了! 勝者三雲!』

 

「ありがとうございます。おかげで私の課題にまた1つ向き合えました!」

 

「いえいえこちらこそ。それにしても昨日までと動きが違いますね。何か教わったんですか?」

 

「いえ、自分の心構えを変えないといけなかっただけです。もし以前までと異なるのであれば……それは私が環境に甘えていたのでしょう」

 

「自分に厳しいのですね」

 

 何度かランク戦をこなした結果私のポイントは目に見えて増えた。そしてそれは私が今まで甘えていたのだと痛感するには充分だった。

 

【レイガスト 3715】

 

「あと少し……せめて来週には上がる!」

 

 空閑遊真君の転校までに例え間に合わ無くても私は自力でB級に上がる。努力をやめる理由も、やりたい事に対する準備も、英雄が成した功績だってやってやる! 覚悟は決めた。後は行動するだけなんだから! 

 

 

 




一応亜樹も努力を継続すれば程なくして昇格出来る可能性は高かったですが原作には間に合いませんでした。

よろしければ感想・評価お願いします

本作に恋愛要素って期待してますか?

  • 必要
  • 不要
  • 亜樹に関しては必要
  • 亜樹が遊真のヒロインでは?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。