英雄のいない世界で   作:タク-F

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2週間お待たせして申し訳ありませんでした!仕事・遅れた夏の挨拶・ウマ娘4.5周年アニバーサリー等に忙殺されました(最後は私情ですね……すみません)

KuMaKuMaKuma様 PIKoPIKoPINO様 高評価ありがとうございます!これからも楽しみにされてる皆様の期待に応えられる作品でありたいと思います!

さて本編では……空閑君の様子が……


天才と人望

 緑川君に個人ランク戦を挑まれた私は現在注目の的となっており、その一挙一動が見られている。

 

「このランク戦の思惑は分かってるから下手な芝居は要らないよ。それでも受けた理由が私にはある。それ以上は不毛になるから言わないけど」

 

「ふ〜ん……あっそ……」

 

 不機嫌になる緑川君が観客を集めていく。よほど私の名声や人望を潰すつもりだろう。ある意味では私自身もソレを望んでいるとはとてもではないが言い難い。

 

「先にルームに入るよ。私に逃げる意思は無いからね。部屋は……」

 

「別に逃げるとは思って無いよ。ただ……いや、何でも無い」

 

 部屋番号を確認すると私は先に待機する。すると程なくして機械音が響いた。

 

『部屋番号 285よりランク戦の申請が来ています。受諾しますか?』

 

【YES】

 

『じゃあおねーさん何本勝負にする?』

 

「オーソドックスに10本勝負で良いよ? そっちも慣れてるでしょ?」

 

『じゃあお言葉に甘えて』

 

 設定を終えた事で私達にアナウンスが入る。

 

『転送開始します』

 

 私達のランク戦が始まった。

 

「それじゃあ始めようよおねーさん!」

 

 スコーピオンを構えた緑川君の鋭い動きが眼でも追えない。反応すらままならない内に私は身体を斬られていた。

 

『戦闘体活動限界 緊急脱出。スコア0-1』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「手応えないなぁおねーさん……噂程の凄さを全く感じないよ? 風間さんと引き分けた噂で期待したのにざ〜んねん!」

 

「やっぱりそういう思惑だよね! そうでもないと私に絡まないよね草壁隊の緑川君! 

 

「あっ……知ってたんだ。でも関係ないよ……ね!」

 

『戦闘体活動限界 緊急脱出。スコア0-8』

 

 コレで9敗……まるで勝機が見えない。でもそんな事で……

 

「そもそも勝ち越した時点で終わってる勝負なんだからさぁ……諦めてよ!」

 

 供給器官を貫かれる。泣いても笑っても次で終わり。でももう……

 

『戦闘体活動限界 緊急脱出。スコア0-9』

 

『最終戦 開始!』

 

「最後に1つだけ誤解を解いて良いかな緑川君?」

 

「誤解? 風間さんとの噂の事? 何? 土下座謝罪でもするの?」

 

「いや、そっちじゃないよ。君が思惑を走らせたのと同じで私も君を利用した事だね。だって私は……小心者だから!」

 

「……は?」

 

 緑川君の雰囲気が変わった。想像もしなかった言葉に怒りがこみ上げたのだろう。

 

「チューニングアステロイド!」

 

 弾速重視のヒョロ弾を放つけど当然当たらない。何ならシールドの展開するもしてもらえない。

 

「……びっくりしたよ。いくら勝てないからって負け惜しみのボラ吹くなんて思わなかったよ!」

 

「ところが本音なんだよね! スラスター!」

 

 私は推進力で後方へ逃げる。簡単に仕留め損なっている事を含め緑川君が怒りを抱いていると見えてきた。

 

「ちょこまかと……早く死んでよ!」

 

「嫌だよ!」

 

 さっきまでとの動きの違いに困惑している。供給器官への攻撃は徹底してレイガストで防ぐ。攻撃はアステロイドのみ。ジリ貧で私不利だけど今の彼がその勝ち方を受け入れられる心理状態じゃないのが見えてきた。

 

「逃げるのはうまくなったよね! 妙に賢しいよ!」

 

「ごめんねこんな戦い方しか出来なくて!」

 

 逃げまどってひたすらに遅延する私を仕留めるべく緑川君が一度体勢を直した。

 

「決めたよおねーさん……殺してやるよ!」

 

「えっ……これってまさか!?」

 

 私の周回に展開されたトリガー【グラスホッパー】……この構えは確か……

 

乱反射(ピンボール)だよね! アステロイド!」

 

 私はひたすらに16分割したキューブを放つ。この射撃は倒す為じゃない。

 

「っ! グラスホッパーを狙えるの!?」

 

「狙ってはないよ! 当たるだけ!」

 

 私の周りに展開されたなら()()()()()()()()()()()。そして私の仮説が正しいなら……

 

「スラスター!」

 

「誘われた!? それでも遅いよ!」

 

 開けた場所を狙われる。だからスラスターを握ってそこに振り抜く! 

 

『トリオン供給器官破損 緊急脱出。スコア0-10 勝者緑川』

 

 私の刃が届くより早く私は貫かれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「口程にも無かったねおねーさん……期待外れだったよ」

 

「待てよお前……つまらない事したまま帰るつもりか?」

 

 不満気に立ち去ろうとする緑川君だけど呼び止める人物がいた。

 

「誰……? 俺別に悪い事はしてないでしょ? 言いがかりはやめてくれない?」

 

「空閑君!? もうこっちに来てたの!?」

 

「お疲れアキ……手酷くやられたな」

 

「なんだ……おねーさんの知り合い? 俺帰るとこなんだけど?」

 

「なぁお前……俺とも戦えよ。色々言いたい事はあるけどそっちの方が早いだろ?」

 

「…………俺に何のメリットがあるの?」

 

「俺のポイントをくれてやるよ1782点全部」

 

「……………………はぁ。別にお前からは取らないけどおねーさんからそのポイントを貰えるなら良いよ。普通にやってたら稼げないけど自分の意思で賭けるなら……」

 

「まっ……俺は負けないけどな」

 

 空閑君が緑川君と模擬戦を行う話が広まり場に緊張が走る。

 

「あの白チビが心配か?」

 

「心配……と言えばそうですね。ただ……」

 

「お? なんだなんだ? 含みのある言い方だな。ていうかお前の名前は三雲……で良いよな?」

 

「合ってますよ三輪隊攻撃手の米屋先輩。肝心の心配は空閑君の性格です。もし空閑君と緑川君の実力差次第では……」

 

「流石にその心配はねーだろ。ウチの隊長とのやり取りでもな」

 

「……???」

 

「見てりゃわかるさ」

 

 その言葉の真意はわからない。もし空閑君の心情が原作と違っていれば……その不安が拭えない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『戦闘体活動限界 緊急脱出 スコア1-2!』

 

 10本勝負で2本を先取した緑川君への反撃が始まった。相討ちからの撃破でスコアが空閑君へ傾き出しあっという間にスコアが塗り変わる。

 

『戦闘体活動限界 緊急脱出 スコア6-2 リード空閑』

 

「勝負としては決着……しましたね」

 

「ハメられたな緑川」

 

 6本先取した以上逆転の可能性は消えた。()()()()()2()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「決着……しましたね」

 

「みてーだな。ちょっと緑川が可愛そうだが手遅れだ」

 

「やはり最初の2本は演技……ですよね。6本連取の様子からとても2連敗するとは思えないのですが……」

 

「まぁそーだろーなぁ。にしても三雲お前……わかったのか?」

 

「負け方に違和感がありました。()()()()()()()()()()()と見えましたので……」

 

「お前が風間さんに引き分けた時みたいに……か?」

 

「ご存知なんですね。その事実は否定しませんが抜けて欲しくない前提もありますよ……」

 

()()()()()2()()()()()()()()。ただし18連敗の後で。とてもじゃないがそれで胸を張れる程私の精神は図太く無い。

 

「まぁ今はアレを……お? 緑川が取り返した?」

 

「いや……まさかね……」

 

 言いようの無い不安が強くなる。やめて空閑君……それだけは! 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『10本勝負終了! 勝者空閑 6-4!』

 

 不味い……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()! 早く止めないと! 

 

「空閑君!」

 

「見てたろアキ? 仇は取ったぞ?」

 

「違うそうじゃない! ()()()()()()()()()()!」

 

 …………激情に任せて口に出してしまった。それでも叫ばずにはいられ無かった。

 

「戦略だよせ「隠さないで! いくら私の名誉を守る為でもやり過ぎだよ! 私が勝負を受けてボロ負けしたのは自業自得なんだからって他人の名誉を傷つけないでよ! 」アキ……」

 

 私の言葉が想定外だったようで空閑君は驚いていた。私は空閑君の前をすり抜けて緑川君の前に立った。

 

「チームメイトが過剰に緑川君の評判を下げてごめんね。彼の悪意は私の過失でもあるから謝罪させて欲しい」

 

「…………へ?」

 

「最初の2本は戦略として緑川君に取らせて残りで逆襲……それだけなら良かったけど勝敗が確定した後の2本はあまりにも露骨だった。私はアレを許容出来ない。だから謝罪したいの」

 

「あ…………いや……その……」

 

 緑川君が私から顔を背けてしまった。どうしよう……どうすれば彼に許して貰えるのだろう……? 

 

「受け取れよ緑川。元はと言えばお前がギャラリー集めてメガネちゃんをボコしたかったんだろ? 目的を果たした後で訓練生にボコられた。お前の態度が悪かったから同じ支部の隊員が頭を下げた。ただそれだけの事だろ?」

 

「よねやん先輩……」

 

「それともアレか? 年上のねーちゃんに謝られて驚いたか? ま〜草壁にはそんなイメージが無かったか?」

 

「ち……違うよ! この人があまりにも怒らない上に謝罪して来たから訳わかんないだけだよ!」

 

「怒る理由が無いからね。さっきも言ったけど正々堂々とランク戦をして私が負けた。ならそれ以上の理由を相手に求めるべきじゃないと思っているだけ。だから私は気にして無いし、そもそも私と風間先輩の模擬戦って結局は

 

【0勝18敗2引き分け】

 

 で威張れる成績でも無いの。寧ろ結果から飛躍した評判が出てて困っていたの。自分から喧伝する内容じゃないから誤解が広まってた。今回緑川君が正々堂々と戦ってくれたのはとてもありがたいと思ってた。だから……コレで手打ちにしてくれ無い?」

 

「どうするよ緑川? ここまで言われたら引けねーよな?」

 

「三雲先輩……評判を貶めるような行動申し訳ありませんでした」

 

「もう良いよ。こちらこそ気を使ってくれてありがとうね?」

 

 緑川君が頭を下げて私が受け入れた。次は……

 

「分かってるよね空閑君? 私……怒ってるからね?」

 

「アキ……悪かった「謝る相手が違う! 言わないなら帰って来ないで。本気だよ?」……あぁ。緑川……済まなかった。お前を貶めたうえで手抜きまでした。詫びとして何か出来ないか?」

 

「白チビ……いや、遊真先輩……こちらこそ他支部の隊員への無礼申し訳ありませんでした」

 

 ちゃんと謝れた。なら切り替えないとね

 

「はい! ならここでお互い手打ち! 良いよね?」

 

「「もちろん!」」

 

 2人の息が重なった。やっぱり相性が良いんだ……

 

「ねぇ遊真先輩? いつB級に上がるの? 今度こそちゃんと戦って欲しいんだけど?」

 

「ごめんね緑川君……新人が急激にランク戦でポイントを稼ぎ過ぎると余計なトラブルを招き兼ねないからね。1日辺りの獲得ポイントを制限してるの。でもこの調子なら来月には上がれる筈。そして私達は事前に予定したメンバーで部隊を結成する。その時は……」

 

「部隊ランク戦で戦えるかもしれない……って事!? 何それ超凄いじゃん!」

 

「その時はお手柔らかにな緑川」

 

 良かった……でもこの事態を乗り越えた以上始まるのは……

 

「始まるんだよね……大規模侵攻……」

 

 変えたくて、変えたく無い未来が私達に目前に迫っている……

 

 

 

 




今回空閑君の態度が原作よりも悪かった理由が(僕の中では)一応存在しています。もしご不快な思いをされた方には申し訳ありませんでした。

執筆モチベーションに繋がりますのでお気に入り登録・評価・感想お待ちしています!

活動報告にて進捗報告を試みていますのでぜひご活用ください
 ↓
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=329633&uid=327174

本作に恋愛要素って期待してますか?

  • 必要
  • 不要
  • 亜樹に関しては必要
  • 亜樹が遊真のヒロインでは?
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