英雄のいない世界で   作:タク-F

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今回は執筆が進んだので投稿です!

亜樹にとっての因縁の相手……奴が来ます!


因縁の戦い

「ッ! 何故駄目何ですか!」

 

 襲われるであろう千佳の救出を試みる私達に衝撃的な通告がされた。

 

『繰り返すが空閑隊員の同行は認めない。その黒トリガーは本部未承認だ。その状態で他の隊員が彼を見ればどうなるかわからない君達では無いだろう?』

 

「…………ッ!」

 

 解っていた。この展開になる事は。覚悟していた。それでもこの通告が私にとっては強烈に刺さる。そしてそれを察してか空閑君が私の背を叩く。

 

「安心しろよアキ。お前が危ないならおれは必ず助けに行く。今はラービットの掃討が優先だがアキにも心強い助っ人がいる。そうだろうキトラ?」

 

「………………何故私が当然のように彼女達の助っ人扱いされているかは言いたい事があるけど、緊急事態だから不問にするわ。でもわかっているでしょう? 私の力を以てすれば三雲さんの力すら不要だから安心なさい」

 

「…………へぇ。今度は面白い嘘をつくね。でも今はその言葉に甘えるよ」

 

 2人の表情と言動が一致していないが険悪な雰囲気は感じない。そしてそれは他の人達にも伝わっているみたいだ。

 

「じゃあ俺達は行くぞ! 遅れるなよ空閑君!」

 

「任せなよアラシヤマさん!」

 

「茶野隊……合流場所では東隊が指揮するから」

 

「「わかりました時枝先輩!」」

 

 こうして私達はそれぞれが定めた目的地の為に散開した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まったく……貴女らしく無いわね。貴女なら気付いていた筈よ?」

 

「何の話ですか?」

 

「空閑君の事よ。まぁその表情……覚悟はあったようにも見えるけど」

 

 木虎さんが私に話しかけてきた話題は驚いたが、どうにも気遣われてるように思えた。

 

「木虎さんにとって空閑君はどう見えていますか?」

 

「生意気ね。腕に覚えがあるのは理解しているけど鼻につくわ。そういう貴女は彼に依存して見えるわよ?」

 

「依存……ですか。確かにそうかもしれませんね。私にとって彼は私を救ってくれた恩人(ヒーロー)であり友人とは思っています」

 

 その言葉に嘘は無い。少なくとも私が空閑君をそう見てる側面は紛れも無い事実だ。それは私の態度や行動でも明白だ。

 

恩人(ヒーロー)……ね。それは貴女を助けたから……かしら?」

 

 だからこそ私は宣言しなければならない。

 

「かもしれません。でも私には()()1()()()()()があります。私は……いえ、これから助けに行く幼馴染と3人で私達は必ず部隊(チーム)を作ります。そして私達の目的を果たします! その為に私は強くなります!」

 

()()……ね。………………いえ、そろそろ目的地に着くわ。続きは縁があったら聞いてあげるわ」

 

 木虎さんが話題を強引に切り上げた。その意味を詮索するのは野暮かもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「見えたわ! 戦闘準備!」

 

「はい!」

 

 千佳達はまだ見えない……でも既に出現している近界民(ネイバー)は撃破だ! 

 

「見えてるモールモッドは私が狩るわ。貴女はバムスターを!」

 

「はい!」

 

 木虎さんは察知したモールモッドの攻撃を少ない動きで回避してアームにスパイダーを撃ち込み巻き取り機能を用いて加速する。そのまま懐コアを切り裂いた。鮮やかな戦闘だ。

 

「……コッチも!」

 

 幸いバムスターは硬いけど攻撃能力は高く無い。私も懐に入ってコアをレイガストで斬る。烏丸先輩との特訓のおかげでブレードトリガーの扱いが上達してきた気はする。

 

「よし!」

 

 苦戦なく倒せた。千佳は……

 

「亜樹ちゃん!」

 

「千佳!」

 

 千佳をはじめとしたC級隊員と合流に成功。つまり次の出来事は……

 

「呆けない! 増援よ!」

 

「ひいぃ! 通信で聞いた新型!?」

 

 木虎さんの警告から状況の悪化だ。確か新型(ラービット)と現れるのは……

 

「ッ! モールモッド……それも2体!?」

 

 ヤバい……この状況に備えて単体なら処理はできる訓練はしてきたけど……2体……それも防衛戦なんて……

 

「木虎さん……新型を倒してください。私があのモールモッドたちを処理します」

 

「貴女正気!? 訓練生上がりだと無謀な相手よ!?」

 

「訓練生から見た増援こそが私達です! 木虎さんしか新型に対抗できない以上私が引き受けます! コレ以上の良策はありません!」

 

「……私が復帰するまでに落ちないでよね。C級の先導は手間なのだから……」

 

「役不足ですが背中は預かります。できれば助けて欲しいですけど……」

 

「なんて弱気……でもそうね。()()()()()()()いけないものね」

 

 お互いに選べる最善はコレだけだ。今行われているのが戦争な以上私達は全力で生き残る! 

 

「行くぞモールモッド!」

 

「ひぃ!? 攻撃型近界民(ネイバー)!?」

 

「ッ! 避難誘導にあたっていた訓練生!?」

 

 クソっ! ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()! 確かC級は400人……その内の数人がこの辺りを受け持ってもあり得るじゃないか! 

 

「訓練生! 私がその2体を処理する! だから全力で逃げろ!」

 

「正隊員の増援!? お願いします!」

 

 どこか見覚えのある訓練生達を下がらせて私はモールモッドと交戦しなければならない。

 

「トリオンに余裕は無いから乱発はできない。だから!」

 

 私はモールモッドへの先制攻撃に通常弾(アステロイド)を放つ。ダメージは期待しない。奴らの注意を私に向けるのが重要だ。

 

「レイガスト!」

 

 私に注意を向けた2体がコッチに切りかかる。落ち着け……奴らの装甲は確かに硬い……でも! 

 

「関節は脆い!」

 

 前衛のモールモッドのアームを切り落として攻撃パターンを変えさせる。正面からは斬り合わない! 

 

「シュート!」

 

 戦場の瓦礫を後衛のモールモッドに蹴りつけて注意を釘付ける。挟め……私を挟撃しろ! 

 

「私が相手だ!」

 

 コイツらはパターン化された動きから最適な動作で行動する。つまり()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

(ブレード)モード!」

 

 懐の私が内側からアームを斬る事で危機を察したモールモッドが後退する。すると後衛にいたモールモッドが前衛に躍り出て…………え!? 

 

誘導弾(ハウンド)!?」

 

 後退したはずの近界民が射撃を受ける。不味い! 

 

「そっちに……行くなあぁぁ!! 

 

 スラスターを起動して手負いのモールモッドを上から叩き斬る。行動停止に出来た……けど! 

 

「させるかぁ!」

 

「……へ?」

 

 私に迫るモールモッドのアームを弧月が斬り裂いた!? 

 

「な……まさか!?」

 

 もう解る。誘導弾・誘導弾・弧月の布陣……確か彼等は……

 

「仮入隊ハイスコア隊員の……どうして!?」

 

「正隊員の人達が頑張ってる中で訓練生だけ使用禁止とか言ってる場合じゃないっすよ!」

 

「俺達も!」

 

「参戦しますよ!」

 

「……無駄口叩かない! まだ戦闘中!」

 

「「「へい!」」」

 

 とはいえ2体いたモールモッドも1体活動停止のもう1体も手負い……油断しなければ! 

 

「スラスター!」

 

 上さえ取れれば一撃で倒せる。空閑君の撃破イメージを再現するのは大変だったけど何とか倒せる。

 

「はぁ……はぁ……撃破……完了……」

 

「す……すげぇ……」

 

「手負いとはいえあっさり……」

 

「これが正隊員……」

 

「君達!」

 

「「「はい!」」」

 

 私は息を整えて彼等に向き直る。

 

「どうして逃げなかったの? 見ての通り私はモールモッドを倒せた。君達の援護は確かにあったけど負けない確信もあった。なのにどうして割り込んだの……?」

 

「それは……」「その……」「俺達も……」

 

「「「誰かを助けたくてここに立っているんです! そこに理由はありません!」」」

 

「…………そう」

 

 私は彼等の気持ちを否定出来ない。でも今は相手が悪い……キチンと伝えないと……

 

「今この地区に新型の近界民(ネイバー)が来てる。私も少し交戦したけどその実力はモールモッドの比じゃないわ。そしてこの近界民の特徴は()()()()使()()()()()()()()()。ここまでは良いわね?」

 

「はい」「やべぇ」「怖ェ」

 

「で、ここからが私の推測……この新型の標的は()()C()()()()()()()()()()

 

「「「ッ!?」」」

 

 自分達が狙われている……そう言われて動揺しない人は少ない。

 

「まぁそういう表情になるよね。知っているとは思うけど正隊員にはある脱出機能が君達には無い。少なくとも私が近界民なら間違いなく君達を狙いの本命に置く。だからお願い……()()()()()()()。避難誘導に徹して欲しいの……」

 

「「「ッ……!」」」

 

 明らかに空気が重くなったけど……伝えないとといけないから……

 

「他にも誘導にあたっている訓練生がいるでしょ? 合流したいから教えて!」

 

「っ! はい! コッチです!」

 

 私は彼等と他の訓練生の救援に向かう事にした。それにしてもあの方角……まさか……

 

「木虎さんの交戦地点付近……?」

 

 考えても仕方無い。私達は合流を急ごう! 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「亜樹ちゃん!」

 

「千佳!」

 

 他の訓練生と順調に合流した私達はとうとう千佳との合流も果たせた。そして……

 

「木虎さんが戦ってるの! 私達に逃げろって!」

 

「馬鹿! あの人の足手まといになりたくないなら全員速やかにコッチへ!」

 

 私は散らばる訓練生を集め木虎さんから距離を取る。そしてその様子を確認したからか木虎さんの攻勢は一段と激しさを増した。

 

「すげぇ……」「あれがA級……」「木虎さんカッコイイ……」

 

 あの動きに見惚れている隊員を含め私達はあの攻防戦を見守る。私達に出来る事は…………ッ! 

 

「木虎さんの足が!?」

 

「全員下がって! 通常弾(アステロイド)!」

 

「亜樹ちゃん!?」

 

 私がチューニングした飛距離・弾速特化の低威力通常弾(アステロイド)がラービットの首を狙うが当然腕に阻まれる。でもその隙は……

 

「お節介を……でもコレで!」

 

 弾丸を防御の為に開けた隙間を縫って木虎さんのスコーピオンがラービットを仕留めた。コレで……撃破だ! 

 

「はぁ……訓練生が下がったと思って油断した私の落ち度ね。でも貴女が援護するとは思わなかったわ三雲さん……」

 

 撃破を確認した木虎さんが私達の元へ歩もうとしたその時だった。

 

「来る……何かが来るよ亜樹ちゃん!」

 

「ッ! アレは確か……ラッド!? 不味い! 【(ゲート)】が開く! みんな基地へ逃げるよ!」

 

 私達は可能な限り【(ゲート)】から逃げた。しかしその中から現れたのは……

 

「さっきの新型……いや……色が違う!」

 

 絶望の追加戦力(チューニングラービット)が現れた。察知した木虎さんは声を張り上げる! 

 

「基地へ……基地へ逃げなさい!」

 

「でも木虎さんが!」

 

 足を失った木虎さんは瞬く間にラービットに捕縛され……

 

緊急(ベイル)……ア……」

 

 私達の目の前でラービットに捕獲されてしまった……

 




亜樹が助けた訓練生は【C級3馬鹿】こと【甲田】【早乙女】【丙】君達です。亜樹は修と違って女の子なので彼等は自分達を助けてくれた亜樹にキョドりました(ただしその後の説教でビビられてます)

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