さて本編ではどこまで戦力が投入されても怪しい雲行きですが亜樹の……BORDERの判断は?
戦場は、確かにこちらへ傾いていた。各隊の再編されラービットの処理も進んでいる……筈だった。
「人型……近界民」
ラービットに押された戦線は押し上げられてきた。
(……このまま押し返せる……
私達はそう判断していた。現にラービットへの対処が確立され始めた……そのタイミングでの戦力投入。それが要所で投入される意味を私は識っている。
「出て来ないで欲しかったけど……」
それは計算ではない。ただの願望だ。
──-
『南東側、掃討完了!』
『中央ライン維持! このまま押し返す!』
そんな通信での報告が士気を取り戻していたタイミングだけに絶望感するも相当だ。
──-
報告は安定している。A級の配置も機能している……つまり“最適”だ。だから崩される。
「では参りましょうヒュース殿」
投入された戦力が、その前提を壊した。
「ヴィザ翁……」
当たってはいけない最悪の相手。その人物が私達を崩す為に動こうとしている。それはかなり不味い……
「京介……奴等の間合いと目的を測る。合わせろ」
「了解ですレイジさん」
烏丸先輩のエスクードが私達と近界民を仕切る。
『警告 トリオン枯渇!』
「ッ!」
わかっていた。無茶が過ぎた。あの攻防で私のトリオンは枯渇している。このままじゃあ……
「雨取! 三雲のトリガーにお前のトリオンを接続しろ! 応急処置だが活動時間はそれで伸ばせる」
「は……はい!」
「京介! 小南! 時間を稼ぐぞ!」
玉狛第1のメンバーが射撃で間合いを保ちながら睨みを利かせる。そんな時だった。考慮します。
『トリオン供給を確認……
「よし。三雲! 俺達で奴等を抑える。まずは武装について分析しろ!」
「わかりまし……あの結晶片っ! あの若い人型近界民の武装に覚えがあります! 新型です! 新型の中に結晶片で磁力干渉をするタイプがいました!」
ヒュースは臨戦態勢に入るとあの結晶片……磁力操作のマーカーを展開している。そしてまだBORDERにはその詳細が割れていない。つまり……
「初撃から奇襲して来るかもしれません!」
ヒュースが起動した
「磁力か……間合いを詰めさせるな!」
「おやおや……あの少女は聡いですな。これは侮れませんぞヒュース殿?」
「ラービットの機能と私の
この2人は陽動……だけど千佳の存在が捕縛という目的を加えている。
「となると連携されては不味いか……小南はあの老兵を抑えろ! 磁力使いは射程持ちで対処する!」
「「了解」」
レイジさんの指示の元私達の防衛戦が始まった。だけど……
「この2人に対処するならあと2手……足りない……」
お願い迅さん……空閑君……助けて……
「お疲れ様嵐山隊!」
「迅さん? どうしたんだ?」
「悪いが嵐山……遊真を借りる。時間が惜しい」
「…………予知か?」
「うん。とびきりヤバいのが4人……1人はもう少しで風間隊と交戦。んでもう1人はB級合同部隊と交戦中。だけど問題なのは2人……それもメガネちゃん達の方に向かってる」
「実力は?」
「未知数……だけど合同部隊の奴よりも多分ヤバい」
「っ!」
亜樹達の窮地を悟った遊真が飛び出そうとするのを迅が静止する。
「待てよ遊真。まだ奴等の目的が読めない。レイジさん達がある程度奴等の手札を暴いたらメガネちゃん達を引かせる……ように頼んでる」
「それに空閑君……まだ彼女達は警戒区域外だ」
「ッ!」
「いや……今からおれと遊真が迎えに行けば区域で落ち合える。わかってくれ」
「っ! わかった……」
迅に説得された遊真はその言葉を信じて亜樹達を迎えに行く。
ヒュース達の初見殺しを想定した立ち回りから私達は下がり気味に戦っている。そんな時に悪い知らせが入り込む。
『基地東部で人型近界民と交戦中の風間さんが緊急脱出! 歌川君ときくっちーが本部へ退却!』
宇佐美先輩の報告が私達に追い打ちをかける。
「こちらに合流して来る可能性があるか。京介……三雲と訓練生達を連れて本部へ逃げろ。アレは手練れだ。足手まといを抱えながら戦えば必ず負ける。俺と小南でコイツらを止める。だから行け!」
「っ! 了解ですレイジさん。行くぞ三雲……先に逃げた訓練生を新型に捕らえさせるわけにはいけない」
「っ…………! はい……」
私は千佳の手を取り促された退却を決行することにした。そんな時に無機質な音声が響いた。
「三雲! 雨取からトリオンの供給出来たな? さっさと行け!」
「レイジさん……あの老兵……多分磁力の外からでも届く間合いの広い攻撃があるかもしれません。そんな予感がします!」
「本当に奴が若い方磁力使いならそうだろうな。だがまだ敵兵も多い……奴の気が味方巻き込んででも攻撃して来る前に下がれ!」
千佳のトリオンが私に譲渡されたのを確認したレイジさんの指示で私達は退却を始めた……そんな時だった。
「冷静……ですな。ではこのような手を打たせて貰いましょう」
ヴィザの言葉の後追加でラービットが出現する。
「新型の追加投入……京介! 三雲! C級のフォローをして本部へ逃がせ!」
「わかってます!」
新型の相手にレイジさんの指示で分断される。それでも視線が私達に「行け」と告げていた。
「お前達の相手は俺達がしてやる」
「逃さないぞ金の雛鳥!」
「磁力マーカー……させない!」
私は飛ばされて来たマーカーを
その言葉と共に出現した烏丸先輩の出現させたエスクードが私達を完全に分断した。
「こんな手で来るなんて……っ!」
私の識ってる展開と違う。こんな事態になるなんて……
レイジさんの判断で基地への退避をしているものの浮かない表情をしている事に気づいた烏丸先輩は私に問いかけて来た。
「三雲……戦えるのか?」
烏丸先輩の言葉は残酷で重要な確認だった。
「正直わかりません……でも烏丸先輩の足手まといになるくらいなら緊急脱出も選択肢かもしれません……」
「その選択肢を忘れるなよ? 今新型は小南先輩が抑えてる。追加で来るから俺が止める。良いな?」
千佳のチャージで回復したとはいえ私がどれだけ戦えるかは未知数。正直私は
「戦います! 千佳! 訓練生のみんな!」
まだ戦況の天秤は向こうに傾いてる。それでも頑張るんだ!
亜樹達を逃がしたレイジは既に罠を張り始める。
「奴らをここで釘付けにする。とことんやるぞ小南!」
「三雲の分析を無駄にするなよ? 俺達の役割は」
「えぇ……本当に奴らがヤバいなら迅が遊真を連れてコイツらにぶつける。そのぐらいアタシにも分かるわ」
「小南はあの老兵をとことん留めてくれ。磁力使いは……最悪
「いよいよ持久戦が出来ない……でしょ?」
再度ヴィザと対峙する小南は間合いを意識しながら立ち回る。
「やれやれ……やはり手練れが私達を足止めしますか。手強いですなぁ」
(コイツ……ヤバい!)
トリオン兵の追加投入を待つヴィザにとっては消極的な戦いをさせられてる小南は都合良く映っている。しかしヒュースの表情は少し険しくなっていた。
(次善の手は打てたとはいえコイツにマーカーがつけられない。しかし金の雛鳥を取りに行くにはコイツがあまりにも厄介だ)
「言った筈だぞ……お前達を追わせはしないと」
「しかしお前達も決定打を持っていない。ラービットが抜けたのは想定外の事態ではないのか?」
「BORDERを舐めるなよ? 新型の対処法などすぐに確立させるさ」
絶えず中距離を維持しながら罠を増やすレイジの時間稼ぎに心理攻撃が通じなかったヒュースはヴィザの元まで後退する。
「申し訳ありませんヴィザ翁……奴らを崩すには手が足りないかもしれません」
「足止めに徹した兵を崩すには……このようにしましょうか」
レイジ達の持久戦を仕掛けた戦場は幸か不幸か付近の民間人の避難は完了している。それを悟ったヴィザは次の一手を撃ってくる。
「別エリアのトリオン兵!? まさかこの老兵……小南!」
「どうするのよレイジさん!」
「あの方角は京介の家族がいる! 行かせる訳にはいかない!」
「あぁもう!」
ヴィザの策によってあっさりと2人は分断させられてしまった。しかし……
(コイツらを釘付けにするだけの罠は張った。あとは俺が時間稼ぎに徹すれば良い)
基地南部のランバネインによって膠着した戦場に3人のA級隊員が合流する。
「ヤバいのがいるな」
「南西部の救援に行く前にアイツ倒さないとヤバくね?」
「じゃあ倒しますか!」
米谷・出水・緑川の援軍部隊がランバネインと交戦を始めようとしている。
「よぅ村上……コイツら貰うぜ?」
「……っ! どうぞ……太刀川さん」
そして基地東部へ向かおうとしていた太刀川が村上と交戦していたラービットを切断し撃破。BORDERの反撃は着実に始まろうとしていた。
ヒュースの手札を最初から割っている影響でレイジさんの消耗が原作よりも抑えられていた代わりにラービットの追加投入された分が亜樹達に襲いかかってます。この辺りは亜樹が原作知識持ちとして立ち回った影響です。亜樹達は反撃のフェーズに入れるか……是非次回をお楽しみにお願いします!
※太刀川さんのラービット撃破描写が原作より遅いのは反撃フェーズへ移行するタイミングに合わせている為です。本作では村上君との合流前で既にラービットを数体倒してます。
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