英雄のいない世界で   作:タク-F

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※本作では少しオリジナル要素を出してますが作者が手に負えないと判断した場合は原作に近い形で落とし込めるように修整する場合があります。具体的には前回ヒュースの磁力マーカー攻撃描写をミスっていたので今回で調整さします。


星の杖の使い手

「ねぇ空閑君……アフトクラトルの中でわかってるヤバいトリガーってある?」

 

『その質問には私が答えようアキ。遠征部隊に投入されているかは不明だが私の把握している限り最も驚異的なトリガーは恐らく星の杖(オルガノン)だと思われる。何せ国宝と呼ばれたトリガーなのだ』

 

「それってやっぱり……」

 

『あぁ。間違いなく黒トリガーと見て間違い無い』

 

 空閑君・レプリカさんと通信を繋いで少しでも相手の手の内を想定する。

 

「三雲!」

 

「はい!」

 

 追撃のラービットに時折反撃を混ぜるも装甲が厚すぎてダメージが通らない。

 

「このままじゃあ……基地までコイツを……」

 

「いや、かえってそっちの方が好ましいかもしれないな。基地にはA級の狙撃手が待機している。コイツの間合いの外から数の力で撃ち抜けばいずれは落とせる。慌てずコイツを引きつけるぞ!」

 

「ッ! わかりました!」

 

 そうだ……まだ最悪じゃない。まだ立て直せるんだ! 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜レイジside〜〜

 

 足止めに徹しているレイジの仕掛けた罠の精度・規模からヒュースは攻めあぐねていた。しかし……

 

「いやはや……分断に成功したとは思えたのですがここまで仕込まれていたとは……」

 

「申し訳ありませんヴィザ翁。コイツの粘りは自分の想定を超えているようです」

 

「謝る必要はありません。ここは向こうの本拠地で彼は我々を本気で足止めしている。このような手合いを崩すのは容易では無いでしょう。ならばここは私が出ましょう」

 

(この老兵……どう出て来る? 間合いが広いのは想定できるが……)

 

「参りましょう……星の杖(オルガノン)!」

 

 ヴィザが剣を抜いたその瞬間……付近の建物ごと罠を斬り裂いた。

 

(広範囲の斬撃トリガーか!)

 

『噂をすればそのトリガーとは……間違い無いぞレイジ。奴の武装は星の杖(オルガノン)……正しく黒トリガーだ!』

 

(1振りで罠が全滅……このままでは足止めもままならないか。仕方無い……)

 

 レイジは玉狛支部メンバーへの通信を繋げる。

 

「俺だ。あの老兵は黒トリガー使いだ。時間稼ぎ用の罠が壊滅した以上ここからは一気に戦況が動く。俺が奴等の手札を可能な限り暴く……各自備えてくれ」

 

()()()()()()使()()()()()()()武装が解禁される。

 

全武装(フルアームズ)展開!」

 

「ッ! 消耗度外視か!」

 

 期間銃から突撃銃まで余すことなく展開された銃口がヴィザとヒュースに放たれる。そしてその火力と速度は1度収めた星の杖の再展開に明確な圧力をかけていた。

 

(コイツは必ず自滅するとしてこの火力が続けば蝶の楯が破られかねないッ!)

 

「コレは……中々の火力ですな。おまけにこの速度……攻撃に転じるのは難しいですな……」

 

「逃がさん!」

 

 レイガストを遮蔽にした消耗度外視の銃撃は2人の足を止めるには充分だった。しかし……

 

「少し距離を空けましょうヒュース殿。もう1度……今度は確実に仕留めます」

 

「わかりました。援護します」

 

 磁力の反発で無理やり距離を空けたヴィザだが既に反撃の準備を整えていた。

 

「レイガス……ッ!」

 

 そしてその速度は防御の展開よりも先に届きレイジの身体を両断した。

 

「置き土産だ!」

 

 しかし即座にレイガストを刃モードへチェンジしスラスターを推進力にヴィザの左足への投擲を、残るトリオンを弾丸に変えてヴィザの左腕とヒュースの右足に僅かながらもダメージを与えることに成功する。

 

「やれやれ……仕留める為に距離を詰めすぎましたか。おみそれしましたぞミデンの勇姿よ」

 

『戦闘体活動限界……緊急脱出』

 

「さて……雛鳥を追いましょうかヒュース殿」

 

「了解しました」

 

 細心の注意を払って尚暴力的な力を持つ……ソレが黒トリガーの理不尽とも言える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 亜樹達が連絡通路に到着する少し前……合同部隊と交戦していたランバネインとの攻防架橋に差し掛かっていた。

 

「なるほど。こういう立ち回りがあるのか。これだから戦は面白い!」

 

「……と、思うじゃん?」

 

 B級合同部隊と合流した米谷・出水・緑川との攻防も決着に至ろうとしており、【釣り】の戦法を理解したランバネインが米谷を仕留めようとするも付近の隊員のシールドによってその攻撃は阻まれ槍の一閃がそのトリオン体を貫いた。

 

「……見事!」

 

 その活躍もありランバネインを何とか撃退することに成功した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「連絡通路が見えた! まずはコイツを止めるぞ三雲! 雨取!」

 

「はい……千佳もですか?」

 

「アイビスを構えさせ動きを牽制しろ。本部を背にすれば基地には当たらない。市街地はここまで侵攻を受けている以上四の五の言えない。奴を最速で倒すことを意識しろ!」

 

「わ……わかりました……」

 

 千佳もアイビスを構えるがやはり警戒されている。でも烏丸先輩は冷静だった。

 

「既に奴の動きはわかってきた。三雲! 奴のガードを上げさせろ!」

 

「っ……はい! 通常弾!」

 

 一応弱点の目を狙ったけどやっぱり腕に阻まれる。でも……

 

「腹部は装甲が薄いらしい。今だ雨取!」

 

「ッ!」

 

 牽制の砲撃が奴の足を完全に止めた。

 

「斬れ三雲!」

 

「はい! スラスター!」

 

 鳥丸先輩の援護もありラービットを撃破する。そんな束の間の安心もすぐに不穏が訪れる。

 

「おい! 通路が開かない! 基地に行けない!」

 

「そんな!?」

 

 確か本部に……ッ! エネドラが! 

 

「連絡通路に入れないなら直接本部へ向かう! 足を止めるな!」

 

 基地連絡通路に来た。つまりもう警戒区域。

 

「皆! 直接本部へ行くよ!」

 

 まずは訓練生を逃が「亜樹ちゃん! 来る!」……ッ! 早すぎる! 

 

「まさか千佳! 人型が来るの!?」

 

 こんなにも早いなんて。

 

 

「ふむ……これがその力ですか。中々様になっていますぞヒュース殿」

 

「っ! そんな!?」

 

 私達に追いついたヒュースとヴィザとの距離が近い。このままじゃあ……

 

「さて……戦闘員は私が斬ります。ヒュース殿は援護を……む?」

 

 ヴィザが構えたその時私達との前にナニカが飛来してきた。

 

「ってて……中々派手じゃないですかレプリカ先生。っと……はじめましてアフトクラトルの皆さん。ここから先には行かせないぜ? 何せこの実力派エリートが相手をするからな」

 

「迅さん!」

 

 迅さんにヴィザが距離を空けたその時さらなる飛来物がヴィザを襲う。

 

「おっと失礼。おれが……じゃなくて()()()()だったな」

 

「空閑君!」

 

 私の最も信頼する2人が戦場に到着した。

 

「行けよ京介……メガネちゃん達を連れて基地へ向かう。連絡通路は使えないが意味はある! 時間は無いぞ!」

 

「了解しました迅さん。行くぞ三雲!」

 

「はい! 空閑君……あの老兵は!」

 

「わかってる。栞ちゃん達が分析してくれた。あとは俺の役目だ」

 

 私達は2人の援護を受けて基地へと向かう。だけどそれを見逃してくれる程この2人は甘く無い。だから……

 

「ふむ……逃げられてはこま「エスクード」おぉ……」

 

 迅さんのエスクードが私達を分断する。もう今しか無い! 

 

「行くぞ三雲! 雨取!」

 

「「はい!」」

 

 私達は本部へ直接駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 亜樹達が駆け出してすぐにヴィザとヒュースは分断される。

 

「『鎖』印+『強』印三重(トリプル)!」

 

 ヴィザに巻き付けられた鎖が強引な力で引かれその身体を宙へと投げ飛ばす。その結果ヴィザとヒュースの分断には成功した。そして【星の杖】に仕掛けられた『錨』印が発動し剣を満足に振るわせ無かった。

 

「中々豪胆な力ですな。玄界の発展も目覚ましい……と」

 

「お前は腕が立つからな。アキ達を追わせるわけにはいかないね」

 

 遊真はヴィザの【星の杖】を警戒した。しかし距離を空けての射撃や瓦礫の礫は有効打にはならない。いかに近接に持ち込み攻撃を当てるかが重要になっていた。

 

「抜かないのその剣。お前の武器だろ?」

 

「そう言いながらも警戒心がお強いので中々機会が訪れないだけですよ……」

 

 雲を掴むようにのらりくらりと遊真を観察するヴィザだが既に動きを見切り始めていた。

 

「そちらも近接をご所望ではありませんか? 射撃戦では有効打に至りませんよ?」

 

『乗るなユーマ。挑発だ』

 

 その言葉に合わせるように距離を詰めようとしたが空中に投げ飛びした時と違い今の攻防の前に重りを削いだヴィザの剣は速度を取り戻しつつある。

 

「『強』印+『射』印二重(ダブル)

 

 目では追えても反撃に躊躇うその速度に遊真は攻めあぐねていた。しかし……

 

『左下だユーマ!』

 

「ちっ!」

 

「どうやらその左手が()()をなさるようですな」

 

 重ねるように隠された軌道の斬撃が遊真の左手を斬り落とす。

 

「冗談キツイね。手足に傷を追ってコレだけ複雑に動かすなんて……」

 

「私としては受けた手傷で思うように斬れないのがもどかしいですなぁ。あの勇士に負わされた傷が中々に尾を引きます」

 

 皮肉とも称賛ともとれる揺さぶりがその目的を隠そうとしている。しかし遊真はその揺さぶりを見抜く。

 

「つまらないウソは止めたら? 本心が透けてるぞ?」

 

「…………ほぅ?」

 

 ヴィザの目的……時間稼ぎを見抜いた遊真は覚悟を決めた。

 

「行けレプリカ……アキ達を援護しろ。ヤバいのが多分向こうに行く!」

 

『心得た』

 

 遊真の援護を止めてレプリカは亜樹達の後を追う。未来の分岐確定点まで残り947秒

 

 

 




う〜ん今回亜樹の活躍が薄いとは思ったので次回はラービット攻防戦にスポットを当てます!

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