英雄のいない世界で   作:タク-F

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一応前回の亜樹の大ポカは既定なので覚悟はありました。でもその失敗が未来へ繋がります


失敗からの学び

 私はとてつもない過ちを犯した。傲慢・怠慢と言われてもおかしくない過ちだ。

 

「最善を()()()()()()。未来を変える勇気が私にあれば……」

 

 嵐山隊の方々が防衛任務に復帰するために学校を後にした事で危機を脱した事を理解した民間人は安堵したけど私は自責に囚われている。

 

「アキ……そろそろ戻らないとダメなんだろ?」

 

「ゴメン空閑君……一緒に来て……」

 

 私は空閑君と目を合わせられないままに襲撃された南校舎に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

「ココ……さっき戦った場所か。どうしてココへ?」

 

「空閑君にしか話せない事なの。ねぇ空閑は覚えてる? 私には前世の記憶があるって……」

 

 話して何になるのかはわからない。それでも空閑君に話せずにはいられなかった。

 

「言ってたな。ソレが関係するのか?」

 

「うん。前世で私は今日と似た光景を見た事があるの。その場面では1人の男子がモールモッドと戦ってた。言いたくは無いけど客観視したら私よりも弱いその人がモールモッドと戦って惨敗してた。私は……そうなりたくは無かったけどいざその時になれば自分も同じ……呆れるよね?」

 

「そうか? 自分なりに工夫したんだろ? そりゃあ人と比べたら思うモノがあるのかもしれないけど……「違うの」ん?」

 

「実はね? 私が使った訓練生用のトリガーって条件を満たせば正規品と交換して貰えたの。正規品なら火力の補強も必要なトリガーの追加も出来た。でもソレが出来なかった。だって……未来が変わる事が何よりも怖かった。彼の英雄譚では今回の敗北が転機だった。私が正規品を使えば間違い無く未来は変わったとは思う。でも私はその未来を変える事が……うぅ……」

 

 空閑君は私を抱きしめて呟いた。

 

「そっか……アキが色々考えて今日行動したのはよくわかった。少なくとも俺にはアキがウソをついてないのはわかる。とても悔しいんだろ? 強くならない選択をした自分に……」

 

「ちょっと……違うかな。私が悔しいのは自分の臆病性だよ。何かを変えたかった筈なのに変える事に怯えてしまった。だから……うぅん。やっぱり違うね」

 

 私はもう1度言葉を飲み込んだ。そしてゆっくりと言葉を紡ぐ。だけどその前に空閑君が言葉を紡いだ。

 

「アキの気持ち……やっぱ少しわかるな。だって俺……昔親父の忠告を無視して交戦して殺されかけた。いや………………ある意味ではあの日に死んだのかもしれないな。だからアキが今日モールモッドに立ち向かった時に助けるべきだと思った。あの日親父が俺を助けた理由が今ならわかる気がする。それを助けた気づかせてくれたのはアキのおかげだ。ありがとう」

 

「うぅ……うぅ……」

 

 涙が溢れて止まらない。無茶をした相手を助けてくれた恩義と、助けた側の気持ちを空閑君が理解する光景、生きていられた事に対する安堵……その全てが私の涙を形成したのだろう。でもソレを聞いた以上私も聞かなければならない。

 

「素直に答えて欲しい。空閑君は未来を識った後で未来を変え得る力を手に出来る? もちろん力を手にして振るえば識った未来へ繋がらない可能性があるとして……ね?」

 

「俺なら手にするよ。もちろん視た未来が役に立たなくなっても構わない。必要があれば俺は未来を変えてやるよ。だってどっちを選んでも後悔するんだろ? なら迷うまでもないね……もう後悔するのはイヤだから」

 

「そっか……。いや……わかっていたのかもしれないね。空閑君なら未来が悪くなっても後悔しない選択をするって……」

 

 本当に空閑君は強い。戦闘能力は当然としてその精神が強い。いや……本当に精神が強い【英雄(三雲 修)】を私は識っていたじゃないか。そして私は何の為に千佳に打ち明けてまでBORDERに所属した? 

 

「顔……笑ってるぞアキ。スッキリしたのか?」

 

「笑ってる? じゃあ私は自分が悩んだ事がバカバカしいと思えてるのかもね!」

 

 私はふと空を見上げた。分厚い雲に隙間が生まれ陽光が所々差し込んでいる。

 

「空……晴れてきたな」

 

「まだ晴れると決まった訳じゃないでしょ?」

 

「つまらないウソだな! 晴れると思ってるだろ?」

 

「バレてるよね!」

 

 私は自分が悩んだ事が馬鹿馬鹿しく思えたと同時に覚悟へと至った。だからこそ空閑君に誓おう。

 

「空閑君……君に誓いたい事があるの」

 

「む? 俺に?」

 

「そう。空閑君に……だよ。私は()()()()()()()()()()()。間違えない選択肢はわからない。だから未来視した選択肢が最適なら従うだろうし、最善でないなら無視をするかもしれない。それでも自分が後悔しないなら胸を張ってその未来を歩む」

 

「なんか……最善を選ぶって言い切らないのはアキらしいかもな。でも俺も分かった事がある」

 

「な……何が?」

 

「アキは多分バカだ。頭は多分俺よりも良いけど、迷って行動した結果は絶対に後悔する。バカなのに頭が良いから混乱するんだ。だからさアキ……バカにならないか?」

 

「なっ……!」

 

「あぁでもアキにはニホンの事を色々教えて貰うからバカだと困るのか……」

 

「ちょっと空閑君!? 私に教わるつもりだったの!?」

 

「そりゃあね。ついでだから言っとくけど俺がアキの事を守ってやりたいと思った。アキはバカなのに弱っちいから俺がいないととんでもない事をしそうで心配だからさ! 俺が支えてやるぞ?」

 

「………………へ? それってつまり…………え?」

 

 ナイナイナイ! 絶対に勘違い! 無自覚! あり得ない! いや………………ない……よね? 

 

「その続きはまだ聞きたくないかな。もし空閑君の気持ちが今と変わらなかったら、私に続きを聞く・伝える覚悟が出来たら今度こそお互いに伝えよう?」

 

「そっか。じゃあ今はいいか……」

 

 空閑君は少し残念がっていた。私の推測が間違っていると良いんだけど……

 

「こんな所にいたのね貴女達。特に三雲さん……貴女は本部に来てもらわないといけないのに逃げ出すなんて呆れたわね」

 

「えぇ!? 木虎さん!? 何故ここに!?」

 

「あれ? お前は帰ったんじゃ無かったのか?」

 

「残念ながら違反者の連行も私の仕事よ」

 

「ふ〜ん……つまらないウソだね。お前がアキに個人的な感情で近づいたの……むぬ!?」

 

「止めてね〜空閑君。そういう事は非常に……ひじょぉ〜に乙女心が傷つくの。私も乙女の端くれだから言わないでほしいんだけどなぁ〜?」

 

 急に大人しくなったので理解……してくれたよね? 

 

「それにしてもどうしてココに? 逃げ出すにしては場所が悪いわね」

 

「あ〜……私が他人に話しにくい事を話す為の場所を探して今ならここに人は来ないかなぁ〜と」

 

「学校関係者はともかくBORDER関係者は来るじゃない。その発想なら学校外に行きなさいよ……」

 

「そういう場所って街にあるのか?」

 

「…………木虎さん。お願いです。その言葉を飲み込んでください。貴女達が争えば私では止められないので!」

 

「………………、……………………、……………………はぁ。ここはエリートの私が折れてあげるわ。それじゃあ本部へ行くわよ」

 

「わかりました」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で? どうして彼がついて来てる訳?」

 

「不満でも?」

 

「あるわ。部外者がいると調子が狂うのよ」

 

「チヤホヤされてるじゃんキトラは」

 

「煩いわね。狂うモノは狂うのよ!」

 

 空閑君と木虎さんの相性(というよりもお互いの第一印象)はあまり良くない。でももし原作通り(私の知識通り)なら空閑君の協力がないと市街地の被害は甚大だ。ついて来てもらわないと……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そのやり取りをしていると本日2度目の【門】の発生を告げる警報が響いた。

 

「お〜イルガーか。中々珍しいな。アレを持ち出すなんて」

 

「…………私が倒すわ。訓練生と民間人に関わらせる訳にはいかないもの。せっかくなら見せてあげるわ……精鋭の実力をね!」

 

「すみません木虎さん! 私は民間人の救助に行きます! あの空爆で被害を受けた人がいる筈です! その為なら……トリガー起動!」

 

「なっ!? 貴女また無断でトリガーを使って!」

 

「被災地の救助で必要なのは救助者の安全確保です! トリオン体を上手く使えばその問題を解消できます! 木虎さんが交戦するからこそ出来る私の働きです!」

 

「武器すら生成出来ないのに無茶をして……!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「良い判断だなアキ。トリオン体の特徴を理解してる。だけど武器無しで良いのか?」

 

「生成出来ないのは敗北した時点で覚悟してたから良い。でもイルガー? を落とせ無いとジリ貧だよね? お願い空閑君はアレを何とかして。爆撃が止まらないと被害の拡大が止まらない!」

 

「ふむ。アキは無茶するから……レプリカ!」

 

『了解した』

 

 レプリカさんが現れて私に分体を与えてくれた。

 

『持っていきたまえアキ。その分体は通信機器の機能を内蔵している。アキの助けになるだろう』

 

「ありがとう空閑君! レプリカさん!」

 

 私は被災した人達を救助する為に駆け出した。もう原作の流れを気にして諦める時間は終わりだ。

 

「後悔するならせめて胸を張れる自分でありたい! それが三雲 修(私の憧れ)だから!」

 

 私が自分で犯した過ちは繰り返せない。この命はもう()()()()()()()()()! 

 




内心の吐露による弱音が本音なので遊真も【亜樹という個人】を認識しました。ぶっちゃけ好感度爆上がりです。

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