英雄のいない世界で   作:タク-F

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ちょっと今回1話内に入れすぎたでしょうか……?


審問と実力派エリート

 私は現在上層部から審問を受けている。

 

「さて三雲訓練生……君は何故このような愚行を犯した? 記録によれば君は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。君が資格を有した時点で昇格していれば必要の無かった審問だが何故そのような愚行を?」

 

「何故……そう問われて返答する内容に価値はありません。ただ、強いて言えば自信が無かった……という事が近いでしょうか?」

 

「自信? それが何故昇格拒否に繋がる? サッサと昇格して鍛えれば良かろう!」

 

 鬼怒田さんの言葉は当然だが私にこれ以上の返答は無い。

 

「では違反行為になると承知でトリガーを使った説明にはならないが?」

 

「結果論ですが私があの時点で昇格していれば学校に現れたモールモッドと交戦していれば()()()()()()()()()()()()がありました。恐らく校内での戦闘でもミスができません。加えて私が正隊員であれば援軍の要請は後回しにされた可能性は高いです。結果として嵐山隊の方々が来られるまでの犠牲者は私が交戦しない場合よりも多かったでしょう。今にしてみれば……という無意味な仮定です」

 

 こんな理屈では感情は収まらない。でも理屈としての主張は必要だ。そして本来の理由も語るべきだ。

 

「……確かに筋の通った理由だ。現にB級でもモールモッドに単独では勝てない隊員は存在する。最近発生していた【緊急門】からの侵攻で隊員の手が足りない事もあり、今回は君が撃破できたが、敗北していれば想像に近い事態は起こっただろう。そういう意味では昇格拒否そのものには否を問えない。ならばこの先はわかるだろう?」

 

 城戸司令の次の言葉は容易に想像出来る。組織の長としての審判が下される……そう覚悟した時だった。

 

「ちょっと待ってよ城戸さん。その娘をクビにされたらおれが困るんだよねぇ」

 

「…………迅か。事態解決に動いていたお前がここに来たのは()()()()()()()()?」

 

「と、言うよりはかな。()()()()()()()()()()()()()()から、クビにされると困るのさ。という訳でお願いなんだけどさ……彼女の裁量権をおれにくれない? そうすれば必ず解決出来る」

 

「私が……ですか? でも……」

 

 私の現在までの功罪では客観的には解決出来ないだろう。となれば決定的な要因は空閑君だ。原作通り迅さんは空閑君に会うのが目的なのだろう。

 

「良いだろう。三雲訓練生の処分の裁量をお前に渡す事を認める。ただし24時間で解決しろ。現在は基地のトリオンを使って強制封鎖を施しているがそれもあと2日も保たない。時間は無いぞ?」

 

「了解! 任せなよ城戸さん!」

 

 そうして迅さんが私の手を引いて退室しようとした時だった。

 

「最後に聞かせてくれ三雲訓練生。もし今回みたいな事態が再発すれば君はどうする? 今回は偶然解決したが次はそうとは限らない。君の答えを聞かせて貰いたい」

 

「ッ!」

 

 忘れていたけどここで来たか。三雲 修()なら恐らくあの答えを出すだろう。でも……

 

「戦います。私は今回昇格後の姿がイメージ出来ず逃げましたが、逃げた結果に後悔しました。もし私が今回の件で昇格資格を剥奪されて訓練用トリガーしか持ち得なくても変わりません。逃げて後悔するのはもう嫌です! 逃げて後悔するぐらいなら行動して危険が伴っても立ち向かいます!」

 

「こんの小娘が! 全然反省しとらんではないか!」

 

「……なるほど。君の覚悟は理解した」

 

「それじゃあ行こうか()()()()

 

 迅さんに手を引かれて私達は部屋を後にした。

 

 

 

 

 

 

「いや〜中々の審問だったからヒヤヒヤしたよ。危うく君を失う所でヤバかった」

 

 迅さんが私を連れて何処かへ行こうとしていた。私の推測通りの場所なら到着まで時間がかかる。先に連絡をしておこう。

 

「あっ空閑君ちょっと良い? 今多分だけど空閑君を探してる人がいるから会って欲しいの。何処にいるかわかる?」

 

『どうしたんだアキこんな時間に。今オレは学校にいるけど?』

 

「学校……ね。とりあえず向かうからそこで待っててね」

 

 私は通話を終了した。

 

「驚いた。おれが探している人物を知っているのか?」

 

「迅さんの噂とSE(サイドエフェクト)は本部でも有名です。そんな人が私個人の裁量権を確保してまで会おうとしている人物を私は1人しか知らないんです。で、通話した相手が先程の人物です」

 

「なるほどね。ある意味では交友関係が狭かった訳か」

 

「残念ですが……はい。あと【お嬢さん】は止めてください。私は普通の女子なのでせめて……」

 

 私は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「メガネちゃんの方がマシです」

 

「え? 君メガネ使ってたの? ()()()も使って無かったからそんな印象無かったよ」

 

「割と乱視なんですよ私。普段身体を動かす時はコンタクトを使うんですがどういう訳か……」

 

 自分で言いたくは無いけど男子から視線を浴びる時は大概コンタクトの時が多い。やっぱアレなのかな……母さんの遺伝子なのかな……

 

「女の子って大変なんだな」

 

「セクハラ関連の噂も流れてますので私に仕掛けたら問答無用で訴えます。恩があろうとやりますからね?」

 

 マジでセクハラはゴメンだ。

 

「流石に相手は選ぶよ。好きで恨まれたい訳じゃないからね」

 

 そんな話をしている間に目的地に到着した。

 

「待ってたけどどうしたんだアキ? そっちの人は?」

 

「お前……もしかして近界(ネイバーフット)から来たのか?」

 

「ッ!」

 

 一瞬で空閑君が臨戦態勢に入りトリガーを構えていた。

 

「待て待て! おれに戦意は無い! 確かにBORDERには敵対主義の人間もいるけどおれは別にそうじゃないの!」

 

「待って空閑君! この人は【緊急門】の手がかりを探しているの!」

 

 私も慌てて止めたが説得力が薄い。お互いを信用させるなら情報を開示させないと駄目か……

 

「迅さんと空閑君の【副作用】を開示して話し合いましょう! じゃないと話が拗れます!」

 

「マジか……」

 

「【副作用】持ちだと……?」

 

 間に入った私を挟んで双方が……というよりも空閑君が睨んでいる。

 

「まず迅さんだけど【未来視】持ちでBORDER内では有名な人。多分凄い精度だと思う。空閑君を探していたのも彼で今回は【緊急門】問題の解決に空閑君が関係してるみたいで探してたみたい!」

 

「メガネちゃんは頭が回るね。先におれの情報を開示する辺り交渉慣れでもしてるのかな?」

 

 飄々とした迅さんの態度とは対照的に空閑君はある程度納得していた。ここで迅さんとの信頼が得られるかは賭けではあったけど……大丈夫だよね? 

 

「で、次に空閑君なんですが彼もSE(サイドエフェクト)持ちで、その能力は【観察眼】です。特に嘘を見抜く能力かありますので信頼を得たいならその事は頭に入れてください!」

 

「なるほど……だから警戒していた訳か。そりゃ初対面の人物には警戒するし、敵対し得る相手なら観察するだろうから納得だよ」

 

 迅さんの雰囲気が変わった。恐らく仕事としてのスイッチを入れたのだろう。

 

「それで空閑君が学校にいたって事はここにその原因があるって事なんだよね?」

 

「場所……というよりはコイツだな」

 

 空閑君はトリオン兵を私達に手渡した。

 

「小型のトリオン兵? こんなのが原因なの?」

 

『その説明は私が行おう』

 

「レプリカさん!? 出てきて良いんですか!?」

 

『心配には及ばないぞアキ。それに伝えるのは私の方が都合が良いのでね。それではジンよく聞いてくれ。コイツは【小型偵察トリオン兵 ラッド】……本来は情報収集を得意とするがコイツは改造が施され【門】の発生装着が組まれている。周囲からトリオンを集めて発生させていると考えるのは容易だろう』

 

「それじゃあ非番の隊員の側で発生していた原因はBORDER隊員のトリオンが多いから……」

 

『可能性は高いだろう。別に1人から集める事に固執しないならばやりようは充分にあるだろうな』

 

「なるほどね。多数の人間から少量ずつ集めたなら奪われても気にならない。そういう意味ではBORDER隊員は都合が良い標的な訳か」

 

 迅さんも悩んでいる。恐らくは対処方法を模索しているのだろう。

 

「じゃあコレの駆除をしないと駄目なんだよね。もしかしてコイツって強かった?」

 

『解析の結果コイツは攻撃能力を保有していない。しかし問題なのはであり、現在私が探知しているだけでも数千体が確認出来る。私の感知圏外まで逃げている個体を探す事まで考えればとても現実的とは言えないだろう』

 

「いや、そいつが攻撃能力を持たないなら対処方法はある。きっちりこの実力派エリートが解決するぞ!」

 

 そこからは迅さんの采配の元【原作通り(特に問題無く)】ラッドの駆除が行われた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「コイツで最後だろうな。他の場所でも駆除完了報告が上がってる。にしても惜しいなぁ〜! お前がBORDER隊員なら結構な功労者なのによぉ〜!」

 

 迅さんが空閑君の活躍を表に出せない事を残念がっている。凄く嫌な予感がする。

 

「ならその功労はアキに付けてくれ。アキも貢献してただろ?」

 

「ちょっと空閑君!? 私がやったのは迅さんと会わせただけで、ほとんど2人の力での解決じゃん!」

 

「おっ……それも良いな。城戸さんから裁量権貰ったし、メガネちゃんは確か自力で昇格条件満たしてただろ? クビ取り消しぐらいなら余裕でイケるな!」

 

「待ってください! それで解決して良い問題じゃあ無い筈です!」

 

「パワーアップ出来る時にする事は大切だ。現にメガネちゃんには葛藤があっただろう? そういう時に取れる選択肢を増やす事は大切だ。もちろん自力で叶うならその方が胸も張れるだろうけど、困った時に選択肢がある事程ありがたいとは思わないかな?」

 

 しかし迅さんのその言葉に私は返す言葉を失う。

 

「良いじゃんアキ。オレの功績も無駄にならないしアキも助かる。お互いに都合が良いだろ?」

 

 なるほど確かに気まずい。ありがたいけど予想以上に辛かった。なら私が返す言葉も明白だ。

 

「分かった。でも必ずこの恩は返すよ。今は甘えさせて貰うけど……」

 

 こうして私のクビ回避とB級への昇格が確約された。でもせめて……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「迅さん……1つお願いが。もし仮に……」

 

「………………本当に良いのか? あまり大きな声じゃあ言えないが今回のメガネちゃんの行動で助かっているのはおれの方でもある。そんな事をする必要は……」

 

「だから仮になんです。今の時点では根拠のない推測なんですから……」

 

 来たるべき日に備えて……

 




ぶっちゃけ害虫駆除の展開はほぼ原作通りなので一気に話を進めました。もちろん考え方は彼と明確に違いますけどね……

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