英雄のいない世界で   作:タク-F

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戦闘描写は展開が原作と大差無いのでカットです。ごめんなさい。しかし亜樹にも意地はあります


三輪隊との邂逅

「何処にいるのよ……千佳!」

 

 警戒区域を逃げ隠れする千佳を探して私は街を駆けている。厄介な事に肝心の千佳が見つからない。

 

「出来ればトリオン兵との遭遇前に合流したかったのに!」

 

 仕方ない。空閑君にも捜索を頼まないと駄目かもしれない。

 

「ゴメン空閑君! トリオン兵に追われてる女の子見つけたら保護して! 今私の近くで出現情報来てるから倒せ次第合流するから!」

 

『慌ただしいなアキ。そういえば警戒区域に走ってった奴なら見たぞ?』

 

「「(・)警(・)戒(・)区(・)域(・)に(・)入(・)っ(・)た(・)!(・)?(・)」(・)多分それが私の捜索対象! 見つけたら私が来る事を伝えて! それでも逃げたらふん縛ってでも捕まえて! でもトリガーは使わないで! 本部が索敵してるから!」

 

『大分物騒な物言いだな。そんなに不味い奴なのか?』

 

「勝手に1人で抱え込むの。放っとけば絶対に無茶するから……」

 

『アキもいっしょじゃね?』

 

「ソレを言わないでよぉ……」

 

 空閑君はからかいながらも了承してくれた。トリオン兵が出た以上捜索対象の変更は絶対だから仕方無い……

 

「サクッと倒して捜索再開しないと!」

 

 私は【バンダー】の撃破へと思考を切り替えた。

 

 

 

 

 

『アキ……あればバンダーと言う【捕獲・砲撃】目的に使われるトリオン兵だ。砲撃直後の眼が弱点だ』

 

「ありがとうございます。通常弾(アステロイド)!」

 

 トリオン貧弱の私の弾丸は威力も弾速も最低限だ。正直射程戦をするには心許ない。

 

「弾丸では倒さない。弾丸はあくまで牽制程度で、レイガストで倒すつもりで立ち回る」

 

 弾丸で私の存在を認識したバンダーの砲撃が私へと向けられる。距離は推定12メートル……少し遠い。

 

「砲撃態勢……スラスター!」

 

 砲撃の瞬間に私は加速して距離を詰める。目測3メートル……ここだ! 

 

「通常弾(アステロイド)……16分割!」

 

 弾丸にダメージは期待しない。目的はあくまでもコア部分への牽制で、損傷すればラッキー程度。本命は……

 

「ガラ空きの……胴体!」

 

 攻められた弱点を保護する瞬間に私はスラスターで加速してバンダーを切断した。私のトリオンでも推(・)進(・)力(・)さ(・)え(・)あ(・)れ(・)ば(・)切(・)断(・)は(・)出(・)来(・)る(・)から出来た荒業だ。でも大きな欠点がある。

 

「少ないトリオンを一気に使う事……なんだよね……」

 

 今はスラスター頼りの戦法だけど、素の機動力が上がればある程度消費を抑えられる筈だ。その為にも……

 

「素の走力を鍛えないと……」

 

 レイガストを使わずに移動し、弱めのシールドだけでも自衛するスキルを学ぶ事が当面の訓練目標だ。その為には日々の筋トレとシールド訓練を頑張ろう。

 

「っとレプリカさん……空閑君の場所わかりますか?」

 

『それはユーマと話したまえ』

 

『おう! 避難のついでに1人保護したぞ。アキの探してる奴か?』

 

「あ……空閑君。とりあえず合流したいから現在地から動かないで。私が向かうから」

 

 原作通りならコレで問題無い筈だけど……

 

 

 

 

 

 

 

 

「驚いたよ。2人が私との合流前に一緒にいたなんて。まぁ紹介前だから【先に言ってくれれば】なんて野暮な事は言えないけどね?」

 

 予定通りとは言いたく無いけど無事3人で合流出来た。にしてもこんな場所で自転車の練習しなくても……

 

「まぁ良いけどそれじゃあ紹介を始めるよ。こっちの女の子は【雨取 千佳】……私の幼馴染で空閑君に紹介したかった人物。で、こっちの男の子が【空閑 遊真】君でクラスメイト。近界民について知識がある事を知って来て貰ったの」

 

「どうも。くがゆうまです」

 

「えっと……雨取千佳です」

 

「ちなみに2人が私の到着前に一緒にいたみたいだけど何してたの?」

 

「「自転車の練習」」

 

「あぁ〜……うん。そういえば空閑君自転車に乗れなかったよね」

 

 忘れてた。そっか……後のヒュース君にも同じ事をするんだろうね。

 

「じゃあ本題に入るよ。まず千佳が近界民……トリオン兵に追われる。それも高頻度、でも当人含めて原因が分からない。空閑君なら心当たりってある?」

 

「そりゃあトリオンじゃね? 近界民が遠征する時は大体他所から【トリオンを集める・トリオン能力の高い人物を捕らえる】事が目的だよ。まずは千佳のトリオンを測れば分かるだろうけど」

 

「分かった。じゃあその言葉を信じて私が測る。空閑君の言葉が嘘じゃあ無いなら千佳も信じてくれる?」

 

「亜樹ちゃんがそう言うなら」

 

 千佳の了承を得て私から測定する事にした。

 

「お願いしますレプリカさん」

 

『心得た』

 

「ッ!?」

 

 そうか……これが初対面だったっけ? 

 

「ごめんなさいレプリカさん。話を円滑にする為に自己紹介をお願いします」

 

『良いだろう。初めましてチカ。私はユーマのお目付役のレプリカだ。よろしく』

 

「よろしく……お願いします?」

 

「レプリカさんはトリオン兵だけど空閑君の相棒なの。千佳が敵対するつもりが無いなら怖くは無いよ?」

 

「やっぱ怖いのか?」

 

「う……うん……。近界民は……やっぱり……」

 

 理由は明白。だけど焦って解決出来る問題でも無し。

 

「時間をかけてお互いを信頼出来る関係になれば良いんじゃない? 空閑君達はしばらくこっちに居るでしょ?」

 

「まぁ……目的が果たされるまでは」

 

 私達はそうして互いの事を語り合った。だけどその時間も終わりを告げる。

 

「三雲に接触した近界民だな。女か? 小僧か?」

 

「ッ!」

 

 やはり私はこの人達に監視されていた。

 

「三輪先輩……どういう意味ですか?」

 

 私は2人の前に出て問いかけた。やはり彼の瞳は復讐の業火が灯っている。理性が攻撃をかろうじて抑えているだけの緊迫した状況だ。

 

「この街に近界民が侵入している。俺達はそれを排除する。それだけの話だ」

 

「では質問を変えます。証(・)拠(・)は(・)あ(・)る(・)ん(・)で(・)す(・)か(・)? 物証でも証言でも構いません。眼の前の人物にそんなしょう「煩いぞ! 」ッ!」

 

 三輪先輩の銃撃が開戦の狼煙へと変わった。肝心の弾丸は空閑君の盾に阻まれ事なきを得る。

 

「おれがあんた達の言う近界民だ。相手になるよ」

 

 空閑君はトリガーを起動し交戦を開始した。三輪隊の編成は確か……

 

「離れるよ千佳! ここじゃ流れ弾の危険がある!」

 

 あり得ない話だけど狙撃手の奈良坂・古寺先輩が千佳を狙撃して人質にする可能性もある。それだけは避けないと……

 

「空閑君! 私達は逃げる! 構わなくても良いから!」

 

 私は戸惑う千佳の手を引き逃げ出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「迅さん! 三雲です! 空閑君がBORDER隊員と交戦しています!」

 

『三輪隊だろ? 視えてる。心配しなくても遊真は負けないぞ?』

 

「違います! 交(・)戦(・)意(・)思(・)の(・)無(・)い(・)人(・)間(・)を(・)B(・)O(・)R(・)D(・)E(・)R(・)隊(・)員(・)が(・)襲(・)っ(・)た(・)事が問題だと考えます! 空閑君が襲われた報復をしたらそれこそ!」

 

『まぁそれも心配だよな。だ(・)が(・)気(・)に(・)し(・)な(・)く(・)て(・)も(・)良(・)い(・)。そうなる未来は視えていない』

 

 未来視による確信……確かに心強い。でも……

 

「迅さん……人探しってできますか?」

 

『人探し……ね。遊真の父親の関係者探しか? そっちも問題無いよ。おれの知り合いではあるからね』

 

「その人と空閑君が会えるように図らう事は?」

 

『余裕だね。だから今は様子を見てなよ。心配は無いから』

 

 迅さんの言葉には安心を感じるけどコレじゃあ駄目だ。でもある意味では時は来たかな。

 

「この後時間をください……動かします」

 

『………………分かったよ。確かにそっちの方が楽かもしれないしな。その為には今回を乗り切るぞ!』

 

「はい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 迅さんの指示に従い私は彼等の戦闘を見守った。結果は予定通り空閑君が三輪隊の撃退を達成してしまう。とはいえ米屋先輩は話が通じる。この人に賭けよう。

 

「おつかれさんお前達。遊真をここまで追い詰めるお前達はやっぱ優秀だよ秀次」

 

「迅! 貴様よくものうのうと!」

 

 しばらくの迅さんへの抗議の後三輪先輩は離脱した。奈良坂・古寺先輩も米屋先輩と合流したけど交戦の意思は無さそうだ。

 

「提案があるんですが聞いて貰えますか?」

 

「「提案?」」 

 

 ここからが私の戦いだ。

 

「はい。三輪隊の皆様は手加減された空閑君によって撃退されて面子を潰されています。このままでは引き下がれないのは明白です。対して空閑君には交戦の意思はありません。まずは空閑君の目的を聞いてみてはどうでしょうか? 最低限対象の目的を判明させた……とすればある程度の落とし所にはなり得ませんか?」

 

「…………少し相談をさせてくれ」

 

 三輪先輩に代わって奈良坂先輩が話を始める。しかしすぐに結論は出た。

 

「不本意だが双方情報が欲しいのは分かった。そっちは俺達に何を提供する?」

 

「空閑君にBORDER本部へと同行して貰います。形式的に

 

【三輪隊が連行した】

 

 形で本部にすれば問題は無い筈です」

 

「彼のメリットは?」

 

 私は空閑君に視線で問いかけた。

 

「話して構わないよ。どうせいつかは行ってた筈だし」

 

「ありがとう。では内容ですが空閑君は人探しをしています。迅さんは心当たりがあるそうですがもし本部所属の方に該当する人がいるなら空閑君にも本部へ向かう理由があります」

 

「俺達の手に負えない以上呑むぞ陽介」

 

「了解。んじゃ行く?」

 

「じゃあおれは先に行くか。一応報告が偏るのは避けたいしな」

 

「お願いします」

 

 迅さんは一足先に本部へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なるほど……君が報告にあった少年か」

 

「どうも。くが ゆうまです」

 

 話が通った以上対応は早かった。本部へ到着した私達は司令室へとすぐに通され現在私達は司令達と対峙している。

 

「君は随分強いみたいだな。手加減した上で彼等を一蹴するとは」

 

「一応おれなりにも考えはあったからね。でもそれはそっちも同じでしょ?」

 

「当然だろう?」

 

 司令と空閑君の緊迫感が強い。どうにか私は言葉を絞った。

 

「空閑君……件の尋ね人の事を聞くんでしょ?」

 

「そうだった。ねぇ……あんた達に識ってる人はいない? 【モガミ ソウイチ】って人」

 

「「「ッ!」」」

 

 林藤支部長・忍田本部長・城戸司令の表情が揺れた。とりあえず話を聞くべき人は判明した。

 

「確かにその人物を識る人物は存在する。だが君(・)に(・)話(・)す(・)理(・)由(・)は(・)存(・)在(・)し(・)な(・)い(・)この意味もわかるだろう?」

 

「まぁね。でも目的は進展した。そこには感謝するね」

 

 空閑君はコレ以上話が進展しない事を悟り帰ろうとする。

 

「空閑君!? 待って! ここ初めて来た場所だよね!?」

 

 私は空閑君を追って司令室を飛び出した。

 

 

「黒トリガー持ち……しかも三輪隊を退ける力量……」

 

「どうしますかねぇ……コレ以上の戦力は今のBORDERには……」

 

「まっ……その辺りは今から詰めましょう。文殊の知恵とも言いますしね……」

 

 遠征チームの帰還までBORDER上層部は静観する事になり、次の戦いが始まろうとしていた。

 




次回の黒トリガー攻防戦も介入・改変要素が無いので割愛確定です。申し訳ありません。ですが玉狛支部入隊・弟子入りはしっかり描写したいと思います!

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