【ハジメという男子生徒に対する印象】
【とある男子生徒の言葉】
――……はい? 南雲ハジメ?
――……あー、はいはい。知ってるよ。クラスでいっつも虐められてる奴な。檜山たちにからかわれてる……アイツだろ?
――えっ、どう思ってるかって……?
――……え、えー……? どう、だろうな……あいつを見て思った事なんて……
――だってアイツいじめられっ子じゃん。関わったら檜山たちに虐められそうだし、関わりたくなんてねーよ
――あいつってさ、キモオタなんだよ。ほら、いわゆる深夜アニメ好きなところとか? ほら、深夜アニメが好きそうって根暗のオタクが見てそうじゃん?
――あー、そうそう。それとアイツってクラスのマドンナに話しかけられてさぁ、無下にしてるんだぜ? 俺でさえ話したいなぁ、お世話してもらいたいなぁって羨望の眼差しを向けちゃうくらいでさ
――……へっ? それ以外の『南雲ハジメ』……?
――え、ええっ……? えーっと……『キモオタ』で『マドンナに好かれて』……『いじめられっこ』で……
――……は? 『ハジメ』は好きかどうか?
――……えっ、あれ……どう、だろう……
――たしかにさ、話したら檜山たちに虐められそうだし、白崎さんのこと無視してるし、キモオタで……
――ん? 『それ以前』だったら……? え、えーと、どうだろう……
――檜山に虐められてなくて、白崎さんに好かれてなくて、キモオタでなければ……
――ん? んん? いやいやいや、ちょっとまて。確かに俺はあんまり深夜アニメとかみねぇし、見る気もない……けど、でもそれで『キモオタ』って確かにおかしいよな……
――……あ、あれ?
――あれ……?
――じゃあ、なんで俺
――……『南雲ハジメ』のことが嫌いなんだっけ……?
【友達との会話】
――でさ、でさ。こう言ってやったわけ。お前、それのどこが○○やねん! ってね!
ハジメ「ああ、ふーん」
――んだよ、釣れないな。ほら、もっと話を弾ませろって。こうやって久々に話しかけに来たんだからさ
ハジメ「ああ、はいはい。分かりましたよ」
ハジメ「……」
ハジメ(ボクは『南雲ハジメ』。自他ともに認める根っからのオタク高校生だ。そのせいで……クラスメイトからはハブられ、虐められている)
ハジメ(自分がオタクになったのは両親からの影響だ。創作関係の仕事に就いている夫婦の姿を見た息子が自然と影響を受けてオタクになる。カエルの子はカエルということなんだろう。ボクとしてはそれはぜんぜん嫌な事とは思ってないし、不快だなんて思ってない。むしろ、自分の好きなことをしてるだけで技術を磨き、いつかは両親の仕事のサポートをするために……ゆくゆくは会社を継いだりする、かも)
ハジメ(だからクラスで虐められていてもボクはぜんぜん気にしていなかった。人間の長い一生を考えれば学校での生活なんてほんのわずかな間だけ……一回の瞬きにすら満たない一瞬の出来事でしかない)
ハジメ(……さて、そんなボクに以前から話しかけてくる人物がいる)
――でさでさぁ、この前だってこう言ってやったのよ。お前は○○かーい! ってね!
ハジメ(……人物……ヒト、ひ、と……? あ、うん。何を隠そう、その姿とやらがまっったく見えないのだ。というか、声だけしか聞こえないのだ)
ハジメ(そして、もっと言えばこの状況は夢だ。ベッドの布団にくるまって明日も学校へ行くぞと思っていた時だ。そういう時になると大体『コイツ』は話しかけてくる)
――ねぇねぇ、もうちょっとお話しようってばぁー
ハジメ(はいはいムシムシ。夢の世界の住人さんさようなら。ボクは現実という過酷な戦場に行かなくてはならないのだ)
ハジメ(……ま、明日になったらまたお話し相手になるからさ)
――……
――ハジメ、明日は……『いろいろ』と大変かもしれない
ハジメ(……ん? あれ、いつもだったら何も言わずに消えていくのにどうしたんだ急に)
――もしも、その苦難を乗り越えたならばお前は……私と顔を合わせる時が来るだろう
――その時、お前は……
ハジメ(え、ちょ、何言って――)
――……ハジメ、お前はなってはならない。歩んではならない。お前は、私と同じ過ちを……
――……
――…
――
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