生まれた時から最強だった   作:roborobo

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第4話

 

 

 

【……】

 

龍太郎「いやぁー、うめぇなこのかつ丼! 食っても食っても減らねぇんだもん! すげぇな!」

 

龍太郎「まっ、それも当たり前だな! だって……」

 

龍太郎「……? えっ、『おいしく食べてくれるなら光栄だ』?」

 

龍太郎「あ、いやー……っス、ははっ、どうも。なんか悪いっすね。飯ご馳走になってるのに」

 

龍太郎「へ? そろそろ本題に入りたい? あ、あぁ、いいっすよ」

 

龍太郎「……? 南雲ハジメのことを聞かせてほしい?」

 

龍太郎「あー、知ってる知ってる。すっげぇ怠け者のクラスメイトなんすよ」

 

龍太郎「学校に来ているのに授業中はほとんど寝てばっか、クラスメイトと話しているところなんてほとんどなし、それでいて人付き合いも悪いしでよぉ!」

 

龍太郎「分かります? なんっつーのかな。世間じゃこれを『いんきゃ』? っていうらしくて……」

 

龍太郎「……俺個人の南雲への印象?」

 

龍太郎「そりゃあもう! 好きじゃねぇよあんな奴!」

 

龍太郎「話しかけてもヘラヘラしてるけど、基本的に『関わりたくありませんよオーラ』がビンビンなんだぜ?」

 

龍太郎「こういうのってさ、人付き合いとかしてると態度とか口調で分かりやすいんだよ。言葉の節々とかでさっさと話を切り上げて、自分の時間を作りたくなるっていうの?」

 

龍太郎「ああいうのって周りにはバレバレなんだよな。自分は世間を旨く渡れてるつもりで、実は周りに敵を作ってるってだけっつーな」

 

龍太郎「そういう狡すっからい世渡りの仕方をするやつって、自分でも知らず知らずのうちに敵を作るんだよ」

 

龍太郎「話しかけてもヒトを引き離そうとする、それどころか触れようともしない。そうなれば必然的に周りに敵が増えるし、誰もそいつの味方をしてくれねぇ」

 

龍太郎「そういうやつはさ……言い方は悪いけど、イジメられてもしょうがねぇよ。だって、自分から敵を作ってるし、味方をつくろうともしねぇんだから」

 

龍太郎「ヒトに優しくしようともしねぇやつが、誰かに優しくしてくれるわけがねぇんだよな」

 

龍太郎「……? スッゴイ詳しい? あー、そりゃまぁ……俺、一応アウトドアな人間なんで。俺に限らず、運動系は部活に入っていると縦やら横やらの繋がりが出来て、そこに気を使わなきゃいけなくなるんだよ」

 

龍太郎「運動系は運動できればいいってわけじゃないんだよ……いやー、実際大変だぜ? 部活の先輩とかめちゃくちゃ厳しかったりするしさ……頭ン中が筋肉だけで出来てりゃオーケーじゃねぇのが運動系なんだよ……」

 

龍太郎「……? 『それを踏まえた上でハジメをどう思う』?」

 

龍太郎「……」

 

龍太郎「まぁ、さ、あれだわ。俺、あいつのことを怠け者のどうしようもないやつって思ってます」

 

龍太郎「気にかけてくれる奴がいるんですよ。学園の二大女神の一人なんですけどね。アイツ、それを基本的に全無視。なんかもうのらりくらりで話を切り上げたがってるのがまるわかり」

 

龍太郎「そうなったらもういじめっ子コースだ。ろくでもねぇけど、檜山に目を付けられても……まぁ、檜山を援護する気はねぇけどさ、ぜんぶアイツが招いた身から出た錆なんだわ」

 

龍太郎「……はい? えっ、もう帰っていい?」

 

龍太郎「……いや、いやいやいやいや……」

 

龍太郎「帰るって……ここ……」

 

 

龍太郎「窓も扉もないのにどうやって……」

 

 

………………

 

…………

 

……

 

 

 

【トータス】

 

【王立図書館】

 

ハジメ「……はぁ……」

 

ハジメ(初めてのステータスオープンそれは、異世界転生物を夢見る者たちにとって、一度は夢見る特別なイベントだ)

 

ハジメ(皆が平均的なステータスの中、実は主人公だけが誰よりも優れた能力! んでもってとびきりチート全開で俺TUEEEEEE! ……というのがテンプレだ)

 

ハジメ(……がっ、ボクはそれに当てはまることはなかったようだ)

 

~~~~~~~~~~

 

レベル:1

 

天職:錬成師

 

筋力:10

 

体力:10

 

耐性:10

 

敏捷:10

 

魔力:10

 

魔耐:10

 

技能:錬成・言語理解

 

~~~~~~~~~~

 

ハジメ(これがボクのステータス。これらのステータスが実はみんなの平均的な数値化と聞いたら、ぶっちゃけ下から数えた方が早いヤツだと聞かされてボクは……ひっくり返りそうになった)

 

ハジメ(数値が低いと聞いて、担任の愛子先生も自分とおんなじですよと聞かされて少しほっとしたかと思ったら、豊穣のスキルに長けた天職と聞かされてボクは……今度こそひっくり返った)

 

ハジメ(……それからと言うモノの、ボクは何とか戦争に向けた訓練に食らいつきながらステータスをあげていった。スズメの涙ほどだけれども、無いよりはマシだ)

 

エヒト「──やぁ、そこの少年。ちょっといいかな」

 

ハジメ「……はぁ、いいですよ」

 

ハジメ(で、目の前にいるこの人はこの世界の神さまことエヒトさま)

 

ハジメ(神山にいるこの人は、確かにこの世界を産み落とした神そのモノではあるんだけれど、定期的に地上に降りてきてはお散歩しているらしい)

 

ハジメ(そのためかホルアドでは子供たちから慕われていたりするし、道中歩いていたらお年寄りに拝まれたりと親しみのある神様として見られているようだ。どんな神だ)

 

エヒト「……魔物の図鑑か。で、こっちは世界地図と」

 

ハジメ「え、えぇ、まぁ。異世界に来たならちょっとは見てみたいなーってのがあったんです」

 

ハジメ「ドラゴンとか亜人とか……ボク、こういった空想物が大好きで……」

 

ハジメ「あ、ちなみにボク、地球では創作物に携わる人間だったんですよ。だからなんですかね……その、小説とかが好きで」

 

ハジメ(アニメなんて言ってもわかんないだろうしな。小説でいいか)

 

エヒト「……へぇ! それは興味深いな!」

 

ハジメ(お、食いついた)

 

ハジメ「……エヒト様も地球のことに興味があるんですか?」

 

エヒト「……まぁね。いろいろと、ね」

 

エヒト「元からこの世界には危機が訪れていてね。キミたち地球人についてはこちらでもいろいろと調べていたんだよ」

 

エヒト「……あそこはいいね。恵まれていて、平和で」

 

ハジメ「そうでもないですよ。平和なのは一部の国くらいですし」

 

エヒト「だけど、この世界には魔物はいないよ?」

 

エヒト「差別や貧富の差はどの世界にもある。だけど、そんな中でもキミたち人間はとっても平和な道を歩んでいる」

 

エヒト「羨ましいよ。私も……あんな世界で生きてみたいな」

 

ハジメ「……そう、ですか」

 

ハジメ「あ、あの、ボクそろそろ行きますね」

 

エヒト「む、そうか……それじゃあね」

 

エヒト「……」

 

エヒト「良ければなんだが」

 

エヒト「また、話し相手になってくれないかな」

 

ハジメ「? えぇ、いいですよ。時間があれば」

 

──…………

 

─……

 

【訓練施設】

 

 

ハジメ(今、ボクは訓練施設内で剣をふるっている。無能の烙印を押されて、本を読んで遠い世界に想いを馳せても……なんにもできやしないのだから)

 

ハジメ(だったら、徹底的に技術だけは身につけておきたい。)

 

──……ドゴッ!!

 

ハジメ「うっ……」

 

檜山「ハハハハ!! なーにボサッとしてんだよキモオタ!」

 

ハジメ「ひ、檜山くん……」

 

──ザッザッザ……

 

「あっ? なにやってんだよ檜山。ってうわっ、南雲の奴なにやってんの?」

 

檜山「あぁ、実はこいつの剣の練習に付き合ってやろうかなーって思ってさ」

 

檜山「だってよぉ、こいつ根暗のキモオタなうえにクッソザコステータスの底辺だぜ?」

 

檜山「だから俺がやってあげなきゃってわけよ!」

 

「っべーーー! 檜山やっさしぃー!」

 

「ぎゃはははは! マジかよすげぇジャン! オイ南雲ぉ、オメェ檜山に感謝しろよなぁ?」

 

「んーじゃ、ちょっとこいつの練習に付き合ってやろっかなー!」

 

ハジメ「──や、やめっ、やべ゛っ……!」

 

──

 

ハジメ(──ボクにとって、イジメはいつだってついてきて回るものだった)

 

ハジメ(生来、大人しい性格だと周りから言われていて、まぁ、実際にボクも……自分で言うのもなんだけど、人と喧嘩することや争う事は本当に嫌いだと思っている)

 

ハジメ(だって、人と争うってことは……喧嘩したり悪意をもったりするという事だ)

 

ハジメ(そんなふうに生きるくらいだったら、真っ向からやり返そうとせずにやり過ごせばいい)

 

ハジメ(相手が悪くても、こっちが何度も何度も頭を下げ続ければ……きっと相手だって折れてくれる)

 

「──くんっ! 南雲くん!!」

 

ハジメ「……ぁ、し、しらさき、さん……?」

 

香織「大丈夫!? あぁ、こんなに傷だらけに……!」

 

雫「……ったく、あいつら……!」

 

ハジメ「あ、あははは……大丈夫だよ。ボクなら、大丈夫だから」

 

ハジメ(……)

 

ハジメ(痛いことはイヤだ、辛いことはイヤだ)

 

ハジメ(だから、やり過ごしていくしかない。だって、ボクは無能なのだから)

 

ハジメ(それが、ボクのやり方なのだから)

 

光輝「……今のは、南雲にも非があると言えるんじゃないのか?」

 

雫「……ちょっと、光輝」

 

光輝「確かに南雲の方も力の方がぜんぜんついているように見えない。鍛錬をしているなら、多少は力をついていてもおかしくないのに、だ」

 

光輝「檜山たちがああやってキツイのも、ふがいない南雲を見捨てられないから……かもしれないだろ?」

 

ハジメ「……あ、あははは……肝に銘じておくよ」

 

ハジメ(……)

 

ハジメ(辛い虐め)

 

ハジメ(優しく触れてくれる気遣い)

 

ハジメ(見当違いのアドバイス)

 

ハジメ(どれもこれも……やりすごせばいい)

 

ハジメ(生きて帰れれば、勝ちなのだから)

 

───

 

──

 

 

【……】

 

ハジメ「……」

 

ハジメ「……?」

 

ハジメ「……えっ、どこだ、ここ……」

 

──ちーーーっす! 久しぶりィ!

 

ハジメ「うわっ!? えっ……えっ……?」

 

──っつーか、本当に久しぶりじゃん。確か学校に行く前日だっけ? そんときだったよねぇ、最後に話していたの

 

──いろいろあったねぇ……まぁ言うて数日くらいしか経ってないんだけどさ

 

ハジメ「……あ、『声の主』……?」

 

──うんうん。元気があってよろしいな!

 

──いやまぁ、状況的に全然よろしくないわけなんだけども。はは、ウケる。

 

ハジメ「……えっ、えぇ……なんで、ボクはここに……」

 

ハジメ「だって、キミはボクの夢の中の……」

 

──そう思うよねぇ。うんうん。確かにそう思われてもしょうがないわけだ

 

──……だが、実の所を言うとちょっと違う。私は確かに夢を通してお前に話しかけているが、れっきとした実態のある存在だ

 

ハジメ「その口ぶり……もしかして、キミはトータスの人間なの? あのイシュタルの様な」

 

──……うーん、それについてはいろいろと複雑でね。はっきりと明言してしまうと、こっちとしてもいろいろ都合が悪くなってしまうんよ

 

──んでもって、この話は下手したら君にとっても不利益になるし、クラスメイトにも降りかかる

 

──そうなってほしくないよね?

 

ハジメ「……っ、お、脅してるつもり……」

 

──それは断じて違う

 

──……確かに複雑な事情でこちらのことは詳しくは言えないが……私は、出来る限りキミたちクラスメイトを救いたいと思っている立場の者だ

 

──……個人的な事情だが、お前もしっかりと『すくわれ』てほしいと思ってる

 

ハジメ「……??」

 

──……

 

──今から、いや、これから先ずっと苦しいことが起き続けると思う

 

──だが、忘れるな。私は、お前の味方であり続けるし、お前が『すくわれる』ことを願い続ける

 

──……これまでのこと、思い出せるな?

 

ハジメ「……な、なにいって……」

 

──記憶が混濁しているか。まぁ、あの奈落に落ちればそうもなるか

 

ハジメ「な、らく……っ!?」

 

ハジメ「……そ、うだ……ボクは……」

 

ハジメ「……白崎さんと……寝る前に話し合って……」

 

ハジメ「次の日に……! 迷宮に行って……! ぼ、ボクは……ボクたちはベヒモスにっ……!!」

 

──……そろそろ、夢が終わりそうだな

 

ハジメ「まってっ! 待ってくれ! 君はっ、キミは何なんだ!」

 

ハジメ「ボクをっ、ボクを元の世界に! 帰してっ、帰してっ──」

 

──……『切れた』か

 

──まぁ、構わないさ。どっちにしろ、こんな戦争という名の茶番は早く終わってくれるに限る

 

──……ハジメ、お前は……お前だけは『なる』なよ

 

──『なって』はっ……

 

──……

 

─…

 

 

 

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