生まれた時から最強だった   作:roborobo

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第6話

 

 

【???】

 

鈴「でねっ、でねっ! カオリンのサポートやシズシズの剣技で敵を、バサーっとね!」

 

鈴「天之河くんなんか、すっごいんだよ! 剣を振るうスピードなんかすっごい早かったし、龍太郎くんも……」

 

鈴「……えっ? あ、ご、ごめんね。ちょっとこっちのほうが喋りすぎだったよね」

 

鈴「でも、こうやってお話出来て楽しいなぁって……だって、こんなにも楽しくお話しできたの、久々だもん!」

 

鈴「……? 『なんで』? なんでって……」

 

鈴「……なんで……って……」

 

鈴「? 『楽しくなかったのか』? 『学校生活が』……?」

 

鈴「……」

 

鈴「そんなこと、ないよ」

 

鈴「カオリンやシズシズにさ、ほかにも仲のいい友達もいっぱいいて……」

 

鈴「私、地球にいたころの生活が本当に好きなの。また、みんなといっぱいおしゃべりしたい。みんなと、いろんな思い出を作りたいなって」

 

鈴「だから、そのためにも私は戦わなきゃいけないと思ってる。友達が頑張ってるんだもん。私も、負けられないよ」

 

鈴「……? 『一番の友達』……?」

 

鈴「……エリリン、っていうんだ」

 

鈴「あ、エリリンっていうのはねクラスメイトで、本名は中村恵里っていうの」

 

鈴「頭がよくて冷静で、私みたいなおバカでもお友達でいてくれる」

 

鈴「……なによりもね」

 

 

鈴「頭がいいけど、それを悪用しようとしない。だから、鈴はあの子のことが好きなの」

 

 

鈴「……私、昔から人の目をずっと意識してたの。笑っておけば、みんなが笑ってくれる。笑えば、悲しい気持ちも安らぐって」

 

鈴「ずっと、仮面をつけている。ずっと、楽しい仮面を」

 

鈴「……だからなのかな、何があったかは知らないけど、エリリンには同じものを感じるの。あぁ、この子も仮面を被って生きてるんだって」

 

鈴「でもね、私はそこについては何も言わない。聞かないことにしてる」

 

鈴「……だって、『わかる』から。仮面を付けて周りの関係を円滑にさせられるならって……あの子も、仮面をつけなきゃいけない何かがあったんだって」

 

鈴「ふふっ、ごめんねこんな暗い話を……」

 

──……そんなことないよ

 

──参考になった

 

鈴「……そっか。ふふっ、ありがとう」

 

………………

 

…………

 

……

 

【???】

 

恵里「……」

 

恵里「あ、あのっ、ここはどこでしょうか」

 

恵里「……私、その、どうしてここにいるのかわからなくて……」

 

恵里「たしか……そう、たしか……」

 

恵里「ベッド……! そうだ、私はベッドの上……眠ってたはず……!?」

 

恵里「な、なんなの!? 私に、何をしようって言うんですか!?」

 

──…………

 

恵里「あなたは……! なんで、こんなことをするんですか……?」

 

──…………

 

恵里「ひっ……! か、帰して……! 帰して、くださぃっ……!」

 

──……『違う』

 

恵里「えっ?」

 

──……違う

 

──これは、『お前』ではない

 

恵里「は……?」

 

──なんと強固な……ヒトは何かを演じる時、なりふりだけでなく潜在意識にまで『思い込む』と聞くが……

 

──お前は、その意識を眠らせたままでも強く、演じようとしている

 

──『神の駒』に選ばれたとはいえ、眠っている力は確かに本物というわけか

 

恵里「な、なんのはなしをっ……」

 

恵里「っっ!! あ、あたまがっ……!!」

 

──話を円滑に進めるため、申し訳ないが強引にお前の深層心理に働きかけるぞ

 

──素顔のお前を見せろ。これまでのクラスメイトと同じようにな……

 

恵里「……」

 

 

恵里「──なぁぁぁぁぁぁんだ、全部知ってるのかァ」

 

 

恵里「その様子だとさぁ、どこまで知ってるわけ?」

 

──……『事故』『檜山』『裏切りの算段』

 

恵里「……ふぅん。そこまで調べがついてるわけか」

 

恵里「で、何をしようっての?」

 

──……警戒はしなくていい。別に取って食ったりはしない

 

──私は、ただお前と話がしたいだけだ

 

恵里「……? はぁ……? なにそれ? それってボクになんのメリットがあるのさ」

 

──……お前はこう思ってるはずだ。どうすればこの窮地を打破できるか

 

──自分の魔法は使えるのか、敵の正体は、いざ殺されそうになったときの保険とか……

 

恵里「……」

 

──そして今、お前はこう思った

 

──こいつは、「ボクのことをどこまで知ってるのか」と

 

恵里「……なにを」

 

──『父親』のことは不幸な事故だったな

 

恵里「──っっっ!!! お、お前っ……!!」

 

──言ったはずだ。円滑な話を進めると

 

──お前がお前に至るまで、その心に負った傷も見せてもらった

 

──意中の相手を手に入れるために、ハジメと香織を結ばせようとしたこともな

 

恵里「……」

 

恵里「……はぁぁぁぁ……」

 

恵里「本当に、腹を割って話をさせろってこと?」

 

──そうだ。ただ、単なる雑談だ

 

──お前とはそういう話をしたいだけだ。その手始めとして……

 

──地球での南雲ハジメについて、聞かせろ

 

恵里「は……? なんでアイツのことを……」

 

恵里「……あ、いや、いい。聞く気はない。聞かせてやるから変に人の頭の中を覗こうとしないでよ」

 

恵里「ただ、なんでボクなわけ?」

 

──理由は言えないが、お前は他者に対する観察眼が『過去の経験』によって磨かれている

 

──よって、お前から聞けるソレは、他のクラスメイト達……つまり

 

──敵意や邪険に思ってる光輝や檜山

 

──好意的に思ってる香織とは違い、一つのフィルターもない、本来の意味での客観的な意見を聞けるからだ

 

恵里「……なるほどね。それでボクなわけ、か」

 

恵里「……」

 

 

恵里「イジメられて当然のバカ、ってところかな」

 

 

──……どうして、そう思う

 

 

恵里「……いつだったかな。ボクさ、あいつがよく香織に話しかけられてるところを見たことがあるんだよね」

 

恵里「アンタは……あ、ヒトの頭の中がわかるから言わなくてもいいか……あの白崎香織っていうのは、かなりの美人でね。学校でも二大女神って言われてるくらいの人気者なの」

 

恵里「そうなればかなり数のファンがいるってコトじゃん? 実際、あいつを支持している生徒は本当に多いし、女子生徒の中でもあの子を慕う子は多いの」

 

恵里「それで、あいつは白崎香織に好かれておきながらさ、ずーっとそれをのらりくらりかわしてんの」

 

恵里「それなのにあの女はずっと南雲ハジメにずっと付きまとっている。女の勘ってやつだけどさ、ピンときたよ。あ、あいつのこと好きなんだって」

 

──……

 

恵里「ボクには好きな人が居てさ。その男の子は白崎の幼馴染でさ、彼と香織が結ばれるのがいやだから……ボクは南雲と白崎が結ばれるように背中を押そうって思ったのさ」

 

恵里「それで見ていてさ、あいつがなんでイジメられるのか、ようやく担って分かったよ」

 

 

恵里「アイツ、自分から積極的に人との関係を断とうとしている」

 

 

──……それは、本当に悪か?

 

恵里「悪ではないけど、善でもないよ。だから『クズ』じゃなくて『バカ』なの」

 

恵里「ヒトは、どれだけ個性を主張していても自分の意にそぐわない人間は絶対に排除するのさ」

 

恵里「そうならないために、ヒトは社会の中でうまくやっていけるように立ち回りって言うのを覚えるってわけ」

 

恵里「……『私の仮面』から『ボクの仮面』を手に入れた時のようにね」

 

──……

 

恵里「なのにアイツは、白崎の好意をことごとく無視した。単なるおせっかいと断定して、自分から何でもないと言って、はっきりとした答えを出そうともしないでね」

 

恵里「友達の女子はあいつを敵対視し、白崎に好意を持つ男子は徹底的にアイツを排除した。それは、なんでだと思う?」

 

 

恵里「自分の立場を理解しておきながら、あいつは白崎に応えようとしなかった。好意的に思われる『何か』を振りまいておきながら、自分でそのケツを拭かなかった」

 

 

──……それで、イジメられて当然と言いたいのか?

 

恵里「ううん。そうは思わないよ。でもね……」

 

恵里「降りかかる理不尽に対して、何もやろうとしないのなら、そいつは最後までやられっぱなしなんだよ」

 

恵里「それを後から理不尽だどうとか言ったところで……ね」

 

──……

 

恵里「……で、話すことは話したけど?」

 

──……わかった。ありがとう

 

恵里「……っ、か、体が……」

 

──安心しろ。お前はちゃんと元の世界に戻れる

 

──今の『夢』も、お前は何一つとして覚えていない

 

恵里「ゆ、『夢』!? ちょ、ちょっとお前なにも──」

 

──……

 

………………

 

…………

 

……

 

【ブルックの町、マサカの宿】

 

ユエ「……お疲れ様」

 

ハジメ「おう」

 

シア「うぅぅぅぅ……二人きりの世界をつくらないでくださーい! なんだか置いてけぼりを食らってるみたいでぜんぜん楽しくないですよぉ!」

 

ハジメ「やかましい。そもそもお前は隣の部屋だろうが」

 

シア「だって一人は寂しいじゃないですかぁ! なら一緒に寝たいですぅ!」

 

シア「んでぇ、よければベッドインも出来たらなぁって♡」

 

ユエ「……」ギロッ

 

シア「ま、負けませんからねぇ!」ピョコピョコ

 

ハジメ「……」

 

ハジメ(俺たちの冒険は、まだまだ続いている)

 

ハジメ(オルクスの迷宮を抜け、夢の中で出会ったアイツから教えてもらった新たな仲間……このうさ耳予知能力持ち残念ウサギ・シアを手に入れて──)

 

シア「あのっ、ハジメさん。ちょっと変な言葉使いませんでした?」

 

シア「仲間になった! 仲間になったですよ! 手に入れたとかじゃなくて!?」

 

ハジメ「なんで俺の思考を読んでんだよ……」

 

シア「あ、いや、なんかすっごい失礼なことを考えられていた気がして……」

 

ハジメ(……とまぁ、こんなすんごい残念ぶりが光る奴だ)

 

ハジメ(この亜人の少女は特異なスキルを持って生まれてきてしまったがために、数奇な運命を辿ることになった)

 

ハジメ(人間によって虐げられている亜人は、自身の国の中でひっそりと生きていくしかない)

 

ハジメ(そんな心の痛みを覚えながらも、亜人たちが得たのは他者に対して優しくあるよりも自分たちが平和に暮らせるために他者を切り捨てることだった)

 

ハジメ(……ある意味、運命や現実って言うのはそんなものなのだろう。泣いても、叫んでも誰も何もしてくれない)

 

ハジメ(だから戦うしかない。こいつは戦う事を選んで、『今』を勝ち取った)

 

ハジメ(……それに、ミレディの迷宮ではこいつはがんばった。ちょっとくらいのわがままも──)

 

シア「……」ジーッ

 

ハジメ「……なんだ」

 

シア「あ、いえっ、ただハジメさんの目がいつもよりやさしいなぁって」

 

ハジメ「あぁ、そうかよ」

 

シア「……やっぱり、ハジメさんも私の様な同じ苦労をしたから、なんでしょうか」

 

ハジメ「……」

 

シア「痛くて辛くて、みんなの足を引っ張っているような気がして……」

 

シア「こんな力がなければ、こんな容姿でなければって何度も思いました」

 

シア「暗い気持ちの渦、絶望に落とされたハジメさんは」

 

シア「私の家族ごと、救ってくれたんです。悲しい『奈落』の底から」

 

ハジメ「……」

 

シア「……ふふっ。ちょっとくらいは隣で寝てもいいですよね」

 

ハジメ「帰ってください」

 

シア「さっきまでの流れでコレ!?」

 

………………

 

ハジメ(……二人とも、寝たか)

 

ハジメ(今日の夜にもアイツは出るのだろうか。あのオルクスで過ごした夜以降、『声の主』は一向に関わってこない)

 

ハジメ(アイツの目的は? アイツがもしも解放者たちとかかわりがあるなら……)

 

ハジメ(クソっ、聞き出そうにもあの野郎に水に流されたからな文字通り……)

 

ハジメ(……考えても仕方ねぇ。寝るか)

 

………………

 

…………

 

……

 

【???】

 

──よっ、二つ目の迷宮効力おめ

 

ハジメ「……章クリアごとに話しかけてくるキーキャラ見てぇなムーブしてんなお前」

 

──うれしいこと言ってくれるじゃないの

 

──……攻略はだいぶ進んでいるみたいだな

 

ハジメ「元の世界に戻るためにも迷宮の力を得ていくしかないからな」

 

ハジメ「……ったく、何が神殺しだ」

 

──……

 

──だが、実際彼女の言う通りだろう

 

ハジメ「あ……?」

 

──お前がお前であるかぎり、お前は神殺しを成す

 

──なぜなら、お前は『南雲ハジメ』だからだ

 

──お前には、それを成し遂げられる物を持っている

 

ハジメ「……ちょっと待て。お前、何か知ってるのか」

 

ハジメ「俺が神殺しを成し遂げられる? 何を根拠に?」

 

──……

 

ハジメ「地球にいたころから、お前はそれを見抜いていたってのか?」

 

ハジメ「あの勇者とかならともかく、俺がか?」

 

──……悪いが、才能の話ではない

 

──ましてや、備わっている素養でもない

 

──それは、『お前』だからだ。お前は、絶対に……

 

──『世界最強』になる……いや

 

 

──お前は、実は地球にいたころから『世界最強』だったからだ

 

 

ハジメ「……は?」

 

──お前は、地球にいたころから最強だった

 

──他者と画一したものを秘めており、他者を寄せない物を持っていた

 

ハジメ「……単なる創作物が好きな男の子だぞ俺は」

 

──魔法なんて関係ない、技能なんかじゃない、力の強弱じゃない

 

──お前は、ずっと前から『最強』だった

 

──だからこそ、私とお前は友情を築けた

 

ハジメ「勝手に築くな勝手に」

 

──……だからこそ

 

──お前には、なってほしくないんだ

 

 

──『最強』に

 

 

ハジメ「……??? 俺に最強になってほしくない?」

 

ハジメ「まて、矛盾してるだろ。神殺しを成すなら俺が最強にならなきゃ……」

 

──違う。さっきも言ったが、力の強弱じゃない

 

──お前が神殺しを成すこととお前自身が最強になることは無関係だ。お前は、放っておいても元から最強だし、もっと強くなる

 

──……それが、お前だからだ

 

ハジメ「……! ちっ、時間か……」

 

──また一つ警告しておく

 

──お前に、また仲間が増える

 

ハジメ「ああ、わかったよ。クソっ、なんだってんだ……」

 

──……

 

──なるな、絶対に

 

──お前は、『最強』になってはならない

 

──『最強に』……なっては……

 

………………

 

…………

 

……

 

 

 

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