【完結】その生徒、暗殺者に非ず。   作:クリオネf。t

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ちなみに私の手元には暗殺教室の原作単行本がありませんので、アニメ準拠となっております。


二次元転校生

 5月も終わりに近づく頃。

 

「皆おはよー」

 

 すぐそこに校舎が見えて来たと同時に、その手前の方に集まる3人を見かけた為棗は挨拶をする。

 

「お、歌川おはよう」

「おはよう歌川さん」

「おはよー」

 

 上から順に杉野、磯貝、渚である。

 

「歌川も見たか?一斉メール」

「見たぞー。転校生来るってね、楽しみやね!どんな子かなー」

 

 ただ、このクラスは暗殺教室なので、一般の生徒ではないかもしれないが。

 

「転校生名目ってことは、ビッチ先生と違って俺らとタメなのか?」

「そこよ!」

「うわ、いきなり出んな!」

 

 4人で話をしていると、どこからともなく現れたのは岡島である。

 

「あ、虎男」

「俺も気になってさぁ、顔写真とかないですかーってメールしたのよ!」

「流石ッス虎男パイセン」

「そしたらこれが返ってきた」

 

 岡島が見せてきたスマホのディスプレイには、かわいらしい少女の顔写真があった。

 

「普通にかわいいな」

「どちゃくそかわええやんけ。最高やん」

「だろ〜!?すっげーかわいいだろ!?あ〜、仲良くなれっかな〜!!」

 

 美少女転校生に、岡島同様棗もテンションが爆上がりしている。HRが更に楽しみになった。

 そして教室に着いて見たのは……何だかよくわからない機械。

 

「なんだコレ…」

 

 杉野がそう言った瞬間、筐体に備え付けられたモニターが点く。そこには、先程岡島が見せてくれた転校生の写真。

 

「おはようございます。今日から転校生して来ました、"自律思考固定砲台"と申します。よろしくお願い致します」

 

 誰もが「そう来たか……」と思った。そんな中、棗は目を輝かせる。

 

「え、激ヤバ!!機械!!二次元!!電脳少女!!!!オタクの夢が今ここに……!!!!」

「かつてないほどすげーテンション上がってんな歌川…」

 

 それはそうだ、棗は二次オタなのだから。こんなもの、テンションが上がらないわけがない。

 


 

「ノルウェーから来た自律思考固定砲台さんだ」

「皆様、よろしくお願い致します」

 

 烏間が改めて自律思考固定砲台を紹介する。彼女はれっきとした生徒として登録されているらしい。

 

「なるほどねぇ。契約を逆手に取って…なりふり構わず機械を生徒に仕立てたと。良いでしょう。自律思考固定砲台さん、貴女をE組に歓迎します!」

「よろしくお願いします、殺せんせー」

 

 そんなこんなで、転校生を加えて行われた最初の授業が始まる。

 どんな風に暗殺をするのだろうと気になるが、今は授業に集中しなくてはならない。とは言え気になることは気になるので、そわそわしながら殺せんせーの話を聞いていた。当然頭に入って来ない。そんな時、後ろの方でガチャン!と音がした為驚き、咄嗟に振り向く。自律思考固定砲台が展開し、銃器が出て来た。どうやら先程の音は、展開する時の音だったようだ。トランスフォーマーみたいでかっこいいが、生徒のことを全く配慮しない射撃。そもそも、授業中の暗殺は原則禁止である。

 その後の授業も自律思考固定砲台による暗殺は続いた。ちなみに彼女が撃った弾を片付けるのは棗たち生身の生徒である。結局、その日一日中自律思考固定砲台の攻撃は続き、翌日。

 寺坂によってガムテープで固定され、銃器が出せない状態にされた。彼女の無差別とも言える攻撃に不満を持つ生徒は寺坂だけではない。このままだと授業がまともに出来ず、成績にも影響してしまう。だから誰も寺坂を咎める者はいなかった。

 更に次の日。

 自律思考固定砲台は何故か全面モニターになり、グレードアップしていた。感情表現も表情豊かになり、かわいさが倍増している。どうやら殺せんせーが施したらしい。

 

「庭の草木も緑が深くなっていますね。春も終わり、近づく初夏の香りがします!」

「たった一晩で偉くキュートになっちゃって…!」

「これ一応…固定砲台…だよな?」

「何ダマされてんだよお前ら。全部あのタコが作ったプログラムだろ。愛想良くても機械は機械。どーせまた空気読まずに射撃すんだろ、ポンコツ」

 

 寺坂がそう言った瞬間、画面内の雲行きが怪しくなってきた。

 

「おっしゃる気持ち、わかります、寺坂さん。昨日までの私はそうでした。ポンコツ…そう言われても返す言葉がありません」

 

 自律思考固定砲台がさめざめと泣き始めたのと同時に、彼女の背景の空も雲が広がり雨が降り始める。よく出来たシステムである。

 

「あーあ、泣かせた」

「寺坂君が二次元の女の子泣かせちゃったー」

「なんか誤解される言い方やめろォ!!」

「いいじゃないか…2D(二次元)。Dをひとつ失う所から女は始まる…」

「竹林!!それお前の初台詞だぞ!?」

「いいのか!?」

「……?」

 

 普通に喋っていたと思うのだが、磯貝も木村もおかしな事を言うものだ。

 

「でも皆さん、ご安心を。殺せんせーに諭されて…私は協調の大切さを学習しました。私の事が好きになって頂けるよう努力し、皆さんの合意が得られるようになるまで…私単独での暗殺は控えることにいたしました」

「そういうわけで仲良くしてあげてください。ああ勿論、先生は彼女に様々な改良を施しましたが、彼女の殺意には一切手をつけていません」

「はい!」

 

 ガシャコン!と銃器が出て来る。いきなり過ぎてビクッと棗の肩が揺れた。

 

「先生を殺したいなら、彼女はきっと心強い仲間になる筈ですよ」

 


 

 自律思考固定砲台は、早くもクラスに馴染んでいた。

 そして片岡の提案により、彼女の呼び方を決めることになった。

 

「じゃあ、律は?」

 

 これにより、彼女の呼称は不破の案である『律』となる。千葉は安直だと言っていたが、棗もかわいい名前だと思った。それと棗は、ずっと律の声にデジャヴを感じている。

 

「りっちゃんの声、聴き覚えあるんよ…」

「りっちゃん!それも素敵な呼び方ですね!」

「かわいいと思って。あと仲良くしたいな〜と」

「嬉しいです!私も棗さんと仲良くなりたいです」

 

 満面の笑みを浮かべる律は最高にかわいかった。浄化されそうだ。やはり二次元はいいものである。

 

「はっ…りっちゃんの声、藤○咲さんの声に似てるんだ…!」

 

 何ということだ。藤○咲氏と言えば初音○クの中の人としても有名だ。そして律はAI。極めてバーチャルな存在に近い。つまり。

 

「実質初音○クでは……!?」

「……なるほど」

 

 棗の言葉に竹林も賛同した。持つべき者は類友である。

 


 

 そしてその翌日。律は元の面積と表情に戻っていた。

 

「"生徒に危害を加えない"という契約だが…『今後は改良行為も危害と見做す』と言って来た。…君等もだ。"彼女"を縛って壊れでもしたら賠償を請求するそうだ」

「チッ…」

開発者(持ち主)の意向だ。従うしかない」

開発者(持ち主)とはこれまた厄介で…親よりも生徒の気持ちを優先したいんですがねぇ」

 

 ダウングレードしたことにより、生徒たちはまた初日のような出来事が続くのかと憂鬱な気持ちになった。しかし。

 バンッ!!という音と共に展開されたのは、銃器はなかった。弾丸の嵐はやって来ない。代わりにあったのは…

 

「花を造る約束をしていました」

 

 前に矢田から頼まれていた、造花だった。

 

「殺せんせーは私のボディに計985点の改良を施しました。そのほとんどは開発者(マスター)が『暗殺に不要』と判断し、削除・撤去・初期化してしまいましたが、学習したE組の状況から、()()()は『協調能力』が暗殺に不可欠な要素と判断し、消される前に関連ソフトをメモリの隅に隠しました」

「素晴らしい!つまり"律"さん、貴女は…」

「はい!私の意思で、産みの親(マスター)に逆らいました!」

 

 少年漫画のような激アツ展開に、棗は内心感激する。

 

「殺せんせー、こういった行動を"反抗期"と言うのですよね。"律"は悪い子でしょうか?」

「とんでもない。中学三年生らしくて大いに結構です」

 

 そういうわけで、律が今度こそ正式にE組の仲間となった。二次元美少女との学校生活。それはもう、楽しみと言う他ないだろう。




暗殺教室の夢小説少なすぎるんで、皆さんもっと書いてください(切実)
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