【完結】その生徒、暗殺者に非ず。   作:クリオネf。t

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一学期末テスト

 一学期も残り僅かとなり、夏休みが近づいている。…と、その前に、最大のイベントである学期末テストが目前に控えていた。

 本日は青空の元、クラス全員でテスト勉強がとりおこなわれていた。やはり山の上の木陰いうのは夏場でも過ごしやすく感じる。

 

「殺せんせー、期末もまた全員50位以内を目標にするの?」

「いいえ。先生はあの時、総合点ばかり気にしていました。生徒それぞれに見合った目標を立てるべきかと思い至りまして…そこで今回は、この暗殺教室にピッタリの目標を設定しました」

 

 そう言って取り出したのは、対先生BB弾の入った銃だ。言うところによると、前にシロが言ったように、殺せんせーは触手を失うと動きが落ちるそうで。自身を銃で撃ち、それを証明しようとしていた。

 何故か分身の設定が重すぎるが。

 触手一本の消失につき、殺せんせーが失う運動能力は約10%だそうだ。

 

「そこで本題です。今回は総合点の他にも、教科ごとに1位を取った者に触手を破壊する権利を進呈します」

 

 殺せんせーの提示した目標に、生徒たちはざわつく。これが暗殺教室の期末テスト。皆俄然殺る気が沸いてきたようである。

 棗は暗殺が目的ではないが…殺せんせーが一生懸命教えてくれている分、頑張ろうと一人意気込んだ。

 

 

 あれから教室に戻った後の休み時間。生徒たちは皆気合いが入っていて、特に奥田は得意の理科でようやく皆の役に立つことが出来るかもしれないと躍起になっている。

 そんな中で、杉野のスマホにB組の進藤から着信が入った。

 どうやら、本校舎での内情を知らせてくれているようで。杉野は即座にスピーカーにして、他の皆も聞ける状態にした。

 何でも、特進クラスA組が会議室に全員集結し、自主勉強会を開いているらしい。

 

「音頭を取るメンバーは五英傑と呼ばれる、うちが誇る天才たちだ」

 

 五英傑。これまた漫画のような設定が来たな……と横目で聴いていて棗は思った。

 

『中間テスト総合2位!!他を圧倒するマスコミ志望の社会知識!!放送部部長、荒木鉄平!!』

 

 (え、なんか唐突に始まったんだけど…草)

 

『総合3位!!人文系コンクールを総ナメにした鋭利な詩人!!生徒会書記、榊原蓮!!』

 

 (鋭利な…詩人…???)

 

『総合5位!!4位を奪った赤羽への雪辱に燃える、暗記の鬼!!生物部部長、小山夏彦!!』

 

 (暗記の鬼…)

 

『総合6位!!口の悪さとLA仕込みの語学力は追随者無し!!生徒会議長、瀬尾智也!!』

 

 (あ、瀬尾くんもメンバーなんだ)

 

「ちょ、そのナレーション、お前がやってんの??」

 

 ついに杉野からのツッコミが入った。進藤曰く、一度やってみたかったらしい。

 

 (上手すぎて草)

 

『そして、その頂点に君臨するのが……総合1位!!全国模試1位!!全教科パーフェクト!!支配者の遺伝子を引き継ぐ、生徒会長!!浅野学秀!!』

 

 他の四名に関しては全く耳馴染みがないが、学秀のことは棗も知っている。ちゃんと知ったのは本当に最近であるが。

 

 (浅野くん、やっぱり凄い人なんやなー)

 

「理事長の一人息子…」

「え、ガチ…???理事長先生って浅野くんのお父さんやったん…???」

 

 衝撃の事実である。この事実は椚ヶ丘の生徒ならば誰しも知っていることなので、あくまで棗にとってだけなのだが。

 

「知らんかった…衝撃の事実…」

「俺は歌川さんがその事実を知らなかったことが衝撃の事実だよ」

 

 そう磯貝からツッコまれた。

 仕方がない、棗は學峯のことだって最近まで名前しかまともに知らず、学秀のこともあまりよく知らなかったのだから…二人の親子関係なんてもっと知る由もないのだ。

 

『奴ら、お前らを本校舎に復帰させないつもりだ。このままじゃ…』

「ありがとう進藤、心配してくれて。でも大丈夫。今の俺たちはE組脱出が目標じゃない。けど目標の為には、A組に勝てる点数を取らなきゃならない。見ててくれ、頑張るから」

 

 どうやらいつの間にか話がまとまっていたらしい。

 進藤はそんな杉野の言葉に、「E組の頑張りなんて知ったことか」と一見冷たい言い方をするが、声色に冷たさは感じない。本気で心配して連絡を寄越してくれたのだろうということが、棗にも理解出来た。

 


 

 後日。

 先日渚や磯貝たちが本校舎図書室でテスト勉強をしていたところ、五英傑に難癖つけられ、しまいには賭け事を申し込まれたそうだ。何でも、負けた方が勝った方のいうことを何でもひとつだけ聞くだとか。まぁ、よくある賭け事だとは思うが。

 ちなみに遭遇したメンバーの中に学秀はいなかったそうだ。彼は生徒会長らしいし、色々忙しいのかもしれない。

 そして迎えたテスト当日。

 

「あ、莉桜ちゃんに渚くん」

 

 早くに試験部屋へと向かおうとしていた棗は、先を歩く渚と中村を見つけ小走りで近寄り、声をかけた。

 

「お、歌ちゃん」

「二人とも早いね」

「棗ちゃんもね」

 

 そんなわけで、三人一緒に教室へ向かうことになった。途中、お馴染みの田中と高田に絡まれたが、中村が田中の鼻に文房具を捩じ込み黙らせた。割と出血しているが大丈夫だろうか…と少し心配になる。

 

「さて、私が一番乗り!…ん?」

 

 中村が教室の戸を開き、何かに気づく。渚と棗もその後ろから中を覗いた。そこには、見覚えのない生徒が一人。

 

「誰!?」

「律役だ。流石に理事長から人工知能の参加は認められず、律が勉強を教えた替え玉で決着した。交渉の時、理事長に大変だなぁコイツも、と言う憐れみの目を向けられた俺の気持ちが、君らにわかるか?」

 

 烏間から理由を聞いた渚と中村は、「頭が下がります!!」と言いながら頭を下げていた。

 

「なんか…色々大変ですね…」

「…………」

 

 棗は素直に凄いなぁと思う。自分だったらこなせない。本当に頭が上がらない。

 

「律からの伝言と合わせて俺からも……頑張れよ」

「はい」

「ありがとうございます」

 

 いよいよ期末テストが始まる。一体どんな問題が立ち塞がるのか……緊張するが。これまで頑張って来たのだ、自信を持って臨む他ない。

 正直問題はどれもこれも何問ばかりだ。中間テストとは比にならない程難易度が跳ね上がっている。しかし、棗も、他のクラスメイトたちだって、前よりもレベルアップしているのだ。落ち着いて解いていけば、勝機はある。

 

 (よし、やるぞー!)

 

 心の中でそう意気込んで、棗は答案用紙へと対峙した。




暗殺教室単行本買うべきか…アニメ、結構省略されてるシーンとかお話とか、台詞も若干変わってたりするみたいだからなぁ…
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