【完結】その生徒、暗殺者に非ず。   作:クリオネf。t

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肝試し

 棗を含め、倒れていた生徒たちが完全に回復し目を覚ましたのは合宿二日目の夕方であった。すっかり回復したクラスメイトたちは、元の姿へ戻った殺せんせーに暗殺を仕掛けていたり、水着姿になって海ではしゃいだりしていた。病み上がりだというのに、元気なものである。

 そして、殺せんせーから提案されたのが…

 

「肝試し?今からですか?」

 

 そう、夏の定番、肝試しである。

 

「ええ。真夏の夜にやることと言ったらこれでしょう!」

 

 日本の幽霊の装いをした殺せんせーがあからさまにウキウキしながら言った。殺せんせーはほとんどの時間を身動きの取れない完全防御形態で過ごしていたので、少しでも遊び倒したいのだ。

 生徒たちの反応は人それぞれであったが、概ね乗り気の者が多かった。棗は肝試しどころかお化け屋敷にすら入ったことがないが……心霊スポットは興味本位で行くと碌な目に遭わないと思っているので、肝試しはあまり乗り気ではない派である。ちなみにお化け屋敷には興味がある。

 だがしかし、殺せんせー監修の肝試しだ。恐らく大丈夫だろうと、棗は人生初の肝試しに参加することとなった。

 肝試しの場所は島にある海底洞窟。出口まで男女ペアで抜けるというのが殺せんせーの定めたルールだ。渚と茅野。カルマと奥田。中村と菅谷。寺坂と狭間。千葉と速水。杉野と神崎。前原と岡野。磯貝と片岡。岡島と倉橋。木村と矢田。竹林と律。吉田と原。三村と不破。それから、棗がペアを組むことになったのは…

 

「たっくんよろー」

「おう、歌川か。よろしくー」

 

 村松である。

 村松とは修学旅行での班が一緒になって以来、仲良くなった。村松は実家がラーメン屋を営んでおり、たまにご馳走になることもある。勿論お金はちゃんと払っている。村松は今、ラーメン屋を立て直す為に色々模索している最中なのだとか。

 

「じゃあもしたっくんがお店継いだ時は、たっくんのラーメン食べに来るね。いやー、将来が楽しみやね」

「おう、そん時ゃ死ぬほど美味いラーメン食わせてやんよ」

 

 そんな会話をしていたら、先の方で殺せんせーの絶叫する声が聞こえてきた。自分が用意した舞台にも関わらず、結局殺せんせーが一番ビビり散らかし、パニクっていたのである。

 そもそも殺せんせーが肝試しを開催したのは、男女ペアで行動させ、吊り橋効果でカップル成立を狙っていたからであった。

 

「だって見たかったんだもん!!手繋いで照れる二人とか見てニヤニヤしたいじゃないですか!!」

 

 ついには泣きギレに入る始末である。

 

「そういうのはそっとしときなよ。うちらぐらいだと色恋沙汰とかつっつかれるの嫌がる子多いよ?皆が皆ゲスいわけじゃないんだからさ」

 

 中村がそう諭し、殺せんせーは落ち込みながらも「わかりました…」と言う。

 そこへ、洞窟を抜けたらしい烏間とイリーナが戻って来た。イリーナはピッタリと烏間にくっつき、烏間は「徹夜明けにはいいお荷物だ」と一蹴している。

 それを見たクラスメイトたちが、

 

「なぁ…薄々思ってたけど…」

「ビッチ先生って…」

「うん…」

 

と口々に言い始めた。棗には何のことやらさっぱりである。

 

「明日の朝帰るまで時間あるし…」

「くっつけちゃいますか…」

 

 クラスメイトたちの目がギラついている。

 

「え、何、烏間先生とイリーナ先生くっつけんの…??さっきそっとしておけって言ったのに…??」

 

 確かに烏間とイリーナは眉目秀麗な男女だ。並べば絵になる。だがそこは本人たちの気持ちがどうなのかしっかり確認してから行動すべきなのではなかろうか、と棗は思うのであった。




原作では寺坂君と狭間さんと村松君が三人組らしいので、村松君と組ませました。
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